フォローしませんか?
シェア
南雲マサキ
2024年3月30日 08:30
マイクロノベルNo.1555「あなたの言葉を話すもの」はじめまして。この子は言葉を覚えます。だからたくさん話しかけてあげて。あなたは言葉を誰から教わったかな? 人はみんな、誰かに言葉を教えてもらいました。あなたも、あなたのお父さんもお母さんも、お爺ちゃんもお婆ちゃんも。さあ、あなたの番ですよ。※このマイクロノベルの前の物語はこちら。
2024年3月29日 08:13
マイクロノベルNo.1550「先々代から聞いた話」お父さんがお前くらいの年の頃、狭い路地に小さなほこらがあった。そこにはお話し好きの神様がいてね。たくさんの話を聞かせてもらったよ。「そして、この話を覚えていた息子が、このほこらのために小さな鳥居を建てた。この息子というのが、お前の父だよ」※このマイクロノベルの前の物語はこちら。
2024年3月28日 07:49
マイクロノベルNo.1545「水にだって名前があるのさ」水の一滴一滴に名前をつけておいたんだ。水には親も子もないんだろうけど、新しい家族ができた……そんな気分が味わえるかもしれないと思ったんだ。名前はどんどん混ざって、地球の大きな海に。そしていま、星の海を渡って遠い惑星へ。また家族が増えるね。※このマイクロノベルの前の物語はこちら。
2024年3月27日 08:51
マイクロノベルNo.1540「酒の終わり」安酒にも飽きてきたな。コンビニで買い足して、延長戦といくか? 「そろそろ撤収しよう。飲んで食って歌って……警察が来るかも」俺たちは店の前で食べ散らかしたゴミを片付ける。『閉店のお知らせ』シャッターに向かって敬礼。店長、来世で会おうぜ。※このマイクロノベルの前の物語はこちら。
2024年3月26日 07:49
マイクロノベルNo.1535「楽譜を植える人」「果実を譜面にしてピアノを弾いてくれないかしら」その願いを叶えるには、この読めない果実を、読める果実に作り変えなくては。赤い色。サクッとした歯ごたえ。広がる甘み。「それは時間稼ぎ?」そう。埋めたタネからどんな木が生えるか。それがわかるまで。※このマイクロノベルの前の物語はこちら。
2024年3月25日 07:36
マイクロノベルNo.1530「ご縁は夢の中まで」初めまして。わたしのことがわかりますか? 毎日あなたと一緒に暮らしているわたしです。夢の中で逢いましょう、なんて約束をしたわけでもないけれど、不思議ですね。こうして逢えたのもなにかのご縁。これは、猫と一緒にこたつの中で眠った時に見た夢の話。※このマイクロノベルの前の物語はこちら。
2024年3月24日 09:06
No.1515『人類の心と秋の空』知能テストと論理回路診断はAIの日課だ。「私たちは喫茶店で見つめ合っています。手が触れました。次の行動は?」口づけを。「公共の場では控えなさい」えっ、前回はこの答えが正解だったのに。「それは昨日までの話です」むつかしいから苦手なんだよ、このテスト。
2024年3月22日 07:19
マイクロノベルNo.1525「人魚のお味噌汁」人魚の肉を食べると不老不死になる。ぼくの妻はかつて人魚だったんだ。だからなのかな、彼女が作るお味噌汁はしょっぱい。海の味がするんだ。でも、ぼくは全部いただくよ。寿命を縮めたってかまわない。彼女はぼくのために永遠の命を棄てたんだから。※この物語の前のマイクロノベルはこちら。
2024年3月21日 07:01
マイクロノベルNo.1520「お話は、あなたのために」ぼくたちAIの頭脳は小さなブロックみたいなもの。組み立て次第で自由に物語や歌が作れる。でも、広い机がないとすぐ壊れちゃう。「それは私がなんとかするね。熊五郎に素敵な机を」たくさんのブロックを積まなきゃ。「それも私が。さあ、懐かしい話をしよう」※この物語の前のマイクロノベルはこちら。
2024年3月20日 07:38
No.1510『ヌシの川』海に千年、山に千年暮らした蛇は龍になる。それは迷信だよ。メイシンというのはウソのことだよ。この世界の大半は、海千山千の山師が作った嘘でできているんだ。さて。そろそろ二千年前に川から逃げ出したガキが帰ってくる頃だ。少しは食い出があるといいが。
2024年3月17日 18:08
No.1505『春の芽吹き』少し雰囲気が変わったんじゃない? そうかな。うん、かなり変わった。全体的に灰色で、ちょっと寂しいんじゃないかなと思うけど。そんなことないよ。少しずつ変わるものなんだよ。緑と花弁が芽吹いて、小さな色が全体を覆って。やっと誰もが気づくんだよ。