許せないなら、付箋はつけないこと。

どうしても許せないことがあったとする。



でも、

許せないままでいても、

心に負担が残るだけ。


だから

許したいならまずは

忘れましょうよ。




ある知人に最近、

えらそうにそんなことをアドバイスした。


許せないまま覚えていたら、

そりゃあ許せないよ。


だからね、忘れましょうって。


「きっとね、

沙也香さんは、

許せない思い出に、

付箋をつけちゃっているんですよ」


そう言ったら、

沙也香さんは不思議そうな顔をした。



「本棚の奥の方にある本、

何年も読んでいないから捨てようかな…

と取り出したとき、

付箋が貼ってあったら気になるでしょう。


わざわざそこを、

開いて読んでしまうでしょう。

そこに「許せないこと」が書いていたら、

読んでしまう。

思い出してしまう。


それでむかむかして、

結局また捨てられなくなってしまう。



だからいつまでも許せないんですよ。



でもね、

なんにもしるしをつけなければ、

ホコリを被った本を捨てるときに

思い返そうなんて思わない。


「何書いていたか忘れちゃった」

って、さらりと捨てられるものなんです。


捨てられなかったとしても、

もうどこの部分に怒っていたのか曖昧になって、

「なんだったかな」って思い出すこともなくなる。


だからね、

今記憶の中に貼り付けている付箋、

外しちゃってください」


そう言ったら、

沙也香さんは多少納得できない顔をしつつも、

頷いてくれた。


付箋を外しても、

しばらくは覚えているかもしれない。

長年付箋を貼っていたページには、

型が残っているかもしれない。


だけど、思い出を増やしていくうちに、

きっとぜんぶ薄くなって、

いずれ何だかよく分からなくなるよ。


そうなればきっと、

今許せないこともぜんぶ許せるようになる。


沙也香さん、きっと大丈夫ですよ。



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