アジノひらき

人の“弱さ”に敏感でありたい。

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人の“弱さ”に敏感でありたい。

最近の記事

えべっさんと、あめちゃんと。

今年は1月10日まで大阪の実家に帰省していたので、 関東へ戻る日の新大阪駅構内には、 えべっさんの笹や熊手を持つスーツ姿の人がちらほらいた。 関東に住む方にはあまりなじみがないかもしれないけれど、 関西をはじめとする西の地域には「十日戎」という、 七福神の一人である恵比寿さま(通称:えべっさん)に 商売繁盛をお祈りするお祭りがある。 毎年、まだ少しお正月気分が抜けきれない1月10日前後。 えべっさんに縁のある神社を中心にお祭りがひらかれ、 たくさんの商売人が本年の商売繁盛

    • 「星か獣になる季節」 最果タヒ氏

      私の好きな小説のひとつ。 世界が狭いという幼さが故に、 社会とはまったく違う正義を貫く 登場人物たちの行動や言動が気になって どんどん読み進めてしまう。 *  *  *  *  *  *  * タイトル:「星か獣になる季節」 作者:最果タヒ *  *  *  *  *  *  * ずいぶんまえに、小説を図書館で借りて読んだときに衝撃を受けた。はじまりは突然で、1行目からもう世界は、事態はすでにはじまっていた。事態を理解しているあいだに、次の展開がもうはじまっ

      • おばあちゃんッ子になりたくて。_その2

        倒れてから一度も意識が戻らなかったおばあちゃんが、 主治医に「そろそろ」だと判断されたのは、 入院から半年経った頃。 当時はまだ、一人ひとりにメールをするのが当たり前。 全員が携帯を持っているわけでもない。 それでも、昼過ぎに連絡が来てすぐ、 みんな仕事も学校も、 なにもかも放り投げて病院に向かっていた。 おじいちゃんが死んだときは、 あまりにも急で、みんなに連絡が回りきる前に すべてが終わってしまっていた。 それをみんなが後悔していた。 今度は違う。 私の家族、

        • こんな感じで、多分また、10年後。

          「『30歳になって結婚してなかったら、結婚しよか』 って言ってたん、覚えてる?」 久しぶりに会って、飲みはじめてからもう2時間。 ひとしきり近況報告を済ませて、 ほろ酔いがてらの思い出話としてふった話題に、 「覚えてるよ」 意外にも鮮明な返事が返ってきた。 「マジで?」 もう、6年ぐらい前の話なんだけど。 「あの、掘りごたつの店やろ」 シュウはそう言って、 地元の安居酒屋の名前と、 そのとき飲んでいた日本酒の銘柄まで口にした。 日本酒の銘柄だなんて、

        えべっさんと、あめちゃんと。

          許せないなら、付箋はつけないこと。

          どうしても許せないことがあったとする。 でも、 許せないままでいても、 心に負担が残るだけ。 だから 許したいならまずは 忘れましょうよ。 ある知人に最近、 えらそうにそんなことをアドバイスした。 許せないまま覚えていたら、 そりゃあ許せないよ。 だからね、忘れましょうって。 「きっとね、 沙也香さんは、 許せない思い出に、 付箋をつけちゃっているんですよ」 そう言ったら、 沙也香さんは不思議そうな顔をした。 「本棚の奥の方にある本、 何

          許せないなら、付箋はつけないこと。

          存分に傷つけよ。生きてりゃ治るから。

          存分に傷つけよ。生きてりゃ治るから。

          悩んでいる人にとっていちばん力になる言葉は、慰めでも、肯定でもなく「なんでそう感じたと思う?」と、本人も気づいていない深層心理に導いてあげるための言葉なのかもしれない。

          悩んでいる人にとっていちばん力になる言葉は、慰めでも、肯定でもなく「なんでそう感じたと思う?」と、本人も気づいていない深層心理に導いてあげるための言葉なのかもしれない。

          よそ行き。

          「おしゃれになった」 「前とは雰囲気がまるでちがう」 「都会っぽい、って感じ」 続けざまにそう褒められても、 何故だかちっとも嬉しくない。 あぁ、君との時間が ふだん着から、 よそ行きに変わってしまったのだな。 と、 離れてしまった 心の距離を再度確認する。 私は今日、この時間のためにシャワーを浴びて、 化粧をして、身支度を調えた。 麻のブルーのズボンは、 少し奮発して購入したお気に入り。 もう、あの頃のように、 呼び出された状態 そのままの

