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2024年東京出張の記録 前編

こんにちは。
熊本県の窯元・小代焼中平窯の西川です(^^)

9月5日(木)~9月8日(日)まで東京へ行っていましたので、その記録を前編後編の2回に分けて書いていきます。




とある古美術店にて


羽田空港に到着後、そのまま京急蒲田駅近くのホテルへ直行。
キャリーケースをホテルへ預け、私は表参道駅まで向かいました。
18:30から青山ブックセンターで開催される朝倉圭一氏×星野概念氏のトークイベントへ伺うためです。

表参道駅の周辺では美術館がいくつかあるため、私はGoogleマップを眺めながらフラフラと歩いていました。
しかし残念なことに、いつも東京出張の際にお邪魔する根津美術館は休館中…!


そんな時、とある古美術店の立看板が目に入りました。

なんと看板には北大路魯山人・加守田章二・岡部嶺男・浜田庄司・河井寛次郎etc…と、昭和陶芸界の巨匠達の名が書いてあるではありませんか!
私は迷わず入店しました。

そのお店ではガラスケース越しではなく手の触れることができる距離に作品が陳列されていました。
女性店員さん(オーナーさんは別にいらっしゃるようでした)から「どうぞ手び取ってごらんください。」と嬉しいお声掛けが。

多くの作品に触れましたが、あの加藤唐九郎氏のぐい呑みを触ることが出来ました。


加藤唐九郎氏のぐい吞み

唐九郎氏の作品はガラスケース越しに幾度か見たことがありましたが、触れたのは今回が初!
幸せな機会に恵まれました。

その他の感想としては、
「浜田庄司さんの茶碗は重いと言われているけど、そこまでじゃあないな。」
「岡部嶺男さんは土瓶も作っていたんだ。けっこう薄作りで軽いな。」
「魯山人さんの『福字皿』の実物を見れてうれしい。」
といった事が記憶に残っています。



ピカソの陶器


続いてヨックモック美術館へ。
ピカソが制作した陶芸作品を主体に展示してありました。

以前からピカソに抱いていた印象と同じく、陽気で異国感のある作品が多かったです。
※青の時代やミノタウロスの作品は暗いことも多いですが…!


ピカソの陶芸作品(フクロウ)


ピカソとフクロウ

容器に描かれたフクロウはどこか抜けているようで、微笑ましく思いました。
個人的にフクロウを自画像とした陶板作品を作っていますので、フクロウをモチーフとした作品の前でつい立ち止まってしまいます。

ピカソの陶芸作品

こちらの鳥の描かれたお皿は他のピカソ作品と毛色が違いました。
色彩のせいもあるのでしょうが、キャプションを見なければ日本人作家が作ったと勘違いしそうです。

まるで文人画のような美意識だと感じました。



岡本太郎記念館


ヨックモック美術館を出た後は近くにある岡本太郎記念館へ。
表参道周辺は幾度も来ていたのですが、こちらへは初めて伺いました。

この日はヤノベケンジ氏の作品が多数展示してあり、「ヤノベケンジが岡本太郎記念館をジャックする」ということがコンセプトのようでした。


ヤノベケンジ氏の作品

岡本太郎氏の名言「芸術はバクハツだ!」からインスピレーションを得た「宇宙猫」をテーマとした立体作品、平面作品、映像作品がありました。

失礼な話ですが移動で疲れたのか、映像作品を見ている時にちょっと眠くなってしまいました…。


岡本太郎氏の作品

帰り際に岡本太郎氏の『日本の伝統』という本を買い、記念館外の犬だかライオンだか分からない埴輪風の作品を見てホッコリ。

精神的に落ち込んでいた学生の頃、大学院生の先輩に『自分の中に毒を持て』という岡本太郎氏の本を貸してもらったことを思い出しながら、帰りの飛行機で今回買った本を読みました。

岡本太郎氏の清々しいまでの純粋な情熱を感じまして、どこかの機会で『日本の伝統』について改めてブログで書くつもりでおります。



『わからないままの民藝』トークイベント


夕方、この日のメインである『わからないままの民藝』のトークイベントへ。

以前ブログで紹介しましたご著者・朝倉圭一氏×帯を担当された星野概念氏の対談でした。

イベントは独特のゆるい雰囲気で進み、まさに『わからないまま』な世界感でした。


左・星野概念氏×右・朝倉圭一氏


印象に残ったことは、
・とある事柄について「完全に分かった気になる」とそこで止まってしまい、それ以上深く知ろうとしなくなってしまう。
・愛着と執着は違う。執着は精神的に良い状態とは言えないが、愛着は良い。
といった話題でした。

私は柳宗悦氏や民藝(民芸)という思想に強い関心があるのですが、感覚的には執着であると思っています。
これは私の生い立ちや性格と強く関係していて、私自身でこの関心をコントロールすることが出来ません。

まぁ、それについて特段良いとも悪いとも思っていないのですが、改めて「執着とは何か?」を考える良い機会になりました。

個人的には愛着はとある対象へ一方方向に愛情や愛おしさを持っている状態であり、執着は同じように愛情を持っているものの、その対象からの見返り(自身が与えた愛情と同程度の何か)を期待している状態なのかな~と思いました。

そのため、その対象からの見返りが無かった場合に愛情が憎しみや失望に裏返ることがあるのかな~と。

※これは正確な言葉の定義の話ではなく、愛着と執着という言葉に対しての私の印象を書いたまでです。

イベント終了後に持参した『わからないままの民藝』へ朝倉氏・星野氏ご両名にサインを頂きました!
その節はどうもありがとうございました<(_ _)>

全然関係のない話に飛びますが、星野氏はハンターハンター(※週刊少年ジャンプの漫画作品)のコップを自宅で一番愛用されているそうで、イベント中の事あるごとに「ハンターハンターの~…。」と話を切り出されていました 笑

コンビニへ立ち寄った所、ちょうどハンターハンターの新刊を発見しましたので購入し、熊本へ帰った日の夜はその新刊を読みながらゴロゴロしていました。


SASAI FINEARTS 妻の個展へ


東京へ着いた日の翌日は妻の個展初日でした。
銀座のSASAI FINEARTS様で今月21日まで開催されています。


植野綾 個展 (SASAI FINEARTS)


植野綾 個展 (SASAI FINEARTS)


有り難いことに二日目でほぼ完売(15点中の14点)しました!(^^)!

東京にお住まいの方は、ぜひ見に行っていただけますと幸いです。
今回は夏の光や豚の貯金箱などなど、これまで描いていなかったモチーフにも挑戦しています。


妻の個展初日へ伺った後は、細川家所有の文化財を多数展示されている永青文庫へ。


この後の出張記録は後編に続きます。




2024年9月11日(水) 西川智成


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