「読書のルール」ってないよね?!
シェニール織とか黄肉のメロンとか 著者:江國香織さん
江國香織さんの新作を読んだ。
民子、理枝、早希の3人は大学時代からの長きにわたっての友人でそれぞれ生活環境は異なっているが、イギリスで過ごしていた理枝が帰国し、民子の家に仮住まいするところから物語は始まる。
ある時は民子と母の薫の場面。そのあと、早希の家族や、理枝の関係者へと次々と切り替わっていく。
切り替わる頻度が多くて合わない人もいるかもしれない。
そんな場合ではこうしてみたら?
一旦ページを閉じて、ぱっと開いたページから読む。
どのメージからでもある程度わかるような日常の何気ない情景が広がっていて、民子たちが過ごす出来事に客観的に捉えられるのだ。
たとえば、民子の母の薫が右足を怪我しているがデパートに1人で行くと言う。
民子は心配だから付き添いすると言うが、薫は1人で行けると言い張る。
母である薫は“ばかにするのではない”という気持ち。
一方、娘の民子は不自由だと思って言ったことを理解されずに強い口調となる。母娘は近しい関係だからこそ、感情がぶつかり合うが、そこに理枝が入って「私も行こうかな」と、理枝と薫の2人は仲良く出かけていく。
第三者の理枝がいなければ、この後さらに2人は言い争っていたかもしれない。
母親と理枝が出かけてしまったことは民子にとって取り残された感があるが、理枝の性格はどちらにも味方しない、あっけらかんとした性格なので悪者にもならないところがまた良いのだ。
読書は、起承転結の流れからページの順序通り読み進めるのが王道だと思う。
だが、時にはぱっとページを開いたところから、登場する人物の行動と感情に身を任せてはどうだろうか。
たった一瞬で登場人物と自分の心情が重なるのも読書の醍醐味のひとつだろう。😉
書き続ける楽しみを感じています、その想いが伝われば嬉しいです~