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vol.17【老いによるギフト】私の知らない両親の頑張り時代を知るきっかけに

夏の終わり、病院に行く日。気づきが2つありました。私はまず実家に寄って、病院の時間までお茶を飲んでいると。母・ブンブンの首元がものすごくカサカサしているのに気づきました。
「老人性乾皮症、しょうがないの!」とブンブン。新聞を隅々まで読み、辞書が大好き。文芸誌を愛読する知識人なのに、ぶっきらぼうなんですよね。

どうも、実家の老老介護におせっかいをしまくる娘、マアちゃんです。

先日転んだとき、看護師さんに教えてもらって介護タクシーを使ったら便利だったんだ、とブンブン。
「でもさ、モーターの音がとても大きくて嫌だったんだよね」
とペエくんは不満顔。そうか、周りに気づかれることの方がイヤなんだね。この心理をわかりながら会話しなくては。

介護タクシーを予約してあるという。「診察の日も、使いますか?」と水を向けてくださり、周りのリードで無事予約できたんだそうで。甘えて助けてもらうって大事。情報開示することが大事ですね。

ピンポーン、と介護タクシーさんが来て、ペエくんをお願いするとチャッチャと車椅子に乗せ、道路に出るまでの階段では昇降機に乗せ換えて降りる。こんなに便利なんだ!

あらかじめ、付き添いは2名と伝得る必要があります。大きめ、小さめの車がありました。無事伝えてあり、私がペエくんの隣に、ブンブンは運転してくれるおじさんの隣に乗りました。

ブンブンとおじさんの会話が弾みます。ブンブンだって話したかったんですよね、発見。おじさんもそれを理解してるのか、快活に話を合わせて小気味良い。

おじさん「あれですか、お仕事は何されてたんですかね」
ブンブン「工場なんですよ、あの頃は忙しかったですねえ」
おじさん「バブル期の、いい時代でしたよね!わたしらは昭和30年代生まれなんで、恩恵に預かってないんですよ。あの年代を経験している人は本当にすごいですよね」
ブンブン「そうそう。ベースアップを毎年してくれてね。残業も多かったですけどね、残業代が通常の2割増とか3割増しでついて、やればやるだけ儲かった。休日出勤なんて、2日分以上もらえて」

2日分以上もらえたんだ!私の知らない話がいっぱい、これも発見で驚く。

おじさん「不動産はね、うまいこと儲かった人と値打ちが下がっちゃった人と、いるみたいですねえ」
ブンブン「 そうですねえ。不動産はこのあたりはどうもダメでしたね、今の家なんて売り出してるの見たら、800万でしたよ、さびれた新興住宅街はだめですねえ」

 そうそう。800万、私も見た。小学校の同窓生が跡を継いだ、昔ながらの不動産屋が駅前に貼り出している。話が盛り上がるうち、病院に着いた。汗かきながら歩くのは大変だから、これは私も助かる。駅から病院を目指すと、近くにそびえ立って見えるのに、たっぷり15分は歩かされるんだから。

おじさんは、カミさんのお父さんが不動産をうまく買って儲かった話をしている。この近辺に住んでいるんだそう。個人情報に疎い人だと思われたくないから、この手の話題は仕事でいつも控えてるのですが、こういう変な気遣いが要らない話し振りがすごく有難くて感謝。ブンブンもとても楽しそうだ。

病気は有り難くないけど、自分が学生の頃に、親が頑張って働いていた様子がわかってよかった。話すのが楽しいこともわかったから、もっとなんでもない話をたくさんしようと思います。

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