小代焼中平窯 西川智成

焼物師・次期窯元。 1994年 熊本県生まれの30歳です。 熊本県荒尾市で父と2人、小…

小代焼中平窯 西川智成

焼物師・次期窯元。 1994年 熊本県生まれの30歳です。 熊本県荒尾市で父と2人、小代焼という伝統的な陶器を作っています。 ・ ・ ・ お問合せは公式ホームページ〚小代焼中平窯 ~熊本の窯元~〛のお問合せフォームよりお願いいたします。

マガジン

  • 小代焼の歴史

    小代焼は約400年前に熊本県北部で始まった焼き物です。細川家の移動に伴った上野焼の焼物師により、始まったとされています。

  • 日々作陶の巻

    西川智成の、日々の制作についての記事です。

  • 私の好きな陶芸家(陶芸関係者)

    小代焼の作り手としてではなく、いち焼き物ファンである西川智成が大好きな陶芸家・陶芸関係者を紹介します。

  • 西川智成のアタマの中 (陶芸関係)

    私、西川智成(ニシカワトモナリ)の思いつきや普段考えていることについて。

  • 柳宗悦氏の美意識

    民芸運動のリーダーであった柳宗悦氏の美意識。 私なりの考察や関連する内容の記事をまとめました。

最近の記事

  • 固定された記事

悔しさの幼少期、革命と失望の青年期、そして今年、僕は30歳になりました。

熊本県の小代焼中平窯・西川智成です(^^) 今年の3月に30歳になりまして、自分の人生を振り返ろうと思います。 下記は長い長い独り語りとなりますが、お付き合いいただけますと幸いです。 幼少期ヘビと焼き物と本が好きな小学生 私は熊本県の最北、有明海と福岡県に接する荒尾市で生まれ育ちました。 ちなみ7歳上には姉がおりまして、ギリギリ小学校が被らなかったために学校行事の度、小学校と中学校~高校を行ったり来たりした両親は大変だっただろうなぁと思います。 現在、姉は結婚して東

    • 小代焼か上野焼か? 白釉葉形向付(藁灰釉楓形皿)

      こんにちは。 小代焼中平窯の西川です!(^^)! 今回は2年前に公式ホームページで書いていた内容を改めて掲載いたします。 ‐‐‐‐‐ 先日、玉名市立歴史博物館こころピアへ とある古陶磁を拝見しに伺いました。 その器は 熊本県立美術館『第二十五回熊本の美術展 小代焼』2005年 に掲載されている白釉葉形向付です。 実はこの器、たいへん面白い一品でして…! 同手の品が 上野焼400年祭実行委員会『国焼茶陶 上野焼展 初期から現代まで』2002年 に藁灰釉楓形皿として掲

      • 野原八幡宮例大祭・節頭行事(せっとうぎょうじ)

        小代焼中平窯の西川です(^^) 今回は地域の秋祭りに参加しましたので、そのご報告を。 地元では通称『野原さん』と呼ばれている例大祭で、10月13日(日)に樺地区を回り、10月15日(火)に野原八幡宮へ奉納しました。 この行事は荒尾市指定無形民俗文化財に指定されています。 荒尾市・長洲町を含む旧荒尾手永28村中から毎年交代で3地区の輪番にて行われます。 節頭行事は鎌倉時代中期頃から始まったと言われており、実に770年の歴史を誇ります。 動画は10月13日(日)に小代焼中

        • 第4回 あらたま窯元めぐり

          小代焼中平窯の西川です(^^) 今回はイベントのお知らせです。 2024年10月18日(金)~10月20日(日)の3日間、熊本県の荒尾玉名地域で「窯元めぐり」が開催されます! 参加窯元は 小岱焼末安窯、小代焼中平窯、小代焼ふもと窯、小代本谷ちひろ窯、木の葉猿窯元、小代焼岱平窯、素月窯、末吉窯、陶房丸山、小代松風焼野田窯、三池焼、小代焼一先窯、田原弓陶房・美歩志窯、まもる窯 の14窯元です! https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/a

