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余白を再定義するyohaku公式。 noteでは本や哲学の考察など。 情報が溢れ、資本主義の中であらゆるものが相対的に効率化され続ける現代で、最後に余白を意識したのはいつですか。そんな"余白"に違和感を感じた方は是非。 https://www.yohaku.company/

マガジン

  • Insight

    現代の中で余白を感じる日々を。豊かな後悔の多い人生を。 様々な本や哲学や事象からあなたの人生の余白につながる記事を執筆していきます。

  • 傲慢と善良

    辻村深月さんの小説「傲慢と善良」について、哲学的、現代的視点から考察を深める為のマガジンです。※一部ネタバレを含みます。※あくまでyohaku Co., Ltd. 独自の解説です。

  • 私の個人主義

    夏目漱石の講演をまとめた本「私の個人主義」について、yohakuの観点から本の内容と夏目漱石の思想を紐解くマガジンです。

  • 読書について

    ショーペンハウアー(本名:アルトゥール・ショーペンハウアー)の著書「読書について」をyohakuの観点から本の内容とショーペンハウアーの提唱した考えを考察するマガジンです。

  • なぜ働いていると本が読めなくなるのか

    三宅香帆さんのご著書「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」について、yohakuの観点から本の内容と読書についての考えを紐解いていくマガジンです。

最近の記事

我が身を振り返る "傲慢と善良1/3"

自分に傲慢さを感じたことはありますか?  辻村深月さんの小説「傲慢と善良」は、現代日本社会を鮮やかに切り取った傑作だと思い、これまでの流れとは異色ではありますが、yohaku Co., Ltd.の観点からも是非取り上げたいと思い、今日から3日間に渡り解説と考察をしていきたいと思います。小説の内容を解説していくというよりは、テーマである「傲慢」と「善良」について、あらゆる観点でいつものように考察をしていきたいと思います。 <<<<<<<<<<<< ここから一部ネ

    • 現代における漱石の『自己本位』とは ”私の個人主義3/3”

      自己本位という言葉をどう捉えるか  昨日までは、夏目漱石の「自己本位」の概念について掘り下げ、彼の思想がどのように形成されたか、そして「則天去私」との対比を通じてその発展を見ていきました。また、情報化社会における個人主義の再考や、自由と義務の調和の重要性についても考察しました。 グローバル化が進む現代社会において、個人のアイデンティティと文化的背景の関係は複雑化しています。漱石の「自己本位」思想は、このような状況にどのような示唆を与えるでしょうか。 文化人類学者の青木保

      • 『則天去私』から『自己本位』へ "私の個人主義2/3"

         3連休は皆さん余白を持った時間を過ごせているでしょうか。私は以前、世間でいう休日に働く仕事をしていたので、連休と余白は遠い存在でした… 今も休日や平日関係なく仕事をすることがありますが、「私の個人主義」で語られる自分を大切にすることと余白は近いものがあります。 昨日からは、夏目漱石の「私の個人主義」という講演をまとめた本を通して、彼がどのように個人の尊厳と自立を重視しながらも、他者との調和を図ろうとしたかについて述べました。また、漱石のロンドン留学や西洋文化との出会いが彼

        • 夏目漱石、「その人」を探る "私の個人主義1/3"

          夏目漱石の作品ではなく、彼を知っていますか?  夏目漱石というと、「こころ」を思い出す人が多いかもしれません。しかし今日からは夏目漱石の思想を辿ることができる「私の個人主義」という本について取り上げていきます。 夏目漱石が「私の個人主義」についての講演をした明治後期から大正初期は、日本の近代化が急速に進展する一方で、伝統的価値観との葛藤が顕在化した時代でした。西洋の思想や技術が流入し、日本社会は大きな変革の渦中にありました。この時期の日本の知的風土を理解するには、福沢諭吉

        我が身を振り返る "傲慢と善良1/3"

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        • 傲慢と善良
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        • 私の個人主義
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        • なぜ働いていると本が読めなくなるのか
          3本
        • 幸福論(ラッセル)と幸福の系譜
          3本

        記事

          読書の真の目的 "ショーペンハウアー「読書について」 3/3"

