見出し画像

【英国滞在】無心で走るコースを決める

走力は平均的だが、私のランニングキャリアは約20年になる。

小学校から高校まで、陸上部の長距離ブロックで毎日走るうちに、走ることが生活の一部になり、走らない日が続くとストレスが溜まりやすくなったり、落ち着かなくなったりするようになってしまった。

大学を卒業してからは、時々大会にも出場した。フルマラソンはもちろん、長野県の野辺山でウルトラマラソン(100km)も完走した。途中からトレイルランニングにも取り組み、ハセツネ(70km/30km)と信越五岳トレイル(2017年=台風の影響で110kmから52kmに短縮)が主な出場履歴だ。

会社を退職してフリーのライターになってからは、土日も取材で埋まるようになり、大会に出場することは難しくなったが、ランニングの習慣は消えなかった。原稿や取材で行き詰まった時に、外に走りに出ると、ふと、しっくりくる文章や切り口が浮かんだりすることも幾度かあった。また、ありがたいことに、ランニングをしていたことが仕事につながることもあった。

*****

英国滞在序盤ですることのひとつは「無心で走るランニングコース」を定めることだった。家を探す時も、近くに相応しい公園があることが条件のひとつだった。

どちらかといえば自身の鍛錬というより、考えごとをするために走るので、走りながらコースを決めたり、その結果道に迷ったりすることは避けたい。「無心」というのは、そういう意味だ。道を確認するためのスマートフォンも極力持ちたくはない。持ち物は自宅の鍵と時計だけで走りたかった。

外国に長期滞在するので、ランダムに走るのも楽しいはずだが、探索は徒歩と交通機関で良いと思った。コース選定の条件は、家から公園まで往復3〜4kmで、公園を外周か内周できることだ。もっと遠出をしたい時は、今よりもコロナ禍が少し落ち着いてレースの開催が戻ってきた時に、ロードレースやトレイルレースにエントリーすればいいだろう。

幸い、ホームステイから引っ越す前に好都合な公園を見つけることができた。北西ロンドンにあるGladstone Parkだ。公園内は適度に起伏があり、アスファルトの周回コースを3つ描くことができる。オフロードも少しある。外周もやろうと思えばできそうだ。自宅からの距離もほどよく、自宅から公園まで行き、3つの周回を走って戻れば、ちょうど10kmぐらいになる。非常に良いコースである。

*****

もうひとつの候補として、1マイル(1.6km)弱距離を伸ばせば、Hampstead Heathという公園に行くことができる。以前、旅行で英国に来た時に「Park run」という週末の草レースで走ったことのある公園だ。ちなみに「Park run UK」は現在コロナの影響で開催することができない状況。本来なら、10月末に再開される予定だったのだが、感染者の再拡大を受けてロックダウンが決定し、それもお預けとなった。

当初は、平日朝、学校へ行く前に走るコースとしてGladstone Parkを使い、休日に距離を走りたい場合は、Hampstead Heathを使おうと考えていた。Hampstead Heathはとにかく広いので、外周はかなり走れるだろうし、公園内に入ればクロスカントリーもできると思った。1時間半〜2時間程度のジョッグや20km前後走りたいときは丁度良いだろう。

ただ2回ほど走りに行ってみると、どうも、極力止まらずスムーズに走れる場所まで辿りつきづらいと感じた。途中で歩道がなくなったり、ぬかるみにぶつかったりする。英国は雨が多いこともあるのか、公園内のオフロードは基本的に結構ぬかるんでおり、快調に走りたい場合は個人的には極力避けたかった。また、横断歩道がない場所では車に気を遣わなくてはならないことも、走りづらさの一因だった。

また、広すぎることと、私の方向感覚の乏しさもあり、一度敷地内に入ってしまうと、自宅までスムーズに帰ることのできる出口まで戻るだけで一苦労だ。まだ土地に慣れていないこともあり、もう少し探せば良いコースが見つかるのかもしれないが、今はまだ「無心で走れる」には程遠い状況だ。

*****

現時点ではGladstone Parkをメインのコースとして使っている。

ランニングシューズはNIKEの「リアクト・インフィニティ」というものを使用している。とても走りやすいため日本でも愛用していたが、荷物に入りきらなかったので、こちらに来てから、ロックダウン前にナイキストアで一足購入した。日本では見かけないカラーで、「Hackney Move」というランニングイヴェントとのコラボレーションモデルのようだった。来年の5月にイヴェントが開催されるようなので、チェックしてみたいと思っている。

また並行して、地元のランニングチームに加入した。これについてはまた書いてみたいと思っているけれど、コロナ禍でどのチームも活動を制限せざるをえない状況だ。だから、加入したものの、まだ一度もメンバーとは直接顔を合わせていない。

以前、仕事で話を伺ったハーヴァード大学のJohn J. Ratey教授(著書:『脳を鍛えるには運動しかない!』、『GO WILD』など)が、「運動の方法として最も望ましいことは、“誰かと一緒にすること”です」と言っていた

「ひとりで無心で走れること」を条件にまずひとつコースを定めたけれど、他方で、「早く誰かと一緒に走りたい」という欲求も頭をもたげている。

(つづく)

<写真:吉田直人>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?