とあるハンドメイド作家の日常(仮) -1日目水曜日-
初めて人間になれたと思えるようになった
夜の帳はどっぷりと降り、
ジメジメした空気が
肌に纏わりつく夏も佳境に入った頃。
苛立ち隠せぬ会社員の方々と共に、
私は満員電車に揺られて帰路についていた。
20分強という短い電車時間でありながらも
8時間という長い間デスクに向かっていた足は
浮腫みとお友達になったかのように
パンパンに腫れ、
怠さと共に顔は苦痛に歪んでいた。
40歳という節目の年齢、
さらには今まで人間関係に悩まされ、
幾多の職場を退職してきた私に、
ようやく新たな職場が見つかり、
ついこの間から
平日はこの満員電車に揺られている。
![](https://assets.st-note.com/img/1658929360166-QSklCyZSVL.jpg?width=800)
その職場に決めた理由は3つある。
その1。
まずは時給がとても高い。
給料は高ければ高いほど
後々苦しめられることもあるが、
今現在、生活する分には
高い方がいいと判断したからだ。
その2。
仕事内容が今までやったことがない
部類の仕事だったからだ。
内容は守秘義務がある為、
伏せさせて頂こう。
その3。
土日祝が休みというところ。
今まではシフト制の仕事ばかりで
2連休なぞ通常では取れなかったので、
この土日祝という連休が毎週来る嬉しさを
一度味わうと抜けられないことが
わかったからだ。
その分デメリットも存在する。
神奈川県側から都内へ移動する為、
お気づきの通り、
毎朝毎夜、出勤時・帰宅時には
満員電車にぶち当たる。
また、出勤先まで長い距離がある為、
早起きをして準備しなければならない。
今まで朝が苦手だった私は、
重たく下がろうとする瞼を
無理矢理こじ開けて、
朝6時半に目を覚まして
準備をするようになった。
![](https://assets.st-note.com/img/1658928761451-6qeVssSG3E.jpg?width=800)
さて、そんな私には
もう2つほどの顔がある。
1つはハンドメイド作家だ。
スチームパンクと呼ばれるジャンルで、
魔導具と称したアクセサリーや、
小物、アートを作成したり、
そのジャンルを活かしつつ、
趣味で推しのゲーム実況者様の
2グループをイメージした雑貨を作っている。
自称、「スチパン魔導具製作家」と
名乗らせて頂いている。
証拠としてサイトURLを置いておこうと思う。
リンクはこちら⇒minne
気が向いたら覗いて欲しいものがあったら
ぜひとも購入を。
(というか誰か買ってくれ。たのむ。)
もう1つは
とあるグループで知り合った
友達4人と一緒に起業する為、
色々と画策しながら
事業を立てようとしていることだ。
(ようやくスタートに立てそう、
と言ったところだが)
そんな毎日を送っている私が、
ようやくまともな生活をし始めたわけだが、
今までズボラだった私は、
毎日、湯水のようにお金を使い、
貯金は0円に等しい。
さらにクレカも使い果たし、
債務整理をし始めたところだ。
ざっと500万ほどは借金がある状態だった。
(実は債務整理は2回目である)
親にも心配をかけ、
お金を借りている状況という、
なんと親不孝者なんだと
罵られてもおかしくはない状況だ。
自身が最近変えた考え方は、
以下の通りだ。
①外に働きに出る際は、
全て「お金の為だ」と思うこと
②夜ご飯を作る際は少し多めに作り、
残ったおかずを小分けにして冷凍し、
お弁当用とすること
③やりたいことは全て土日祝の休みの日に
回すこと
④週末の金曜日には何かご褒美を用意すること
(例えば、スーパーカップバニラ味とかね)
この4つをすることで
日々の余裕が出来、
早く就寝し、
早く起きる事が出来るようになった。
またお金をほとんど使わなくなったことで、
消費するお金が明らかに残っている状態。
これを続ければ貯金が出来、
欲しい物を買うことが出来るだろうと
考えている。
![](https://assets.st-note.com/img/1658931586079-l9ZoJKs5wV.jpg?width=800)
「なんて当たり前のことを言ってるんだ?」
と言われるかもしれない。
そう、当たり前のことなのだが
それが今まで出来なかったほどの
「クズヤロウ」だったのだと思う。
食後の皿はシンクに置きっぱなし、
食事もコンビニか外食、
もしくはパスタを茹でて素パスタ、
なんて当たり前。
洗濯物は畳まずに床に放りっぱなし。
一時期はゴミ屋敷かと思うほど
床一面にゴミが
散乱していた時期もあった。
それを人々は「怠惰」と呼ぶだろうが、
徐々に改善をし始めて、
10年が経とうとしている。
ようやく、人間になれたというわけだ。
それが本当に人間と呼ばれるものなのかは
定かではないが。
![](https://assets.st-note.com/img/1658932483547-XeQy5Gt5BN.jpg?width=800)
そんな日々を送ってはいるが、
こちとら人間になったばかりなので、
サボりたくなってしまうこともある。
心が折れそうになることも
あるだろう。
まだ始めたばかりなのだから、
当然である。
そんな時はやはり目標が大事なのである。
私で言えば、
「金曜日にスーパーカップを食べる」
「金曜日にお風呂を沸かして入る」
などのご褒美が「金曜日」に待っている、
と体に覚えさすことが大事なのだ。
それを考えるだけで
よし、お皿を洗って綺麗にしよう、とか
洗濯物を畳んで週末に備えよう、
となるわけだ。
これを習慣化させるのは
何度も繰り返すことが大事だろう。
おそらく、
「これをすればおやつが貰える!」
とワンちゃんが覚えるよりも
時間が掛かるだろう。
「それでも毎日を繰り返せば、
いつか早起きすることも
苦しいことではないと、
思える日々が来るだろう。」
そう信じて、日々を生きている。
小さな目標を立てて、
それを達成するという幸せを感じながら。
-1日目水曜日-
完
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