           昨日までの2回にわたり、19世紀ドイツの哲学者アルトゥール・ショーペンハウアーの『読書について』の核心に迫ってきました。彼の鋭い洞察は、読書の本質と危険性を指摘し、そして「正しい」読書法を提案するものでした。  19世紀半ばのドイツ、印刷技術の発展と識字率の向上により、書籍がかつてないほど身近なものとなった時代。この文化的転換期に、ショーペンハウアーは『読書について』を著しました。昨日までに論じてきた自己思考の重要性と読書の限界を踏まえつつ、今日はショーペンハウアーが提唱

          読書の真の目的 "ショーペンハウアー「読書について」 3/3"

          読書の真価を問う "ショーペンハウアー「読書について」 2/3"

          正しい読書について教えられてきたか  昨日まで、ショーペンハウアーの『読書について』というシンプルなタイトルながらも深い洞察が得られる本を紹介してきました。今日はショーペンハウアーが指摘する「読書をすると自分の頭で考えられなくなる」という非常に鋭い指摘について、一緒に考察していきましょう。 「自分の頭で考える」ことの重要性と読書の限界  ショーペンハウアーは『読書について』において、思索と読書を鋭く対比させています。彼にとって、思索は能動的で創造的な精神活動であるのに対

          読書の真価を問う "ショーペンハウアー「読書について」 2/3"

          読書の罠 "ショーペンハウアー「読書について」 1/3"

          読書にデメリットはあるのか  皆さんは、どのような読書習慣をお持ちでしょうか。毎日決まった時間に読書をする、通勤電車の中で読書をする、週末にまとめて読むなど、人それぞれのスタイルがあるかと思います。そして多くの人が、読書は知識を得るための良い習慣だと考えているのではないでしょうか。昨日まで解説してきた「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」についても、読書それ自体が必要な行為という前提でした。 ショーペンハウアーの鋭い読書論  19世紀のドイツの哲学者アルトゥール・ショ

          読書の罠 "ショーペンハウアー「読書について」 1/3"

          半身で働き、全身で生きる。 "なぜ働いていると本が読めなくなるのか3/3"

          読書ができる半身の働き方とは  昨日まで、読書というテーマで日本における読書習慣の変遷や情報過多時代における読書について深掘りしてきました。三宅香帆さんは『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の結論部分で、「半身の働き方」という概念を提唱しています。今日はこの概念について考えていきましょう。 「半身の働き方」とは文字通り仕事に全身全霊を捧げるのではなく、自分の人生の一部として仕事を位置づけ、読書や他の活動との調和を図る生き方を指します。 社会学者の上野千鶴子(1948

          半身で働き、全身で生きる。 "なぜ働いていると本が読めなくなるのか3/3"

          読書のすゝめ "なぜ働いていると本が読めなくなるのか2/3"

          読書を生活にどう位置づけるか  昨日は、読書に対してのスタンスを問いながら日本における読書習慣の変遷について取り上げてきました。今日も三宅さんの著書「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」の内容を取り上げながら、情報過多時代における読書について深掘りしていきましょう。 現代社会は、かつてない規模の情報過多に直面しています。三宅香帆さんは『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』において、この状況が読書に与える影響を鋭く分析しています。 例えば情報社会学者の吉見俊哉(195

          読書のすゝめ "なぜ働いていると本が読めなくなるのか2/3"

          読書スタンスの変遷 "なぜ働いていると本が読めなくなるのか 1/3"

          なぜ本を読めない時があるのか  今日からは少しテイストを変えて、そもそも「読書」についての課題を掘り下げている本をご紹介していきます。これまで6冊の本を紹介してきましたが、そもそもその本を手に取る、そして日常的に読む(そして考えて行動する)という行為に対してハードルが高い時もあるのではないでしょうか。かくいう私も、あまりに仕事が忙しい時は読書習慣が途絶えてしまう時もあります。そんな根本的な読書に対してのスタンスを考えていきましょう。 近代日本における読書文化の形成  近

          読書スタンスの変遷 "なぜ働いていると本が読めなくなるのか 1/3"

          余白、傲慢と善良、中庸を行き来する "ラッセルの幸福論3/3"

