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マイクロノベル集 334「なにを言ってるんだ、君は」

No.1821
言葉が通じなくなったからと言って、あなた以外の者に問題があるとは限らない。あなた自身に問題があるかもしれないのだ。「でも、ぼくは見てしまったんだ。昨日、お母さんの背中にあるチャックを」君にはないのかい? 「そりゃあ、もちろんあるけど」えっ。


No.1822
会話が通じなくなっちゃったんだ。あうんの呼吸、美しいハーモニーを奏でられる友達だったのに。「木の裏側に広がる雲の中を進み、エンジニアを訪ねよ」夏が終わる前に修復しなくては。ぼくは草で編んだかごの隙間に彼を匿いながら、二人で旅に出た。


No.1823
「どうだい、安くしておくよ」買ってくれ、という意味か? お前はなにを売っているんだ? 「わからないフリをするなんて、お高くとまってるねぇ」わかった。こいつ、ケンカを売ってるんだ。会社の上司を紹介するから、そいつに買ってもらえ。「まいどありぃ」


No.1824
ポケットの中にはペットボトルが一つ。ポケットを叩くとペットボトルが二つ。ここで疑問が生まれる。ペットボトルの中身は増えたのか? いや、片方は空だ。じゃあ、ペットボトルを直接叩くと? 「炭酸飲料以外で試しなさい」ぼくはコーラが飲みたいんだ。




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