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大好きになれる仕事に出会えたときの話

Fujisanに入社し、マーケティング全般を見るようになって、数年後マネジャーとして動くようになった2010年。
翌年迎える10周年のことを考えなくてはいけなかったのだけれど、キャンペーンのアイデアが枯渇しつつあった。この頃は3ヶ月に1回キャンペーンサイトを作り、割引やセット販売なんかを何度か行っていて、自社内だけでやるにはアイデアの源泉が足りなかった。

コストをかけずに売上を上げる方法はないか、と毎日情報収集をするなかで出会ったのが「広報」の手法だった。

その頃は日本で第二次ITスタートアップブームが来ていて、2005年に開始したTechCrunch japanやThe BridgeなどのITスタートアップメディアが軌道に乗りつつあった。2010年に始まったTechWaveはメディアとして記事を出しながらコミュニティ運営も行い、そこでスタートアップを目指す若者が集まるようになった。

そんな背景もあって、最近のベンチャー企業界隈では「広報」の手法が人気らしいと知り、これまで自分が携わってきた広報っぽいことと何が違うのか調査を始めた。

マーケティング部のマネジャーだった私は、プレスリリースを書いたり記者さんからの問い合わせに答えたり、取材に同席したりといった広報の真似事も仕事の一つとして行っていた。しかしそれは事務作業の延長で、何も頭を使うこともなく、その作業が一体何に結びついているのか考えたこともなかった。

メディアに取材してもらって記事になったら、そこから新たな顧客候補に情報が届くのか!と気が付き、広報の手法は新規顧客の売上に結びつくのではないかと思って社長に相談してみた。
当時私は、新しいマーケティング手法はとりあえず試してみるということを繰り返していたので、社長は「いつものこと」として聞いてくれたのだった。

社長の交友関係の中にPR会社の人が何人かいたので、相談後、何社かに提案してもらった。
目先に迫る10周年キャンペーンのアイデア、それを通じて広報の手法が学べることを条件に提案していただいて、その中で面白いアイデアを出してくださったところと契約した。

これが「広報」という仕事との出会いで、この仕事の面白さが、また私の人生を変えてしまった。
広報の仕事に出会ったことで、独立するつもりなんてさらさらなかったのに、私は会社を設立するところまで来れたのだった。

それまでのマーケティングの業務では、お客様ひとりひとりのことを考え、どんな情報を届けたら購入していただけるかを毎日考えていた。
リスティング広告の運用だったら、どんなシチュエーションのどんなニーズのある人がどんな検索ワードを入力するのか。
メルマガだったら、何を購入した人でどんなタイミングだったら、さらに雑誌を読もうと思うのか。
そんな風に1対1の感覚で情報を届け、売上に繋げることを考えていたので、広報の考え方である「メディアの先にいる人にとって良い情報」を考えることが新鮮に感じた。

メディアの先の読者や視聴者のことを考えるということは、もっと社会的にものを考えるということ
広報の仕事は、自社と社会を結ぶ役割なんだと思い、売上に繋がるだけではない、広がりをもった仕事の面白さにどっぷりとハマってしまった。

契約したPR会社さんと10周年の企画を色々と進めようとした矢先に、東日本大震災が起こった。
広報マンとしても会社としても私の人生としても、この経験がきっかけで大きく変化が訪れたのだった。

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