フグ田ナマガツオ

短編小説「彼女が死のうと思ったのは」を創作大賞2023「ミステリ小説部門」に応募中。 …

フグ田ナマガツオ

短編小説「彼女が死のうと思ったのは」を創作大賞2023「ミステリ小説部門」に応募中。 普段はショートショートを中心に色々書いてます。 ミステリとラブコメが好きです。 Twitterもやってます。

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  • ショートショートまとめ

    書いたショートショートをまとめてます。 結構面白いです。

  • 「彼女が死のうと思ったのは」まとめ

    創作大賞2023 ミステリ小説部門に応募した作品をまとめたものです。

  • 140字小説

    140字以内で書く超短編。

  • 読まずに書く読書感想文

    積読中の作品について、内容を勝手に想像し、読書感想文を精製します。

  • 途中からフィクション

    思い出を元にしたフィクションです。

最近の記事

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【自己紹介】私の概要とノートで書きたいこと

思えばnoteを始めてからまあまあな本数書いてるんだけど、自分の素性とか概要的な部分は全然明かしてないから、フェイクを混ぜつつ話していく。 ○私の概要 次の4月で社会人2年目に突入する23歳。 大学時代は塾のバイトで数学教えてた。 好きなもの:漫才、コント、スマブラ、旅行、漫画、ミステリ、サッカー、ラップ、ボードゲーム ○好きな作家:森見登美彦さん、米澤穂信さん、相沢沙呼さん、三秋縋さん、西尾維新さん、知念実希人さん、浅倉秋成さん ○好きな小説(単発) 1.新釈走れメロ

    • 【5本書くたび自己評価】ショートショート31-35

      ショートショート31「おおきなのっぽのふるどけい」 お題:なし お気に入り度:B- 感想:童謡から引っ張ったやつ。 着想は良いけど細部がめちゃくちゃ雑。 書くのめんどくさかったのかな。 ショートショート32「淡色の太陽」 お題:淡色の太陽 お気に入り度:B 感想:お題が難しすぎたから結構苦心したやつ。 太陽は原初的なイメージがあるのと、子供の頃に塗った絵の変な色の太陽を連想した結果、頭が狂って宇宙の始まりに脳みそが発展しちゃった絵描きを書いた。 絵の原点、太陽系の中心、宇宙

      • 【ショートショート】世界1000文字前仮説

        「一ノ瀬、世界5分前仮説って知ってるかい?」 「実はこの世界はたった5分前に作られたばかりで、これまでの人生もその記憶も5分前までは存在しえなかった、とかいうやつですよね」 「そのとおりだ。私が今、そんなことを言い出したら、君は信じるか?」 漆崎先輩は確かめるように僕を見る。 「理論上、否定はできませんが、信じるのは無理ですね」 「どうして」 「僕は先輩のことを信用していませんから」 「辛辣だね。じゃあこれならどうだ?「この世界はたった224文字前に作られた」」 「さっきと何

        • 【140字小説】入っては行けない祠

          「お前あの祠に行ったのか!」 この老爺は祟りなど信じていない。私は目撃したのだ。行方不明の親友が貴方と祠に向かう所を。この村では数年おきに行方不明者が出る。貴方は祟りのせいにして祠から人を遠ざけていた。スコップを振り下ろすと鈍い音が鳴った。大丈夫。これもきっと祟りのせいになる。

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          【140字小説】本当になった花瓶

          私の傍にいて欲しかったから、お金を払って由佳達に虐めさせた。慰めている間は私だけが隣にいられて、満足だった。だから貴女を本当に嫌っている人なんて、クラスにいなかったんだ。 「ごめんなさい」と呟いて、視線を移した机には、本当になった花瓶。

          【140字小説】本当になった花瓶

          【短編小説】もうひとつの物語

          何か一つ選択をする度に、選ばれなかった物語が消える。それは自分が自分の意思で選ばなかった物語でもあるのだが、それでも後悔が残ることはある。そうして布団の中に蹲りながら、有り得たかもしれない可能性について、ウダウダと思いをめぐらせることも少なくないだろう。 しかし、人は決してその物語に手が届かないことを知っている。知っているからこそ、それに伴う困難をことごとく棚に上げて、都合のいい部分だけを掻い摘んで、作り上げた物語を夢想する。 そのようなただ甘いだけのインスタントな妄想に耽溺

          【短編小説】もうひとつの物語

          【ショートショート】行かないで

          お題:行かないで 引き止めるには、少し遅かった。 もう決めたんだとハッキリと君は言った。 その表情は寂しさを微かに含んでいるように見えたが、ただ私がそう思っていたいだけかもしれないと思った。 駅のホームには私たちしかいない。 3月の風はまだ冷気を含んだまま、あっさり遠くへ去っていく。 こうして帰るのも、あと数回だけ。 利用者のほとんどいないこの駅は、私たちの通学のためだけに残されているらしい。 私は島に残るけど、これから実家の酒屋を継ぐから、もうこの電車は使わない。 利用者

          【ショートショート】行かないで

          【140字小説】辛いなら逃げてもいいんだよ

          辛いなら逃げてもいいと君が言ったから、僕は仕事を辞めてホームレスになった。君の言う通りにした結果がこれだ。どうしてくれるんだと詰め寄ると、彼は一目散に逃げ出した。 彼には身をもって知ってもらおう。逃げても責任がなくなるわけじゃないことを。錆びた包丁を持って僕は走る。

