盛り上げる意味が分からない。

この1年半、"コロナ禍"が終息する兆しすら見えてない中で、

「どんな時も前を向いていないといけない」「負けちゃいけない」といったメッセージに ひたすら嫌悪感を抱く自分がいます。


もともと僕は、
高揚した環境に居ると浮ついた感覚になって気持ち悪さばかり出てくる、
反対に ネガティブで現実的な言葉を聞くと 地に足が着く思いになる、
という傾向があって、

違和感として人知れず抱え続けてきました。


しかし今、
ポジティブな理想とネガティブな現実との差が広がり続けていて、

前向きな表現に対する違和感が 嫌悪感へと変化してしまっている実例が数えきれないくらい出てきているんです。

ポップな考えが、本当に嫌になってきた。


日本には、「ポップ」と呼ばれるものがたくさんあります。

飛び跳ねる という意味の英単語 "pop"と、
大衆的に知らしめる意味を持つ "popular"を混ぜ合わせた和製英語
ですが、

商品を宣伝する際の「ポップ」もそうですし、
"J-POP" や "ポップス" というジャンルとして 音楽業界でもよく使われています。


しかし、数年前から僕は、
前向きなメッセージを連想させる歌詞や ポップなメロディーが好きになれない感覚に気づき始めていました。

そして "コロナ禍"の今では、冒頭に書いた嫌悪感へと変化したと同時に、
その真逆とも言える
やみ(病み・闇)曲」の世界にひたすら共感するようになってしまいました。



自分を盛り 雰囲気を上げる表現への違和感・嫌悪感

上記の記事にも載せましたが、
ドレスコードが設定されている中で 何らか自分に嘘をついて(=自分を"盛って")表現しないといけない雰囲気が 好きではありません。


それ以外の集団生活でも、
どんな状況でも盛り上げようとする考え方に対して 違和感や嫌悪感に映る場面がたくさんありました。


特に、お酒などの力を借りたり "その場のノリ" を利用して行動に表す癖を持っている人は、
たがが外れて コントロールしきれていないような表現が必ずと言っていいほど飛び出して、
その場に居た人たち全員に マルトリートメントとして悪影響を及ぼす傾向があると 身をもって理解してきました。

上記のマガジンを見ていただければ分かると思いますが、

生まれてからずっと 人の嫌な場面ばかり たくさん見てきた僕は、
マルトリートメントによって生きる意味を失くしてしまう関係性を知っています。

そういった経験をこれ以上したくないと思えば思うほど、
現実世界で対面すること自体 怖がって避けようとする傾向。

これを否定された時点で、僕の人生は終わったも同然なんです。



何でもかんでもポップに仕立て上げる必要はない


オリンピックを巡る論争を見聞きしている内に、
どうしようもない不景気で、前代未聞の非常事態であったとしても、
「国威発揚」の名の下に盛り上げようとする考え方に共感できない思いがどんどん湧いてきてしまいました。


そういえば、東京にオリンピックを招致する段階から、
ネガティブな現実を迅速に素直に発表しない姿勢が目立っていたのを思い出しました。

熱中症対策をしないと命に関わる暑さを 「温暖な気候だ」と説明したり、
福島の原発も、正体不明ながら感染力が強いウイルスも「コントロールできるから 誰に対しても何の影響もない」と言い続けてきました。


東京での開催が決まり、歓喜に湧いた瞬間から約8年。
現実はというと…

競技の開始時間を直前に変更しなければならないほど暑くなっているし、
原発事故による汚染水の一部を海に放出したし、オリンピック開催中に国内の感染者が加速度的に増えていっているし…。

身の安全が保障できないからと 出場を辞退する人が続出したように、
国内外で悪影響を被っている人が現れる事態になっています。


世界中に染み付いたネガティブな雰囲気をきれいに吹き飛ばそうとポップな表現ばかり追求していると、
人権を無視してまで無理やり笑わせようとする人間の、"エゴ(自己中心的・利己的)な側面"が現れる関係性が見えてしまった僕は、

(子ども時代に"平成不況"しか経験してこれなかったツケなのか…。)
ポップなエンターテイメントが ますます嫌になってしまいました。


上記の記事でもお伝えしたように 何十年も不景気に染まっていると、
ネガティブな感情が 冷静に表現できるようになる他、
その思いばかりに共感し 感動する傾向になるんだと 身をもって学んできました。

「ポジティブな理想を掲げ続けても最良の結果はやって来ないかもしれない」という思いを発信し続け 共有してもらえるようにするのが
これからの時代の表現者に必要なこと
だと オリンピックを見ていて思いました。

オーノ

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