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小説「君と私の恋愛教室〜女性アレルギィの恋愛小説家と恋を知らない女性たち〜」

【あらすじ】
見た目はあまり冴えない男・原田貴明は、実は巷で大人気の恋愛小説家「結城貴司」の中の人だった。原田は女性に触れられると失神してしまうという女性アレルギィ体質だったが、そんな彼に恋愛を教えて欲しいと迫る女性が現れる。こうして彼と、彼を取り巻く女性たちを巡る「恋愛教室」が始まった。

【備考】
・本作は「君と私の恋愛教室」の加筆・修正版です。
・本作はナツイチ小説大賞応募作品です。
・作品はコンテスト期間終了後に非公開になる場合があります。

【データ】
総文字数:約15万字
バージョン:v1.3
公開日:2022.09.10(オリジナル版2019.2.19)
更新日:2022.09.10

【リンク】
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【作品冒頭】

 ひやりとした空気が露出した肩を叩いたことに気づいて、沖愛里は目覚める。
 ――あ、寒っ。
 薄い布団の上にうつ伏せになっていた彼女はキャミソールが肩からずれていて、寝ぼけ眼でその肩紐を直しながら右手を伸ばした。おかしい。毎朝そこにあったはずの涌井祐介の肉体が感じられない。
 もそもそとした声が六畳間の片隅で響いているのに気づく。その中に「すみません」という言葉が混ざっていたのが分かり、
 ――ああ、またか。
 という気持ちで愛里は上半身をむっくと起こす。見ればシャツに右腕を通しながら、左肩でスマートフォンを挟み込んで電話を受けている痩せた男の無精髭の横っ面がある。曲がった背中は骨ばっていて、彼女が昨日クリーニングから取ってきたばかりの白シャツが皺になって歪んでいる。

小説「君と私の恋愛教室〜女性アレルギィの恋愛小説家と恋を知らない女性たち〜
」第一章より

#小説 #長編 #恋愛 #小説家 #すれ違い #片思い #切ない

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