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トレーニング

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トレーニングについて生理学的、解剖学的に記事にしています。
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2020年1月の記事一覧

ウォーミングアップの生化学反応と生理学観点(ウォーミングアップを行うことで酸素摂取量が容易になり、運動初期の酸素不足は少なくなり、運動中に利用できる有酸素エネルギーは増加するので運動の遂行に有利になるとされている)

ウォーミングアップの生化学反応と生理学観点(ウォーミングアップを行うことで酸素摂取量が容易になり、運動初期の酸素不足は少なくなり、運動中に利用できる有酸素エネルギーは増加するので運動の遂行に有利になるとされている)

運動による体温の上昇1) 酸素の供給量増加:ヘモグロビンの酸素解離曲線が右に移動するため、酸素の解離が容易になって活動筋に対する酸素の供給が多くなります。

2) エネルギーの発生:生化学反応が促進されるために多量のエネルギーを発生させます。

3) 筋粘性低下・障害予防:筋の粘度が低くなるために俊敏な動きを行いやすく、運動による障害のリスクが軽減します。

4) 体温上昇の軽減:トレーニングの継

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高強度運動時のアシドーシスの原因(筋内乳酸の蓄積は、ミトコンドリアが適切な割合でATPを供給できなくなるタイミングとされる)

高強度運動時のアシドーシスの原因(筋内乳酸の蓄積は、ミトコンドリアが適切な割合でATPを供給できなくなるタイミングとされる)

高強度トレーニング時の疲労とアシドーシス運動中の血中乳酸の蓄積は、水素イオンの発生を伴う代謝副産物とみなされてきました。

しかし、速い解糖系によって生み出される乳酸の一部は、タイプⅠ筋線維内で酸化されます。

したがって、乳酸産生に関しては、水素イオンは蓄積される以上に除去されており、筋のphを低下させるよりも上昇させるという見方が現在は一般的になっています。

言い換えると、高強度運動時の疲労

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体幹筋群と腹腔内圧(ドローインもブレーシングも、体幹筋群の協働的収縮を賦活化させることで腹腔内の圧力(IAP)を高め、脊柱を安定させる)

体幹筋群と腹腔内圧(ドローインもブレーシングも、体幹筋群の協働的収縮を賦活化させることで腹腔内の圧力(IAP)を高め、脊柱を安定させる)

ローカル筋群とグローバル筋群体幹部の、特に腰仙部の脊椎付近にある筋群はローカル筋群とグローバル筋群とに分類されており、ローカル筋群のうち腹横筋および多裂筋は脊椎安定のためのスタビライザーとして役割を果たし、腹直筋や脊柱起立筋などのグローバル筋群は脊椎の運動とトルクを産生する役割を果たしています。

近年、体幹部のローカル筋群は、健康増進、美容促進や競技力向上など非常に幅広い面から注目されており、「

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無酸素性トレーニング時のエネルギー供給機構(無酸素性エネルギーは疲労困憊にいたる供給時間の短いホスファゲン系(ATP-PCr系)と比較的長い供給時間の長く速い解糖系(乳酸系)にわかれる)

無酸素性トレーニング時のエネルギー供給機構(無酸素性エネルギーは疲労困憊にいたる供給時間の短いホスファゲン系(ATP-PCr系)と比較的長い供給時間の長く速い解糖系(乳酸系)にわかれる)

ホスファゲン系(ATP-PCR系)体内にあるATPの総量は約85gと推定されていますが、これは高強度のエクササイズを最大努力で継続すれば数秒で枯渇してしまいます。

このATPを再合成するエネルギー代謝経路のうち、最も供給スピードの速いのがフォスファゲン系(ATP-PCr:PCr=クレアチンリン酸)になります。

クレアチンリン酸はATP同様に高エネルギーリン酸化合物になり、クレアチンキナーゼ(酵

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