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        • 小代焼の歴史
          11本
        • 日々作陶の巻
          20本
        • 私の好きな陶芸家(陶芸関係者)
          14本
        • 西川智成のアタマの中 (陶芸関係)
          18本
        • 柳宗悦氏の美意識
          16本
        • 西川智成の考察 (陶芸以外)
          12本

        記事

          藤平伸氏 ~陶の詩人~

          小代焼中平窯の西川です(^^) 今日は陶芸家・藤平伸氏をご紹介します。 私は基本的に昭和に活躍された茶陶や和食器系の陶芸家達が好きなのですが、藤平氏はちょっと毛色の違う作家さんです。 藤平氏の作品に接すると、私自身の子供の頃を思い出すような感覚がありまして、勝手に強い共感を抱いています。 そういう意味では、私にとっては特別な、唯一無二な陶芸家です。 藤平伸氏の経歴 まず、簡単に藤平氏の経歴についてご紹介します。 藤平氏は1922年(大正11年)に京都の製陶所に生ま

          藤平伸氏 ~陶の詩人~

          酒器とお酒の話

          小代焼中平窯の西川です(^^) 今回は作り手から見た酒器についてと、私が最近お酒について個人的に思ったことをダラダラと書いていきます。 まずは真面目な酒器のお話から。 作り手から見た酒器 酒器と一口に言いましてもビールカップ、焼酎カップ、ワイングラスなどなど幅が広いですが、ここでは日本酒用の器について書いていきます。 具体的に挙げますと ・ぐい呑み ・徳利 ・盃 ・片口 ・お猪口 のことです。 特にぐい呑み&徳利は陶芸家としてはとても力の入る器です。 茶道具を手掛け

          2024年東京出張の記録 後編

          前回に続き、東京出張での思い出を書いていきます。 永青文庫  東京滞在の二日目、妻の個展を見た後は細川家の文化財を多数展示されている永青文庫へ。 最寄りの駅から少し歩くのですがこの日は気温が高く、しかもけっこう急な上り坂…! 軽く息を切らしながら永青文庫へたどり着きました。 しかし、入り口から入った途端、都会とは思えないような自然な清涼感に包まれました。 実際に気温が大きく下がった訳では無いのですが、涼しく穏やかな気持ちで永青文庫までの青々と木々の茂った数10mを歩きま

          2024年東京出張の記録 後編

          2024年東京出張の記録 前編

          こんにちは。 熊本県の窯元・小代焼中平窯の西川です(^^) 9月5日(木)~9月8日(日)まで東京へ行っていましたので、その記録を前編後編の2回に分けて書いていきます。 とある古美術店にて 羽田空港に到着後、そのまま京急蒲田駅近くのホテルへ直行。 キャリーケースをホテルへ預け、私は表参道駅まで向かいました。 18:30から青山ブックセンターで開催される朝倉圭一氏×星野概念氏のトークイベントへ伺うためです。 表参道駅の周辺では美術館がいくつかあるため、私はGoogleマッ

          2024年東京出張の記録 前編

          独立独歩の陶芸家・辻清明氏

          小代焼中平窯の西川です(^^) 今回は私の好きな陶芸家のお一人である辻清明氏について書いていきます。 清明氏は1927年生まれで、2008年に81歳でお亡くなりになりました。 また、以前ご紹介しました辻協氏の旦那様です。 私は特に清明氏の花器(花入)作品が好きでして、多種多様な作品群の中でも特に力を感じます。 協氏と同じく料理の器にも優品が多いです。 食器に関しては何気ない日の普段使いには協氏の器、人を集めて宴を開くような華やかな場には清明氏の器が合うように感じてい

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          茶の湯の系譜

          小代焼中平窯の西川です(^^) 今回は茶の湯、特に「わび・さび」という美意識が大成した頃の様子を俯瞰してみようという試みです。 茶道を知らない人から見れば、茶の湯には取っつきにくい印象があるかもしれませんが、それを少しでも取り除ければと思います。 また、本記事では大まかな流れについて書いていきますので、茶の湯についての深く専門的な内容はお茶人の皆様にお任せいたします。 安土桃山時代~江戸時代前期にかけて、茶の湯の中心人物は 千利休 ↓ 古田織部 ↓ 小堀遠州 と移

