中野の怪人

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「政府に頼らない俺カッケー」という人々

最近、れいわ新撰組の増税反対デモに参加してからツイッター(現X)を再開して政治系のアカウントをいくつかフォローすると、タイムラインに流れてくる政府の減税などの経済政策に何故か過剰に反対する投稿が目立つ。 前提条件として、現在の日本の不景気の原因は、消費税や社会保障費などで可処分所得が巻き上げられ過ぎて、国内に流通するカネの量が減ってしまっていることに起因する。それを解消するためには、減税や、給付金などの政策によって国民が使えるカネの量を増やすことが効果的であることは中学高校

    • れいわ新選組の増税反対デモに参加してみた話

      「デモ」という言葉を聞くと、どういった情景を想像されるでしょうか。 激突する群衆と警備隊。炸裂する火炎瓶。鳴り響く怒号、鬨(とき)の声・・・。 ・・・そんなエンドゲームのような激突シーンはございません。もっと明るくポップな行進でした。しかしそこには確かに「叫び」があったし、未来への希望、願い、祈り、様々な情念が渦巻いていた方に思う。 オールドルーキーとして社会人をはじめて4年目になるだろうか。少しばかり健康を犠牲にして日々の仕事はなんとかこなしていける。連休を使って社外の

      • 知的障害者の弟が生まれた時の話

        これから書くのは、俺の人生に永遠に影を落とし続ける地獄の話だ。 俺には10以上歳の離れた弟がいる。確か中学2、3年の時に生まれたのだ。人が高校受験控えてる時に両親はナニをよろしくやってんだって感じだよな。産むか産まないかはかなりモメた。 父親は反対したが、母親は涙ながらに堕したくないと訴えた。「この子がどんな子に育つかはわからないんだから」と。子供の俺達兄妹には反対する権利など無かったし、「好きにすれば」と半ば冷めた態度だった。 母親のお腹が大きくなるほどに、自分の中の不

        • 帰還

          「今週は忙しかったし、体調も万全じゃないので無理です」 職場で一番の可愛い女の子にやっとのことで連絡先を聞いて、何処かへ遊びに行こうと誘うこと3回目。脈が無い、素っ気ない、塩対応という言葉が相応しいそのメッセージは、俺の精神の骨格を粉砕するには十分な破壊力を孕んでいた。 金曜日の夜に断りの連絡を受けて、奇跡が起きればデートになるかも知れなかった土曜日の朝は布団から起き上がれなかった。 もう5年以上は変えていないアイフォン8の連絡先の中から数少ない高校時代大学時代の旧友の連

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          オペラ歌手の師匠に出会った話

          俺が育った関東地方の片田舎にある団地は、自転車のカギをかけ忘れるとほぼ確実に次の日には無くなってる程度には治安が悪くって、俺もヤンキーに殴られたり殴ったり、それなりにお行儀の良くないガキだった。 そんな俺が、何故か大学に行けることになったのだ。 学内の敷地の地下を電車が通ってて、トンネルを抜けるとそこはまるで山みたいな土地だった。快速の止まらない小さな駅舎を出て、歩くこと10分くらいで正門が見えくる。舗装された道路が木々の生い茂る山中へ続いていて、アスファルトの一歩外側の地

          オペラ歌手の師匠に出会った話

          はじめて「ロッキー」を観たらエイドリアンがひたすら可愛かった

          ワタクシ、ちょっと映画ファンぶって映画の台詞を引用したりしながら文章を書いたりするんですけど、実はそこまで映画通じゃないんですよ。しかしてその実態はアベンジャーズとティム・バートン全部観たくらいでイキってるオタクなんですよ。あ、インクレディブルハルクまだ観てなかった。 オタクって、その分野そのものをこよなく愛しているタイプと、そのコンテンツに耽溺している、知識を大量に蓄えている自分が好きっていう2パターンがあると思います。もちろん完璧に二分できるもんじゃないだろうし、コンテ

          はじめて「ロッキー」を観たらエイドリアンがひたすら可愛かった

          医療機関で働く発達障害者の放浪記ー序章

          やっぱり障害は呪い よく障害は個性か呪いか、なんてカッコいい議論がある。僕はよく「変わってるね」「個性的だね」なんて言葉を賜ることが多いけれども、その当事者の目線から見て、個性なんてあんまりいいもんじゃない。本当にみんなが個性と呼んで褒め称えたりするモノの正体は、足の速さとか、頭の良さとか、コミュニケーションの上手さとかの、目に見える美徳の大小の序列化だ。アニメや映画じゃ、個性って、握りしめた拳から鋼の爪がジャキーンって飛び出す不死身の肉体とか、冷気を操って雪山にいきなり氷の

          医療機関で働く発達障害者の放浪記ー序章

          母のお望み通り

          「家事が大変だ」 「育児の大変さをわかっていない」 そういう発言をする女性に対してどんな感想を持つだろうか。 専業主婦としての能力が低い、自業自得だ、と言って嘲笑するだろうか。 可哀想に、自分が彼女のパートナーだったらそんな思いはさせないのに、と同情の念を寄せるだろうか。 僕は両方だ。僕の母親がそういう女性だったからだ。 僕が子供の頃から母は疲れっぽい人で、パートで働きに出ていた時などは特に、家では寝ていることが多かった。僕も非常に手のかかる子供だったが、「お母さん

