『怠惰への賛歌』(2) 建築と新しい「コモンズ」
前回、バートランド・ラッセルのエッセイ集『怠惰への賛歌』に収録されている表題作「怠惰への賛歌」を読んで、今こそ読まれるべき作品だと思ったけれども、同じ本の第3部に収録されている「建築と社会問題」もまた、現代にこそ読まれるべき作品と思う。
「寒気を防ぎ、雨露をしのぐ実利的な目的が」ある建物は「貧乏人の住居についてみても十分果されている」。
では、美しい建物、荘厳な建築は、誰がつくり出してきたのか。中世には、それは「教会と商業」だったという。ヴェニスやジェノアの商人たちは「荘