マイクロノベル集 351「いくつかの可能性を考慮して」
マイクロノベルNo.1905
雷鳴。悪魔の笑みが闇夜に浮かび上がる。「ダイスを振れ。出た目の数だけお前の願いを叶えよう。しかし、同じ数の怖ろしい悪魔が召喚される。さあ、もう一回」激しい冷や汗。この悪魔の百面ダイスって、どうして一しか出ないの? 「俺が一番聞きたいよ!」
マイクロノベルNo.1906
「ただいま。日本の土質ってさぁ、土葬には向いてないんだよね」姉が変な知識を披露しながら、ぼくのお菓子を横取りして食べてしまう。「ヨーロッパ大陸のほとんどもそうなんだって。変なの」山に埋めてから帰ってくるまで、たったの三日か。次は川に流そうか。
マイクロノベルNo.1907
きみは線を引く? それとも誰かが引いた線の上を歩く? 考えればすぐわかるけど「線を引く」ことは難しいんだよ。一度、到着地点まで行かなきゃならないからね。で、これはハッピーエンドに続く線。作者は俺。三十年前の線だから、ちょっと掠れてるけどな。