4時36分
短歌 中西まさこ
はっと目が覚めた 夜明け前の寝室の闇で頭のエンジン全開
デジタル時計の数字はまた同じ4:36 何の意味があるのか
何度も現れる同じ数字の列に意味を見出そうとするのはなぜか
修道士Tは4:30に暁課を始める 久しく会っていない
想念は空を飛ぶもの と信じるようになったのはいつだろう
リアルタイムという現代語 地球の裏側とも会話ができる技術
電波という語の無かった大昔から親しい人とは想いでつながった
その人を想い その人のために祈る 念の力が空を飛んでゆく
Tからメールが届いた I was thinking about you
明日の夜明け前もまた 4:36 に目が覚めたら Tの事を想うだろう
初出:『未来山脈』2015年3月号
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