『発達障害は脳の障害だから一生良くならない』と言われたとき疑問を持って欲しい5つのこと
2005年に発達障害者支援法が、施行されてから、
『発達障害』と言われる子が
ものすごいスピードで増え続けています。
40年間、特別支援教育の現場でお仕事をしていて、
このとてつもない変化を肌で感じてきました。
『発達障害』と診断される数は
この13年で10倍にも増えたと言われますね。
ですから、親御さんの世代ですと、
殆ど言われなかったようなお子さんも含めて
非常に多くの子が
『発達障害です』
『脳の障害ですから一生よくなりません』
と言われるわけです。
そこで、今の時代
『発達障害です。脳の障害だから良くならないですよ』
と言われたとき
疑問を持って欲しい5つのことがあります。
1.脳の障害は一生改善しないのか?
脳の画像を見たときに、生まれつき脳に大きな空白があったり、
脳がとても小さかったりする障害のあるお子さんがおられます。
そのようなお子さんも、運動療法などで、歩けるようになり、話せるようになり、お勉強も出来るようになっていきます。
『脳障害だから良くならない』
というようには考えずに、
体を動かすことで、脳を育てていきます。
『脳が変わらない』と思われていたのは、ずっと昔のことで、
現在は脳には大きな『可塑性』が有り、動くこと、学習することで、
大きく成長発達していくことが科学的に証明されています。
そのお子さんの持って生まれた障害の状態にもよって、
どこまで伸びるかなど差はあるとしても、
『脳の障害だから良くならない』
というのは、今の時代には、当てはまらないことと言えるでしょう。
脳には大きな可塑性があり、それは運動や学習によって改善されていくからです。
2.『発達障害』と言われる子に、本当に『脳の障害があるのか?』
では、発達障害といわれる子どもに本当に『脳の障害』が有るのでしょうか?
1970 年代になって、ラターらが唱える『自閉症は脳の障害説』は
コペルニクス的大転換と言われ、その後、医学関係者の一般的な考えとなり療育・教育の方法も大きく変化した。
このころは、まだ生きた人間の脳の状態を見る技術はありませんでしたので、『脳のどこかに障害があるのだろう』という考え方でした。
『発達障害は脳の障害説』が出てきてから、20年ほど経ち
1990年代にはやっと脳科学の世界では、
生きた状態で人間の脳を観察できるようになり、
脳の働きや障害についても解明も劇的に進み続けているまっただ中です。
では、脳科学の発達によって、『発達障害』と直接関係ある脳の障害が特定できたかというと、
調べても、調べても、脳の特定の障害は発見されることがありませんでした。
『脳の障害』が特定されたわけでもないですし、
実際にお子さんの脳の画像を見て、
『この子の、ここに障害があるから発達障害です」
と言われたのでもないはずです。
3.『微細な脳の障害』なのに一生よくならないと考えるのはどうして?
発達障害の原因となるはずの『脳の障害』が、最新の脳科学で研究を続けても特定されないために
「きっと、目には見えない【微細脳障害】という、微細な傷があるのでは?」
という仮説が非常に広まってきます。
『調べても調べても全く分からないけれど、脳のどこかに障害があるのだろう』
ということです。
今は、脳にも可塑性が有り、脳に大きな損傷がある子どもの空洞も埋まっていくことがあること。
運動や学習によって脳がどんどん変化していき、又、新しい脳細胞も生まれ続けることが明らかになってきました。
もしも発達障害と言われる子の脳に【微細】な障害があるとしたら、
それは尚更改善すると考えるのが妥当ですよね。
4.脳の問題では無く『神経の発達』の問題という考え方に変わったのはどうして?
脳科学の発達によって、『発達障害』と言われる子には、特定の脳の損傷はないことが分かってきました。
そうすると微細な障害では無く、
これは『神経発達の問題』だろうということになってきました。
神経は生まれてから後に、生まれた環境に適合するように、
感覚や運動、学習によって次々に繋いでは捨て去り、組み替えていく物ですから
神経が【生まれつき】で【変わらない】というのは、かなり不自然なことですね。
実際に
アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5)や
2022年に発効される世界保健機関(WHO)のICD-11では、
発達障害は「神経発達症」と表記されるようになり
一生続く「障害」という概念が取り去られます。
5.【発達障害】と、いわれた子どもがエクササイズで改善していくのはなぜ?
私の考え方としては、やはり実際に【発達障害】と言われた子どもたちが、
アトリエでのレッスンを通して、発達成長されていくこと。
支援が必要だったお子さんが支援を必要としなくなるまで成長されること、
この事例を非常に沢山見てきたことで、
『発達障害は脳の障害だから一生よくならない』
というのは、少し違う気がしてきたのです。
私自身が『子どもが発達する道が必ずあるはず』と信じて、
特別支援教育を30年間実践してきました。
それによってある程度は問題が無くなり、発達が進み
改善して行く部分はとても多いのですが、
【この部分だけは、なかなか変わらないな】
と、思いたくなる内容が実際にあったのです。
そこは、教えても教えても、なかなか変わらないので
『本当に生まれつきかも知れない』と一度は諦めかけました。
私自身がそう思っていたので、
多くの特別支援教育関係、療育関係の先生方が
『生まれつきだから変わりません』
といわれるお気持ちもよく分かるのです。
でも、これは、根底から変わっていく方法があるということに
10年前に気づいたのです。
一度気づいてみれば、脱力するほどにシンプルな方法で、
どなたでも、手軽に取り組むことができます。
① 赤ちゃんから発達の復習をする
② 3ステップの発達を見る
③ 上から下へ、中心から末端に制限を取っていく
この3つです。
まず最初の段階の
① 赤ちゃんから発達の復習をする
から是非始めてみて下さい。
『乳幼児の発達の順番』で検索すると、沢山出てきますが、
どこにも全く同じことが書いてあることに気づかれるでしょう。
これは、国が違っても、時代が違っても、
『発達の順番』は変わらないからです。
何歳であっても、そこを順番に復習するのです。
全身運動であれば、
首の安定、抗重力運動、寝返り、ずり這い、ハイハイ・・・・と復習していきましょう。
全身運動以外にも、
手の動き、言葉、社会性、なども一番簡単なところから、
順番に復習してみるといいですね。
『発達障害』といわれたとしても
発達の復習をすることで、神経の発達過程での、
ちょっとしたつまずきは克服されていくでしょう。
1日20秒でも大丈夫です。
楽しく、無理なく進めてみて下さい。
きっと見えてくることがあるでしょう。
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