華麗な一頁 —金子きみと文学青年たち—
この一節は、金子きみが「水あかり」という題で『新短歌』1960(昭和35)年11月号に寄せた文章からの引用である。
この号は、その年の7月に逝去した清水信の追悼号だった。きみは若かりし頃に清水と一緒に足繁くかよった「その会」のことを回想して清水の死を悼んでいる。会には、短歌を詠む若者、詩や小説を書く若者、絵を描く若者たちがいた。賑やかに文学論や芸術論を戦わせながら安酒をあおり、それぞれに理想は高くとも生活は慎ましかった、「奢らない」気さくな青年たちだった。
追悼文「水あか