vol.19【嚥下の問題】泡とろみビールを作りたい
嚥下障害があっても飲み込みやすい、とろみ付きビールの作り方動画があって、試そうと思い見ていました。というのも、通院のついでに寄った、院内の医療福祉相談室で「晩酌は欠かさない。ビールを毎晩1−2缶飲んでいる」と病気の父・ペエくんが言っていたから。
私の母・ブンブンはフォローとして「お医者さんはダメって言うんでしょうけど、そりゃあそうなんですけどね。でもね、もういいことにしてるんですよ」と、自分の管理のもと、飲ませてるとペエくんをかばった。
相談に乗ってくださった看護師さんは「いいんじゃないんですか?よく眠れますしねえ」とニコニコ、そのままスルーしてくださって。ここでルールをグイグイ言われても寂しすぎるので、現場の対応に感謝しかありません。
どうも、実家の老老介護を見守る娘、マアちゃんです。もし自分が余命宣告を受けた身で、ビールぐらいで叱られたら、すごく寂しいと思います。
※マネしたらダメな例です。必ず主治医の指示に従って健康管理をおこなってください。
この日の診察で訪問診療を勧められた私たち。診察の場で、「この後、すぐ相談室でお話しさせてください!」と私がお願いして。流れよくペエくん、ブンブン、私の3人と相談員さんで話せることになりました。
そう、今まで何度も、「まだそのサービスは要らない」と断っちゃっていたうちの両親。病院へ行ったタイミングで両親をこの話に乗せないと、また先送りになっちゃうので、タイミングを逃すまい!と。2ヶ月くらい前から訪問看護師さんに「そろそろ訪問診療に切り替えたほうが、転んだりのリスクが減っていいのでは」とお勧めされていたので。「じゃあ、それをドクターから言ってもらいたくて。お願いします!」と訪問看護師さんに頼んだのは私です。無事、ドクターが話を振ってくださり、うまくいきました。
しかし、相談室へ行っても、ブンブンはまだペエくんに気を遣って「どうなんでしょう、まだ訪問診療までは必要ないかなと思ってるんですよ」と煮え切らない。
私はすかさず、「でもさ、ほら、転んじゃってるよ」とブンブンのアザを指摘。
「なに!もう」と憤慨するブンブン。
またも看護師さんが、「ふふ。いえいえ、見ればわかっちゃいますね、ぶつけちゃってますねえ」と柔らかくおさめて下さいました。
最近介護の負荷が増え、腰が痛いと言っていたブンブンなので、「どんなことが大変ですか?」というインタビューの中でちょっと観念したらしく、みずからいろいろ語り出しました。
ぎっくり腰を前からちょくちょくやっていて、この1ヶ月、ペエくんをトイレへ連れて行くのも腰が限界。おむつ替えの姿勢だって、腰への負担が強いと言う。それでちょっと転びやすくなっている。
「わたしも面白くないから、夜飲んだりもしてるし、それでふらついて転んだりもあるんだけれども」と。
そうか。看護師さんを交えて話したからこそ、聞けた本音がここにも。
ドクターは先回りして動いてくれていて(というか、私が毎回、ああしたいこうしたい、と次の要望を出すから、っていのもあるんですが)もうすでに訪問診療への紹介状は書いてあるという。病院を辞して介護タクシーに揺られていると、携帯が鳴り、訪問診療の契約は3日後にできることに。速く進めたほうがいい、とみんなが思っていたっていう事かなあ。老いた親に納得してもらうって難しいですね。
もうこの景色見ることも無いんだ、と思いながら、竹やぶと田んぼ、畑、急に町が始まる窓の外を見ていると、先月の今日、間近で見たブンブンとペエくんのやりとりを思い出した。まだ嚥下の力もまあまあ大丈夫で、おかゆ、ひき肉料理、バナナ、と好きなものを食べていた頃だ。
病院から戻り、夕方から一杯やろうと、ふたりが話しているのを尻目に私がパソコンを打っていると。冷奴を突きながらビールで乾杯するふたり。ペエくんはもう、缶を煽って飲むのは難しいみたいで、咳き込み出した。「ああ、ああ、危ないから気をつけないと」とブンブン。しかし飲まないと損、とばかりにまた缶に手を伸ばすペエくんに、「それでも飲むのかい。死ぬぞ」とブンブン。
ちょっとギョッとしたのですが、このザツないいっぷり、これこそ日常だよね、と思って。まあ、田舎っぽい場所柄もあるかもしれないですが。
今の時点に心は戻ってきて、今日は退散。とろみづけパウダーを渡したけど、使いたく無い顔をしていたブンブン。またか。しかし、すぐには馴染まないのは仕方ない。
で、家に帰って、とろみがあって飲み込みやすいビールの作り方動画をじっくり見ました。煮立たせてからビール本体を冷やし、泡を別途作って上に乗せて。手間がかかるからとりあえず本体だけ作るっていうのでもいいかも。飲めたら嬉しいだろうから、ちょっとやってみます。
※後日談 やっぱりちょっと手間多めで、なかなかできず。計画的に手の空く時、やってみて下さい。
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