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『アヒル口の酒の妖精』〜愛すべき人々(三)〜
自宅近くの寿司屋のカウンターの隅に座っていたアヒル口の酒の妖精は、随分と久しぶりに出逢ってもやはり、相変わらずに美しい佇まいだった。
挨拶もそこそこに、空けて待ってくれていた右隣の椅子に座った瞬間、店内の男性客たちのまるで、ジロリという音が一斉に聞こえてくるような視線に思わずたじろいでしまった。
むべなるかな、女性客のひとり飲みの姿は美しい。
その立ち居振る舞いで、性格や男の趣味、生い立ち
【『W』〜愛すべき人々(二)〜】
「中村くん」
「なに?」
「何してたの?」
「あんたに起こされた」
「w」
携帯アプリのメッセージの着信音で起こされた時、電話の時計は深夜3時過ぎを表示していた。
長年の仕事の積み重ねのせいか、深夜の連絡の方が緊急性が高いので反射的に目覚めてしまう癖が私にはついてしまっている。
それに、最近はLINEやMessengerから仕事の依頼を貰うことも増えたので、ショートメールひとつ取ってもな