          幸福に縛られず幸福を考える  今日まで約2週間に渡り続けてきた幸福に対しての考察を締めくくりたいと思います。ラッセルの思想を現代的文脈で捉え直すことで、私たち一人一人が幸福について深く考えるきっかけになれば幸いです。 ラッセルの「幸福論」が執筆されてから約90年が経過し、世界は急速なグローバル化を経験しました。この変化は、幸福の概念や追求の在り方にも大きな影響を与えています。グローバル化時代において、ラッセルの幸福論はどのような意義を持ち、どのような課題に直面しているでし

          余白、傲慢と善良、中庸を行き来する "ラッセルの幸福論3/3"

          不幸の原因とその克服 "ラッセルの幸福論2/3"

          不幸とはどんな状態か?  昨日までは、人類が永遠のテーマとして考えてきた幸福という概念の系譜を辿ってきました。今日はいよいよラッセルの思考を辿ります。ラッセルの「幸福論」の特徴の一つは、まず不幸の原因を分析することから始めている点です。彼は、多くの人々が不幸に陥る主な原因として、「自己没頭」と「競争心」を挙げています。これらの概念を詳しく見ていくことで、ラッセルの幸福観の核心に迫ることができるでしょう。 自己没頭について、ラッセルは次のように述べています:「不幸な人間の最

          不幸の原因とその克服 "ラッセルの幸福論2/3"

          幸福それ自体の系譜学 "ラッセルの幸福論1/3"

          「幸福論」の最終章へ  今日までアラン、ヒルティと続けてきた「世界三大幸福論」。最後はラッセルの幸福論を取り扱っていきます!バートランド・ラッセル(1872-1970)の「幸福論」は、20世紀の哲学者が幸福の本質と獲得方法について深く考察した古典的名著です。1930年に出版されたこの著作は、個人の幸福追求と社会の幸福の関係性について鋭い洞察を提供し、90年以上経った今日でもなお多くの読者に影響を与え続けています。今回の考察では、ラッセルの「幸福論」を以下の3つの主要部分に分

          幸福それ自体の系譜学 "ラッセルの幸福論1/3"

          仕事・愛・信仰・不幸から転じるウェルビーイング革命 "ヒルティの幸福論4/4"

          ヒルティの幸福論、21世紀における再解釈と新たな展望  昨日のヒルティの幸福論から発展した考察はいかがでしたでしょうか? 今日は、これまでの議論を踏まえつつ、21世紀という新たな文脈の中で、ヒルティの思想をどのように受け止め、発展させていけばいいのか、一緒に考えていきましょう。 ヒルティが生きた19世紀末から20世紀初頭と、現代の私たちが直面している課題には、驚くほどの類似点があることがこれまで分かったと思います。技術革新、社会構造の変化、価値観の多様化など、両時代とも大

          仕事・愛・信仰・不幸から転じるウェルビーイング革命 "ヒルティの幸福論4/4"

          2世紀を跨ぐ智恵を専門的考察で読み解く "ヒルティの幸福論3/4"

          時代を超えた幸福はあるのか?  19世紀末のスイス、アルプスの麓で生まれたカール・ヒルティの幸福論。その思想は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて起こった技術革新と産業の大変革期である第二次産業革命の渦中で生まれました。蒸気機関や電気の発明により、人々の生活は大きく変わり、都市化が進む一方で、伝統的な価値観が揺らぎ始めていた時代です。今日までは、そんな「幸福論」を肯定的に見てきましたが、課題はないのか?また幸福それ自体の意味をもっと深掘りが可能か?という視点で今日は考えて

          2世紀を跨ぐ智恵を専門的考察で読み解く "ヒルティの幸福論3/4"

          19世紀の智恵を現代で実践するには? "ヒルティの幸福論2/4"

          理論から実践へ  昨日はヒルティの幸福論の基本的な枠組みについて探求しました。「仕事」「愛」「信仰」という3つの柱を中心に、ヒルティが提唱する幸福への道筋を概観していきながら、ヒルティという人物にもフォーカスしました。しかし、これらの概念を日常生活に落とし込むのは、往々にして困難を伴います。例えば感動できる本や映画に出会って、その直後は何か実践しようと決心しても、すぐに行動し、かつ継続することは難しいと思います。 敢えてネガティブに捉えるつもりはありませんが現代社会におい

          19世紀の智恵を現代で実践するには? "ヒルティの幸福論2/4"