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vol.18【答えのないことは】深く考えないように過ごす晩夏

「こないだ散髪屋さんを呼んで髪切ってもらったからね。ほら、サッパリした。いい感じ!」

私の父・ペエくんが短髪になっていて、私の母・ブンブンは大いに自慢した。これまでブンブンが切っていたんだけどな。急に身綺麗にしておこうと思い立つなんて、なんだか深読みしてしまう。

緊急事態宣言が解除されたから、ヘアカットの人が出向いていいことになった、それだけだよね。うん、そうに違いない、答えのないことは深く考えない。

どうも、両親の老老介護を遠くで見守るマアちゃんです。

実家へ寄り、一緒にテレビを見ました。それだけかい、と言うツッコミが入りそうですが、ジロジロ家中を見て用事を探すのだけれど、おうちは掃除されて特に用事が見当たらない。


テレビにどなたかの自宅介護の様子が映る。介護者は子ども、被介護者は親御さん。子どもから差し出されたかき揚げを、親御さんが箸でつまむ。パラパラっと崩れちゃう。親御さんは、不出来を指摘して、無駄に一生懸命やっても意味がないよ、と愚痴る。

これ、こないだのペエくんみたい。以前、病院の休憩コーナーで3人揃ってサンドイッチをつまんでいたときだ。うちの母・ブンブンがサンドイッチを落としてしまったら「ああ、ああ、何やってんの」とペエくん。

そんな言い方しなくても!と言う気もするのですが、自然とそういう考えになっていくのかもしれません。寛容の幅が広かった年齢から、また戻っていくのかな。

もうひとつ。ペエくんが車に乗るまでくらいなら、自力で歩けていた頃。病院から家に戻ると、プシュープシュー、と音がするんですよね。ん? と思ったら、ペエくんの息が上がって、マスクに息がぶつかって出る音でした。

ああ、こんなにもか、びっくり。しかし私より30歳年上なんだもの、こういう風になるんだよ、と見せてくれているのかも。

私も老いを感じるシーンがままある。今日ここへ来る道すがらで言うと、仕事が急がしかったので体が重く、電車にも酔ってしまった。社内で足を組んだら痺れてしまった。順番はじぶんにも来る。

この日は、テレビを見つつ、うちの子どもら(ペエくん・ブンブンにしたら孫)の写真を見せつつ、よもやま話をして帰っただけなんだけど、親のことも自分のこともちょっとずつ覚悟しなきゃ、と新たに感じた日でした。


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