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⭐️日々の診療から 患者様から生活者へ⭐️

先日スタッフと興味深いお話をしました。
実はリハビリをする際、軽度の認知機能低下がある老人の方がリハビリが進むというのです。

一例として、足を骨折した患者様の歩行訓練を進めるとしましょう。

認知機能が保たれている高齢者ですと、訓練の時痛みを感じた経験をいつまでも覚えていて、恐怖心に繋がり訓練を拒否する事があります。
しかし、軽度の認知症があると、そういったネガティブな体験も忘却してしまうので、 前日転倒したり訓練で痛い思いをしても、翌日はバリバリ歩いて訓練に励むのです。
そして一定期間を経ると、認知症のない患者さんよりも、軽度の認知症のある患者さんの方が歩ける様になって退院した、 という症例がたくさんあるのです。
もし、患者様が骨折という病気だけであれば、日々痛みや不自由さで苦しまなければならなかったけれど、 軽度の認知症があることから新たな病気による苦しみが緩和されていたのです。
病気と病気が併存する事で、苦痛が軽減しプラスになる事もあると言う事です。
自然の恵、生命の神秘を感じています。

2040年には1/2が65歳以上、高齢者独居が増える中、2024年度の診療報酬改定では、「患者は生活者」ととらえて、入院期間の更なる短縮、病気になっても入院ではなく在宅で極力診る体制がさらに進むと考えられ、 今後在宅患者さんを医療スタッフよりも、むしろ地域の助け合いの中で診るようにと、転換期を迎えています。

医師は診療の際、ひと昔前は患者と呼んでいましたが、その後、患者さんに変えられ、その後患者様と呼び方を変えてきました。

私自身は超高齢化が進み医師も患者様も誰しもが病や老化と共存する世の中では、医師と患者というふうに区切る思想自体が消滅し、 ●さんと●さんという風に個と個の関係に移行する可能性があると考えています。

そして私自身が最近興味を持った本が鎌田實「ちょうどいい孤独」という本です。

鎌田實先生は地域医療のあるべき姿をつくり、自らも老化と付き合いながら奮闘される大先輩ですが、 本要約チャンネルで拝見し、学ばせていただき、私自身も今本を取り寄せています。

ご参考にしていただけれは幸いです。


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