          【140字小説】辛いなら逃げてもいいんだよ

          【ショートショート】弾き手をなくしたテレキャスターと

          持ち主を失ったテレキャスターと2人きりで過ごすのも、そろそろ限界だった。 金にならない言葉で埋まったルーズリーフを握り潰して、思い切り投げようとしたけれど、軽すぎて勢いも出ないから、壁に届きもせずに情けなく落ちただけだった。 首を掻き毟って、このウザったい神経を全部引きずり出したらスッキリするかと思ったけど、もうのたうつ程のエネルギーもなくて、床に倒れ込んだ。 狭い天井には何も映らない。 部屋の隅に佇むラックには、今まで書いた曲が立ち並ぶ。 捨ててしまおうかと何度も思った。

          【ショートショート】弾き手をなくしたテレキャスターと

          【ショートショート】春風にのせて

          お題:さよならを言う前に さよならとまだ言いたくなくて、宛もないのにモタモタと公園に寄ったり、解けてもいない靴紐を結び直したりしていた。 悠はぴょこぴょことついてきて、いつも通りのたわいもない話をしていた。 歩き慣れた帰り道のアスファルトが、別人のようでいつもより靴底が馴染まない気がした。 私は悠と違って地元に残らないから、この道を歩くことはもうしばらくない。 春風が散らせた桜が足元で舞って、傷だらけのローファーを飾る。 連絡はいつでも取れるし、機会があれば帰って来れる

          【ショートショート】春風にのせて

          【ショートショート】さよなら「爆音」

          お題:さよならを言う前に 卒業までの数ヶ月くらいは、一緒に過ごせるものだと思っていた。 言いたいことを散々言って、勝ち逃げみたいにこの世から消えた君に、私はさよならもまだ言えていない。 君のおかげで私へのいじめはなくなったけど、代わりに君を失うと知っていたら、こんなことは願わなかった。 望んだ世界に君がいないなら、地獄の底でも君といた方が私は幸せだったけれど、君はそう思ってくれなかったんだろう。 伝えていないから知らないよね。 世界は誰もが正気を失わないことを前提に動いて

          【ショートショート】さよなら「爆音」

          【ショートショート】淡色の太陽

          もう7日間部屋から出ていないので、太陽の色すら朧気にしか思い出せない。
湿気った脳味噌にはとうに黴が溜まって、思考にこびりつく不快感がどうにも抜けきらない。 開けた冷蔵庫には、半端に残った麺つゆと、とっくに腐ってしまった苺。そして飲みかけのコーラが一つだけ。
 付けっぱなしのエアコンからはひっきりなしに音がする。24時間×6日に亘る連続勤務で体調を崩してしまったのだろう。最後のコーラを呷ると、一筋の冷気がスっと喉を潤した。 お金を借りれるところはもうないし、財布には小銭すら

          【ショートショート】淡色の太陽

          【ショートショート】おおきなのっぽのふるどけい

          壁一面に時計のある締め切った工房。そこが親父の仕事場だった。親父は時計職人だった。齢はもう100を超えている。朝は6時に目を覚まし、7時に工房に入って、18時ぴったりに工房から出てくる。そのルーティーンが崩れたことはほとんどない。まるで時計のような人間だった。 親父は気に入った客にしか時計を売らない。作った時計は娘みたいなものだから、半端な奴にはやれないのだと言っていた。だから親父の工房にはいつも売られていない時計がたくさんある。固定客は多く、一部の界隈では評価が高いらし

          【ショートショート】おおきなのっぽのふるどけい

          「彼女が死のうと思ったのは」エピローグ #創作大賞2023

          ホームルームが終わって、バッグを掴むと、日傘が教室の後ろのドアから顔を出した。 手招きについて、部室に向かう。職員室にあるケースから取り出した鍵を使って、ドアを開けた。 「さあ、文化祭近いし、気合入れて書くよ!同好会から部への昇格目指して!」 今、僕たちは新入生の確保を目指して、小説を書いている。 小雨先輩の部活への所属については、日傘が自分から外してしまったので、部活動としての条件を満たせなくなり同好会へ降格となった。そのため、僕たちは新入生の獲得を目指して、部誌に載せ

          「彼女が死のうと思ったのは」エピローグ #創作大賞2023

          「彼女が死のうと思ったのは」第9話 #創作大賞2023

          遺書には、小雨先輩が自殺した理由の全部が書かれていた。日傘は嗚咽を漏らしながら、涙で顔中を濡らしながら、それでも歯を食いしばって読み進めた。やがて、最後の行が終わって、僕は代わりにファイルを閉じた。 日傘は声を震わせて、しばらく泣き続けた。怒りと悲しみがないまぜになった表情で。 雨粒が屋根を叩く音が聞こえる。 「私、悔しい。お父さんにもムカつくし、何も言ってくれなかったお姉ちゃんにもムカつく!そんなに悩むくらいなら、私も共犯にしてくれればよかったのに!お母さんもお母さんだ

          「彼女が死のうと思ったのは」第9話 #創作大賞2023

          「彼女が死のうと思ったのは」第8話 #創作大賞

          お父さんに久しぶりに会ったのは、4月の終わりのことだった。両親の離婚から、5年が経っていた。奢ってやるからと、外れの喫茶店まで連れて行ってくれて、そこで色々な話をした。 父は私たちの学校生活や、家での話を聞きたがった。学校では文芸部に入って楽しい日々を送っているということや、テストで学年トップをとった話をした。日傘の話もした。部活の同級生と仲良く喧嘩したり、小説をお勧めし合ったりしていることを話した。父は嬉しそうに話を聞いてくれた。 今度は、私が父のことについて質問した。

          「彼女が死のうと思ったのは」第8話 #創作大賞