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民法改正と不動産

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2020年4月1日施行の改正民法が不動産業に与える影響を解説していきます。
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民法改正と不動産業(賃貸借)への影響 物件売買後の賃貸借関係

民法改正と不動産業(賃貸借)への影響 物件売買後の賃貸借関係

賃貸人、つまり不動産所有者が売買などで変更となった場合における「賃貸人の地位の移転」の規定が改正前民法にはありませんでした。

今回の民法改正にて、従来の判例理論を明確にして条文化しました。

一方で、不動産証券化の際に多用される不動産の元所有者に賃貸人の地位を留める所謂「セル&リースバック取引」の処理方法についても明確化しました。

まずは条文を掲げておきます。

改正民法605条の2(不動産の

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民法改正と不動産業(賃貸借)への影響 賃借人の権利強化

民法改正と不動産業(賃貸借)への影響 賃借人の権利強化

今回の民法改正では、不動産賃貸借の場面において、より賃借人の権利を強化する方向の改正が目白押しとなっています。ここでは、賃借人の権限強化の規定について見てみましょう。

不動産オーナーにとっては、これらをしっかりと認識しておかないと賢い賃借人からあれやこれやと請求される可能性があるので注意が必要です。
特に、賃借人の修繕権や賃料減額ルールについては、契約当初において将来想定される事象を詳細に取り決

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民法改正と不動産業(賃貸借)への影響 敷金ルールの明確化

民法改正と不動産業(賃貸借)への影響 敷金ルールの明確化

今般の民法改正で賃貸借契約における敷金の取扱いが明確化されました。
実は、旧民法では、敷金に関する規定ありませんでした。

今回、分かりやすい民法を作ろうということで敷金の定義をはっきりさせました。

ということで、敷金に関する改正の趣旨は、従来の判例理論の条文化であり、実質的な改正ではないです。

「敷金が改正になっているから注意しろよ!」という上司がいたら、発言は間違っていないですが、正確には

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民法改正と不動産業(賃貸借)への影響 保証人への情報提供ルール

民法改正と不動産業(賃貸借)への影響 保証人への情報提供ルール

前回の記事にて、今般の民法改正にて不動産賃貸借契約の際の、個人保証人に対する極度額ルールが導入されたことを説明いたしました。

今回は、保証人関連の新たなルール「保証人に対する情報提供義務」を説明していきます。

まず、新しく導入された情報提供ルールをまとめたものを一覧で見てみましょう。

よくこの表を見てみると、事業債務かどうか?誰から誰に情報提供するのか?がかなり複雑なので、間違えないように運

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民法改正と不動産業(売買)への影響: 契約不適合責任(深掘編)

民法改正と不動産業(売買)への影響: 契約不適合責任(深掘編)

前回の契約不適合責任(導入編)にて、今回の民法改正による「契約不適合責任」は、旧法の「瑕疵担保責任」のリニューアルバージョンである旨をザクっと解説いたしました。

今回はもう少し掘り下げて、何が一体どう変わったかをやや詳しく見ていきます。
この契約不適合責任には、今回の債権法の改正「債務不履行による損害賠償」「債務不履行による契約解除」の論点も絡んでくるので、内容を完全に理解するには、相当ヘビーな

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民法改正と不動産業(売買)への影響: 契約不適合責任(導入編)

民法改正と不動産業(売買)への影響: 契約不適合責任(導入編)

今回の民法改正は、不動産取引関係の実務を根本的に変質させるものから、従来の裁判所の判例理論を条文化したものまで、様々なレベルのものがあり、何がどれだけの影響力を持つかがイマイチ分かりにくいものになっています。

これから「民法改正と不動産業への影響」を連載方式で説明していきます。是非、実務の場面で思い出していただけると幸いです。

前回のガイダンスでザックリと全体像を解説しました。今回の民法改正の

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民法改正と不動産業への影響 まずは全体像から

民法改正と不動産業への影響 まずは全体像から

2017年5月26日に成立した民法改正が、いよいよ2020年4月1日から施行されることになり、不動産に関わる契約ルールも今後は改正民法を前提で処理されるようになります。

今回から連載で、不動産業における契約実務への影響を分かりやすく解説していきます。また、これから宅建試験を受験される方にも有益な情報となるように意識して書いていきたいと思います。

改正のポイント今回の民法改正のポイントとしては、

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