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映画レビュー:23年2月の7本

サン・ソレイユ
(1982年/フランス/クリス・マルケル監督)

いつ始まるとも終わるとも知れない、イメージの連続。はじまりも終わりもないのかもしれない。各地の時刻をナレーションではさむの、視座が拡張されておもしろい。劇中の「お前がどこにいても、魂が安らかであるように。」って言葉、普遍の願いだなと思った。死後が極楽であろうと天国であろうと、どこにいても、魂が安らかであるように。供養の本懐だ。

ラ・ジュテ
(1962年/フランス/クリス・マルケル監督)

心拍音を音声として使うの巧い。早鐘を打つと、緊張しているんだなとダイレクトに伝わってくる。作品はスチール写真(静止画)を繋げていって作品に仕上げる「フォトロマン」という手法らしい。こういう方法もアリなのかと勉強になった。ただ補うようにナレーションが全編にわたって説明的なのがクドイ。モンタージュはもうリズムと感覚だから、ハマる人にはハマるが、波長が合わないと違和感でしかない。難しいな。(作り手目線)

シベリアからの手紙
(1958年/フランス/クリス・マルケル監督)

今となってはコレ良質のドキュメンタリーとは言えないのではないか、、冗長というか脈絡があるのかないのか、TV番組なら見るに耐えなくてチャンネル変えてる。映画館だから観れた。当時の習俗を記録した点では価値があるのかも。「人々は神々につつましい捧げ物をしてきた」というナレーションが往時の素朴な豊かさを象徴していて美しい。

バビロン
(2022年/アメリカ/デイミアン・チャゼル監督)

ブラッド・ピットが主演する(意義深い)、資本主義の純粋形態だった頃の映画業界のおはなし。効果的なカメラワーク、でも終盤に中だるみしてちょっと飽きる。労働者は高尚な演劇なんか行けないし行かない、廉価でマジカル・プレイスに行きたい。だから「人は孤独を忘れるために映画館へ行くんだ」の激情に昂ぶる。

On Your Mark
(1995年/日本/宮崎駿監督)

28年ぶり劇場上映!7分間の短編SF作品。ずっと観る機会を待っていて今回絶好のチャンスを掴まえた。7分なので、舞台設定の説明もなくいきなり世界観がはじまり、過去と現在をシャッフルしながら山場だけをギュッと詰め合わせ、終盤になってようやく話が理解できたと思った頃には終わっている。アッという間のカリオストロの城。
今回「耳をすませば」と同時上映(公開当時を踏襲)で、引き続き「耳すま」が上映されたのだが、この7分が終わったら席を立つ人がいて、「あぁOn Your Markだけ観たかったんだよね、28年ぶりにスクリーンにかかったんだもんね」と、気持ちが理解できて笑ってしまった。

耳をすませば
(1995年/日本/近藤喜文監督)

すさまじい映画だった。別エントリで詳しく。

長い旅
(2004年/フランス=モロッコ=ブルガリア=トルコ/イスマイル・フェルーキ監督)

こちらも別エントリで詳しく。

<了>


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