記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

自分の生の持ち時間は?「旅をする木」星野道夫 ★5

冒険家で、写真家で、詩人の星野道夫さんが、魅了されたアラスカでの生活から紡がれるエッセイ。自然と人間のドラマ。33篇。

1999年 星野道夫

もともと、アラスカについて何も知らないし、興味もなかったのだが、読んでいくうちに、その美しく、深く、心に染みる言葉に、ぐいぐい惹きつけられる。白夜、真夏のオーロラ、オールドクロウ、アーミッシュ、海流、ゴーストシップ、ブッシュパイロット、熊、鯨のブリーチング、トーテムポール、部族、デビルズクラブなどなど。一生に一度はアラスカへ!雄大な自然、そこで生きる人々、文化を感じてみたい!と思わせられる。

星野道夫さんて、真なる人のような風格を感じる。純粋で、優しく、力強い。そして、世界の理の何たるかを知っているかのよう。それを分かりやすく、魅力的な言葉で表現できるのだから、すごい。まあ、詳しく人柄を知っている訳ではないので、正しい認識ではないかもしれないが。今の感覚的には、尊い人^^

人の心は、深くて、そして不思議なほど浅いのだと思います。きっと、その浅さで、人は生きてゆけるのでしょう。

近代的社会では、隠されがちで遠くに感じる死が、このアラスカの地では身近に感じられるのだろう。畏怖する自然がそこにあり、常に体感させられるのか。美しくて残酷な世界。その中で生きていると、「人生いかに短いか、漠然として、脆い、それぞれの時間、自分の持ち時間」などの意識が高くなるんだろうな。そして、「それを本当に理解した時、生きる大きなパワーに転化する」やはり、メメントモリ、より死を意識することが重要なことなのかもしれなと思った。

様々なエッセイの中で、ビーチコーミング、漂流物の話があったと思うが、それの多くが日本からのものだというのも興味深かったな。

寒いことが、人の気持ちを暖めるんだ
離れていることが、人と人とを近づけるんだ

人生を生きてゆく身の軽さ
「パーソナル・ディフィニッション・オブ・サクセス」
極めて個人的な社会の尺度からは最も離れたところにある人生の成否

深く老いてゆく


うぉ~これめっちゃ見てみたい!

星野道夫という人は、本当に魅力的で素敵な人だな~。尊い!
44歳という若さで亡くなってしまったのは寂しいと思いつつも、愛すべき土地の自然の中で死んでいくことに、どこか惹かれ、羨ましいというのか、何というのか。とはいえ、熊に襲われるのは怖すぎるのだが。。。

短くも豊かな人生だったんだろうな。こういうの見ると、ただダラダラと生きてる自分の生とは一体何なんだろうと、思ってしまう。

頬を撫でる極北の風の感触、夏のツンドラの甘い匂い、白夜の淡い光、見過ごしそうな小さなワスレナグサのたたずまい・・・・・・ふと立ち止まり、少し気持ちを込めて、五感の記憶の中にそんな風景を残してゆきたい。何も生み出すことのない、ただ流れていく時を、大切にしたい。あわただしい、人間の日々の営みと並行して、もうひとつの時間が流れていることを、いつも心のどこかで感じていたい。

とても優しく穏やかで、強烈な読書体験。
大好きな本です!

(^_-)-☆

この記事が参加している募集

Jah よ! へるぷみ~ (T人T) ナムナム アーメン タスケテ・・ ☆彡(-人- ) 星に願いを・・・ らぶみーてんだー ♡♡♡ <3