          母のお望み通り

          今のMTGのスタンダード環境に必要なのは「奇跡」なんじゃね?っていう話

          今日は僕が10年近くプレイし続けているある対戦ゲームの話をしたいと思います。その名もマジック・ザ・ギャザリング(”Magic the gathering”以下MTG)です。 かの「遊戯王」のモデルとなった世界最古のカードゲームで、一時期はコロコロコミックでの漫画連載やメディア展開もなされたので、名前だけでもご存じの方は多いと思います。 僕は小中学生時代に遊んでしばらく引退した後に近年復帰したクチで、久しぶりに遊んでみて何に驚くかと言えば色々あるんですが、まず第一にモンスター

          今のMTGのスタンダード環境に必要なのは「奇跡」なんじゃね?っていう話

          与えるオッサン

          関東の地方都市の駅から歩いて5分、人通りの多い商店街近くに居を構えたその居酒屋では、オッサン達が昼間っから酒をかっ喰らって競馬に興じたりパチンコで勝った負けたと騒いでいるのが日常茶飯事だった。三枚扉の引き戸のガラスには地域の少年野球チームのメンバー募集や、地元出身の演歌歌手とかお笑い芸人のライブのポスターが貼ってある。店に入るとカウンター席だけで立ち食い蕎麦屋ならぬ立ち飲み屋。椅子は脚の長いパイプ椅子が何脚かあって座れるのは早い者勝ちだが、女性や年配のお客さんには自主的に誰か

          与えるオッサン

          FF7リメイクにエアリス生存ルートは実装されるべきか

          気候も段々と暖かくなってまいりました。この春から新生活を始める方々も大勢いらっしゃると思います。僕もこの春から仕事が決まったら、プライベートではゲーム三昧を夢見ているのですが、やはり個人的に注目のタイトルはいよいよ来月に発売が迫った「FF7リメイク」です。 グラフィックが一新され過ぎて(良い意味で)もはや別ゲー。しかし多くのプレイヤーが初代PS版のあの粗いポリゴンから想像力によって補完していた世界観を見事に表現した作品に昇華されていると感じます。神羅カンパニーとミッドガルの

          FF7リメイクにエアリス生存ルートは実装されるべきか

          国際結婚したブスな友人の話

          僕の大学時代の友人にアメリカ系の白人男性と国際結婚した女性がいる。 「欧米の白人男性は素晴らしい!それに比べて日本の男はクソッタレ!」みたいな差別発言を繰り返すヒステリックな女性を想像する人もいるかもしれないが、全くそんな人物では無く、むしろ彼女は僕を支えてくれた人だった。 一般的な夫婦らしく、ほどほどにケンカもするし、彼女の旦那は、背丈は日本人の平均身長よりもやや小柄な僕よりも少し高いくらいで、体格もひょろりとした痩身で、最近では「インフィニティウォー」の時のキャプテンア

          国際結婚したブスな友人の話

          「一生懸命生きていない人なんかいない。」

          インセルの男性達の寂しさ INCEL(インセル)という言葉がある。 ざっくり説明すると北米圏のアンダーグラウンドのネット世界で結婚相手や交際相手を得られない男性のコミュニティが自分達を指すスラングで、その中からは無差別テロ行為に及ぶ者も現れている。 参考記事 【期間限定復活】「白饅頭 vs. INCELマン」+After https://note.mu/terrakei07/n/ne38cd9c94013 僕は被害に遭った人々を悼む以上に、このインセルの男性達にシンパシー

          「一生懸命生きていない人なんかいない。」

          吐瀉物

          「あ、また来た!」 5日も続けて通い詰めたのは流石にやりすぎだったのだろう。 カウンターの向こうの彼女は笑っていたが、わずかばかりの迷惑そうなニュアンスの感情を持っていることを僕は察知してしまった。距離感も何処かよそよそしい気がする。 その店は個人経営の小さな居酒屋で、僕が人生に立ち往生していた時に色々と世話になった経緯があるのだが、彼女はそこでアルバイトをしていた。 誰に対してもニコニコと笑顔で接して気立てが良く、「女は愛嬌」という言葉を体現しているような女性で、その店に

          高島や、ああ高島屋、高島や。

          それ「松島や」じゃね?と妹にツッコまれた。教養ある妹を持って兄として大変に嬉しかった。 それはそうと東京は高島屋へ行ってスーツを買ってきた。今年は就職活動を控えている。大学卒業から人生に迷走し続けて、アラサーにしてはじめての就活である。「いいスーツを着ろ!」なんて書いてある就活マニュアルなんてものはないだろうが、コミュニケーションが不得手な自分の心証を少しでも底上げできればと思ったのだ。 全身フルオーダーメイドのスーツを仕立てると無情にも値札には6桁の数字が並ぶ。もちろん

          高島や、ああ高島屋、高島や。

          この世界の片隅で朽ちていく男達の決意

          性的魅力圧倒的強者の意見 先日、居酒屋で知り合った松山ケンイチ似のイケメンの知人と恋バナ的な話の流れになった。僕は相変わらず彼女がいないので、数々の恋愛マニュアルで読んだ戦略の話をしたんですが、 「女性は誰とパートナーになるか、誰の子供を出産するか決定権を持っているのだから、それに対抗するにはとにかく数多くの女性にアプローチするしか無いんだよ。」 と僕が言うと、 「そういう考え方だったらアフリカとかの発展途上国に行ってパートナーを探した方がいいんじゃないですか」 「セック

          この世界の片隅で朽ちていく男達の決意