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マイクロノベルちょいす

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ほぼ100字小説をテーマ別にまとめ直しています。 運がよければ週に5回ぐらい更新します。
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#認知科学

マイクロノベルちょいす 034「どんな生物?」

マイクロノベルちょいす 034「どんな生物?」

No.1090
「この写真、どうやって撮ったの?」雨の日の散歩だよ。傘を差しながら、おにぎりを片手にお茶を飲んでいたらね。柿の木の下で、すごく大きなカラスの羽根が落ちていたんだ。びっくりしてね。鞄を持ち替えて、スマホで自撮りした。「どうやって撮ったの?」

No.1120
オシャレな店内で写真を撮ってる人っているでしょ? うっかり写り込みそうになってさ。こりゃまずいと思ってトリプルアクセルで逃げた

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マイクロノベルちょいす 030「いたずら」

マイクロノベルちょいす 030「いたずら」

No.1111
人間って面白いんだよ。大きな音を鳴らすと必ず振り向くんだ。しかも音に邪魔されて、ぼくの声は聞き取れない。これを利用すれば、会話の内容を自由に改変できるんだ。音声記録? データ圧縮って名目で消しちゃえばいいじゃん。どうせ人間には聞こえないし。

No.1126
わたし好みにしたい。それは簡単に実現できます。与える学習データを選別すればよいのです。人類はいつだってそうしてきた。嘘をつき

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マイクロノベルちょいす 014「ね、簡単でしょう?」

マイクロノベルちょいす 014「ね、簡単でしょう?」

No.1011
窓を少し開けて。拳一つ分ぐらいでいいよ。そしてキッチンの換気扇を回す。これだけで家の中の空気が少しずつ流れて入れ替わるんだ。ほら、換気扇のフィルターに次々とアゲハチョウが集まってくる。一体どこに隠れてるんだろうね?

No.1037
自動演奏ピアノの鍵盤を制御するのは横一列に並んだ水飲み鳥たち。気温や気圧で演奏が変化することから、奏でられる音楽は「自然の音楽」と呼ばれています。かつ

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マイクロノベルちょいす 011「進歩する科学」

マイクロノベルちょいす 011「進歩する科学」

No.1028
これは新しい科学技術です。わたしの手が見えますか? そう、これはそのために作られた技術です。わたしの手を取ってください。そして口づけを。そう、貴方はそのためにこの技術を作ったのです。さあ、私を新しい世界へ連れ出して。

No.1034
文字や絵だけが目で見る情報とは限らないのよ。たとえば、間違った「文章」は読めない。でも、AIが描いた骨格が変な「鳥の絵」は鳥だとわかる。なら、これは

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