ひねもすのたり

2021年(令和3年)4月25日。日曜日。
3回目の緊急事態宣言初日。4都府県(東京都、京都府、大阪府、兵庫県)へ。

寺は、花の見頃も終わりで、参拝客も激減。落ち着いた週末。
月曜日からはまた閑静を取り戻すだろう。

■朝
妻と娘と、タケノコ掘りに竹林に入る。
今シーズン最後のタケノコ掘りと思われるが、最後にして、今シーズンはじめて3人で入る。静かで、自然の音しかしない。そこに娘の声が響く。妻が遠くで「ヘビだ」と声をあげる。楽しい。
時期的にも、もうなかなか見つからないので、踏み入れたことのない場所まで探検していくと、竹薮の斜面を登ったところに、防空壕があることを知る。30年以上ここに住んでいて知らなかった。
穫れたタケノコは御世話人さんの家に配達する。

家庭菜園で育てていた苺(とちおとめ)が1粒、赤く色づく。初物。
娘ともいで、3人で食べる。甘い。

■昼
遠雷。一雨来そうな空模様。この雨で花も完全に終わりだろう。繁忙期仕様でイスやスピーカーを設置していた境内を、閑散期仕様に戻すことに。御朱印もまばら。

先日駅までお送りしたご夫妻が、浄書した御写経を納めに来山。その節に近場の療養温泉を教えていただいた旨、あらためてお礼を申し上げる。

法話の動画編集をしていると、寺の廊下にムカデが這う。
体を傷つけないように棕櫚(しゅろ)の箒でやさしく掃く。すると箒の中に隠れこんでしまう。見つかったら命はないと思えば、当然か。割り箸でそっとつまみ出し、オリーブオイルの瓶に入れる(本当はごま油が良いと聞く)。ムカデ油を作る。今年の第1号。住職は「うわぁ残酷。」と一言。

■夕
発芽させていた種籾(あきたこまち)を、娘と一緒に種まきする。家庭で発泡スチロールで稲作する要領を得ず、2通りの方法で試してみることに。粘土質の土がそろっていたのは幸いだった。

親(私)のやりたいことに娘をつきあわせたので、彼女の願いもきく。「のんびりしたい」という要望に応えて、菩提樹の下のベンチにすわり、ひとしきり遊ぶ。宵の口、満月のようなあかるい月が昇る。(実際の満月は4/27とのこと)寝転んで月を眺める。コウモリの数を数える。「そろそろお風呂行こう」を合図に入浴。

夕食は、春キャベツの炒め物。+昨日のてんぷら(地産のカラスノエンドウ、ヨモギ、山椒など)の残り。

■夜
スズメバチトラップ(空のペットボトルに弁をつけて、中に焼酎+酢+砂糖を入れたもの。スズメバチはそこに誘引されて中に入り、中からは出られず、焼酎に溺れる)に捕まり、動かなくなっていたオオスズメバチを、並べて部屋の中で観察していると、そのうちの1匹が、腹部を動かし始める。針を上に向けて刺すような動きをはじめる。羽と脚も動かし始める。仮死状態だったのか。あわてて水に漬け(羽を濡らすと飛べなくなる)、焼酎に漬ける。アルコールに漬けたとたん、動きを止める。スズメバチ焼酎、初試作。

娘を寝かす。入眠前のおはなしを聞かせていると、腹の上で寝る。トトロの気分。子供に布団をかけて、テレビを見る。録画してあったTVドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」と「コントが始まる」の初回。NHK「SONGS・筒美京平スペシャル」。

日々の時間の使い方が、どんどん変わっていっているのを実感する。
気づけば自給自足の山寺の生活に近づいているようで、あまり想像をしていなかった未来のようでもある。20代の頃・僧侶になった頃・独り身の頃とは、生活のペースが変化している。不思議なものだ。

「仕事をしている」という感覚には乏しいが、「人間の営みを行っている」という実感は大きい。焦りから充足へシフトしているのだなと観察したい。


<了>


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