          土掘り

          小代焼中平窯の西川です(^^) 熊本も毎日暑い日が続いています…💦 昨日~今日の午前中は「土掘り」を行いました! 幸い作業現場はちょうど日陰になっておりまして、なんとか作業が終わりました。 小代焼中平窯では分業体制での量産を行っておりません。 具体的には主に私と父の2人で作っているため、様々な作業を少しづつ同時進行で進めています。 幸いなことに敷地内で粘土が確保できまして、私の代(あと40年~50年…?)までは十分な量があります。 しかし、これを10数人規模の製陶所式

          『わからないままの民藝』

          小代焼中平窯の西川です(^^) やわい屋店主・朝倉圭一さん(@yawaiya_asakura )の御著書 『わからないままの民藝』を読み終えました🔥 宗教哲学者・柳宗悦氏が生きた大正~昭和を様々な角度から具体的に掘り下げることで、人間としての柳宗悦氏を垣間見ることができました。 概念や権威としての【体系化された民藝】ではなく、手探りで行きつ戻りつしながらも、新たな美意識を打ち立てようと奮闘していた頃の【生のままの民藝】を見つめているという印象を抱きました。 また、やわ

          『わからないままの民藝』

          刀剣美術

          小代焼中平窯の西川です(^^) 先日、参加している『小さな器研究会』の第2回研究会が開催されました。 今回のテーマは刀剣美術、 室町から桃山にかけて恩賞の品として価値が高められた様子は茶道具とも共通しています。 刀剣美術を学ぶことは茶道具を含めた日本美術全般を観る力を高めるであろうという趣旨でした。 当日は本阿弥流日本刀研師をされている、沖島大喜さん宅で刀剣の基礎知識を学び、観賞させていただきました(^^) 実際に日本刀を持たせていただき、とても貴重な経験となりまし

          細川家 ~戦国の武士として、知的な文化人として~

          小代焼中平窯の西川です(^^) 今回は江戸期に肥後熊本藩を統治した細川家を、 細川幽斎(藤孝)→細川三斎(忠興)→細川忠利の親子3世代を通して見つめてみようという試みです。 いずれも安土桃山時代(戦国時代)~江戸時代という時代の転換点を生きました。 細川家の肥後入国は1632年のことであり、三斎(忠興)&忠利の時代ですが、流れを見やすくするために一世代前の幽斎(藤孝)を出発点としてこの記事を書いていきます。 ・細川幽斎(藤孝):1534年~1610年 ・細川三斎(忠興

          細川家 ~戦国の武士として、知的な文化人として~

          小代焼と加藤清正

          小代焼中平窯の西川です(^^) ネット上に小代焼と戦国武将・加藤清正の関連について言及するサイトが散見されますが、個人的に小代焼の歴史が混乱している昨今の状況に危機感を抱いています。 小代焼は細川家の肥後(熊本)入国に伴った上野焼の陶工が、熊本県北部の小代山(現:小岱山)周辺で約400年前に焼き始めた陶器です。 戦国武将として加藤清正は有名であり人気もあることは事実ですが、 加藤清正と小代焼を結びつける物証・文献は今のところ発見されていません。 古畑窯 古畑窯と小代焼

          近現代の【やきもの鑑賞】

          小代焼中平窯の西川です(^^) 加藤唐九郎氏『やきもの随筆』を主な参考資料とし、近現代の陶磁器鑑賞について、どういった流れがあったかをまとめていきます。 また、出川直樹氏『やきもの鑑賞入門』も補助的に使います。 現在、陶磁器を鑑賞する場合、 茶の湯が好きな人は茶道具ばかり、民藝が好きな人は民芸品ばかり、器作家が好きな人は生活工芸ばかりの鑑賞方法や知識しか持っていない場合が多いようです。 専門家と呼ばれるような人々でさえ、木を見て森を見ず状態に陥っている場面に出くわしま

          近現代の【やきもの鑑賞】