          足をあげて、腰おとせ。

          最近、週末のジョギングが定番化している。 いつまで続くか分からないけれど、 今のところ、 かれこれ1ヶ月半ほど。 最初はゆっくり2km走っただけで、 もう走れないと足を止めていた。 中学時代に陸上部で 中長距離を走っていた経歴は、 もうとっくに時効切れだった。 そんな調子だから、 無理をしても続かないだろうと 「とりあえず1時間」 とだけ決めて、 あとは自由に 歩いたり、走ったり を繰り返した。 * 3回目のジョギングだったか。 45分ほど

          足をあげて、腰おとせ。

          「俺が正しい」という過ち。

          「俺が絶対に正しい」 あの人は、 その考えを絶対に覆さない。 「俺の言うとおりにしとけばいい」 「だまっとけ」 「だから、お前はあかんねん」 セリフのほとんどが、 会話の先にいる相手を 否定することからはじまる、あの人。 自分はその人から否定される存在で、 私にはこの人以下の価値しかない。 それは私にとって、 もはや日常すぎて気づかなかった。 私がまだ幼い頃、 それは当然だった。 私は子どもだから、 きっと大人の方が何でも知っていて、 大人の

          「俺が正しい」という過ち。

          いつか「そんな人」になる君へ。

          これまでに何度か、 付き合ってもいない、 好き同士でもなんでもない人と セックスをすることがあった。 それが正しいことか、 悪いことかどうかは置いておいて。 とにかく私は、 付き合っていない人とも セックスをすることがある。 だけど、 振り返ってみれば、 その誰のことも、 覚えていないのだ。 「今までの経験人数は?」 下世話な質問に、 少々の時間さえもらえば、 正確な数を答えることはできる。 でも彼らの名前も、 どんな気持ちで接していたのか

          いつか「そんな人」になる君へ。

          恋をはじめよう。

          最近、恋をしていない。 ちょっと前までは、 いつだって、誰かに恋をしていた。 いつからだろうか。 あの頃はたしかにあった、 恋愛専用の特等席は、 いつの間にかだれかに、 もしかすると自分自身で取り払い、 心のどこかにしまわれている。 あの椅子は、どこにいってしまったのか。 何故しまってしまったのか。 老朽化だろうか。 こんなみすぼらしい椅子では、 誰ももてなせないと恥じらい、 しまってしまったのだろうか。 はて、 そもそもどんな椅子だったかな。

          恋をはじめよう。

          生活を大事にする。

          最近ふと思った。 私の毎日は、 社会人になってから教わったことばかりを、 優先しているなぁ…と。 広告のノウハウ 企画とはなんぞや 名刺の渡し方 メールのお作法 WebのPV数をどう上げるか デザインにはすべて意味があること 確かにどれも、とっても大事。 だけど私は、 社会人になる前にだって、 たくさんのことを学んで生きてきたはずだ。 学校では、 数学とか、社会とか、国語とか 体育とか美術とか。 あとは人づきあいとか。 先生や、同級生からも

          生活を大事にする。

          優しい人になりたい。 別に偽善とかそういう話じゃなくて。 私が人生で嬉しかった瞬間のほぼぜんぶに、 優しい人がそばにいてくれたから、 そう思うのだ。 * 「やさしい」のそばに「うれしい」がある。 そう思うから、 ただ単に私が嬉しくなるために、 優しい人になりたいのだ。

          優しい人になりたい。 別に偽善とかそういう話じゃなくて。 私が人生で嬉しかった瞬間のほぼぜんぶに、 優しい人がそばにいてくれたから、 そう思うのだ。 * 「やさしい」のそばに「うれしい」がある。 そう思うから、 ただ単に私が嬉しくなるために、 優しい人になりたいのだ。

          何者にもなれないと嘆く君に。

          「何者かになりたい」 という願望をよく耳にする。 有名になりたい 大物になりたい だけどそれは、 とても大変な道のりらしい。 君は、 ずいぶん疲れてしまったようだ。 そんな君を見て、 いやそんな君を見ていないくても、 私は、 何者にもなれなくていい と思ってしまう。 何者とは、 なんなのだろうか。 たくさんの人に 名前を知られること? 誰にもできない大きな仕事を さらりとこなす人? 有り余るお金を 持っている人のこと? どれも素敵だと

          何者にもなれないと嘆く君に。

          母のような娘に。

          高校生になったばかりの私は、 まだまだ子どもだった。 だって、 怖い映画は最後まで観られない。 でも父と母は平気で観る。 暗くて人気のない場所も怖い。 変質者が出るかかの心配よりも、 お化けが出るんじゃないかって、 空想しては恐怖していた。 だけど大人はみんな、平然と歩いていく。 思春期まっさかりで、 大人になる準備は 始まっていたのだろうが、 でもやっぱり、 私にとって大人は まだまだ遠い存在だった。 * おばあちゃんが入院した。 意識不

          母のような娘に。