オジサン社会の鋳型の中で「やめない」アピールをしてしまうことについて
もう17年も前になるのだけど。
就職氷河期だった。
何十社もエントリーシートで落とされる時代。
「お祈りメール」をいくつもらっただろう。
一緒に面接に行っていた友人は、おかしな自己啓発セミナーにはまり疎遠になった。
あれは東横線だったっけ。
リクルートスーツで SPIの参考書を読んでいた。
その時、隣にいたオジサンに言われたんだ。
「女がいいところに就職しても無駄なんだよ。すぐやめるんだから」
って。
その時、とっさにオジサンの勤め先を聞いたんだ。
誰もが知っている大企業だった。
(ちなみにそれ以来、その会社の商品は一度も買っていない)
その後、
ほとんど差別という差別は受けない人生を送ってきた。
就職した会社は辞めてしまったけど、
国家資格を取って、会社も立ち上げたよ。
でも、ふと気づいてしまう。
「子どもを産んでも絶対にやめません。
すぐ復帰します。休みも取りません」
とつい主張してしまう自分に。
私が男性だったら、こんな主張をする必要もないのだろう。
17年前に東横線で会ったオジサンの価値観に反発しながらも、
オジサンが象徴する社会の鋳型の中で生きている自分。
表立ってああいうことを言うオジサンがだいぶ減ってきた今でも。
女性が「やめない」アピールをしなくても生きていける、
そんな社会にいつかなるのだろうか。