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なげきの日々

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なげきの過去の恥ずかしくも恥ずかしい色恋話を、恥ずかしげもなく振り返るシリーズです。
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「東京タワー」⑥(最終話)

「東京タワー」⑥(最終話)

「よ。久しぶり」

僕のバイト先の映画館にお客として現れたキョウコさん。
どう見ても僕に責任がある自然消滅的な別れ方をしてしまってから約2年半。あれ以来何度か連絡を試みようとしたもののできなかった彼女が、いま、目の前にいる。2年半経っても風貌はまったく変わっておらず、小柄で、お団子頭で、笑うと猫のように目が細くなる。

「あ、ひ、久しぶり……」

「元気そうでよかった。パンフください」

「あ、は

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「東京タワー」⑤

「東京タワー」⑤

2002年のクリスマスが近づいていた。

11月中旬、正式に彼氏彼女としてお付き合いをすることになった僕とキョウコさんは、週に1回くらいのペースでデートをするようになった。

映画を見に行ったり、洋服屋さんをぶらぶらと回ってみたり、表参道にスイーツを食べに行ったり。

人生で初めて彼女ができた僕にとってはどれも新鮮な体験だった。

バイト先の映画館で働いている間も、僕は浮かれまくっていた。

同僚

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「東京タワー」④

「東京タワー」④

「……私のうち、来る?」

渋谷センター街、深夜0時過ぎ。
終電をなくした僕に向かって、キョウコさんが言った。

「えっ」

ドラマやマンガでよく見たシチュエーションが、まさか自分の身にも起きるなんて。
しかもあれだ、東方見聞録での「好きになっちゃった」の言葉と、カラオケボックスでの突然のキッス。そしてまさか、その日のうちにお、お泊まりとは…

「タクシーで行けば、ここから20分くらいだしさ」

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「東京タワー」③

「東京タワー」③

東京タワーでの初デートの日以降、僕とキョウコさんは頻繁にメールのやりとりをするようになった。

『バイトお疲れさま!』とか、

『こないだレンタルで〇〇〇〇の映画を見たよ』とか、

そんな他愛のない内容のメールがケータイに届いているのを映画館バイトの休憩中に眺めては、ひとりニマニマしている僕がいた。

当時僕はボンクラな文系大学生で、バイトの合間に講義に出たり出なかったりというヘラヘラした毎日を送

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「東京タワー」②

「東京タワー」②

キョウコさんからの提案で、僕たちの初デートの場所は東京タワーに決まった。

僕は夕方に映画館でのバイトを終えて大急ぎで電車に飛び乗り、JR浜松町駅に降り立った。11月。すでに陽は落ちかけていてうっすらと寒い。

改札を出たところでキョウコさんがすでに待っていた。定番のお団子頭に、ダッフルコートがよく似合っていた。

彼女は僕の姿を見ると、

「やあやあ」

と少し笑って手を振った。

笑うと目が線

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「東京タワー」①

「東京タワー」①

「私ね、悲しいことがあったら東京タワーを見に行くことにしてるんだ」

2002年11月。

のちに僕の人生初の彼女になってくれた女性の言った、忘れられない一言だ。

あれから18年の時が経って、僕は今でも東京タワーを見るたびにあの子のことを思い出してしまう。

僕とその女性、キョウコさんとの出会いは、期間限定のイベントアルバイトがきっかけだった。

休憩中に喫煙所でタバコをふかしながら趣味の映画の

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