レシピ
ちょっと、今になって、思い出したことがある。2月のあたまに、家内が、大量に、キャベツを持ち帰ってきた。なんでも、職場の方が、大量にくれたらしい。その大量のものが、家に持ち込まれたのだが、私が帰宅した時には既に、すべてが千切りに、きれいに加工されていた。
こんなにたくさんのキャベツを、どうするのだろうかと、私でも心配になるくらいの量だった。冷蔵庫に入るのだろうか。それとも、近所にお裾分けでもするのだろうか。
ひとり、無責任に気を揉んでいると、家内が言った。
もう、だいぶ、お裾分けは、したのよね。
だから、これは、我が家で消費しないといけません。
我が家は、テレビをライブでほとんど見ない。見るのは、録画だ。ライブで見るのは、報道番組になるのだが、私が、それを見ないものだから、家内が1人でニュースを見ている。
だが、家内は、大のドラマ好き。そして、バラエティ番組好きである。
ドラマは、ほとんど録画している。バラエティ番組も、気に入ったものは、ほとんど録画している。
そして、報道番組の合間の時間の空いた時に、ひとり、見るのである。
だから、我が家のテレビは、夜のゴールデンタイムは、ドラマかバラエティ番組の録画が、ひたすら流れている。中には、かなり古い番組も、当然、ある。
私は、その番組の中で、気に入ったシーンだけ、断片的に、つまみ食いをしている、というわけである。
我が家の、ドラマやバラエティなんどのテレビ番組や、CMの時間軸は、かなり、世間とはズレていて、我が家独自の流行りがあったりする。
その家内が、突然、思い出したように、録画番組を物色し始めた。
そして、しばらくの時間を経て、叫んだ。
あったわ、これだ、これ!!
それは、ちょっと古い、バラエティ番組だった。
そして、画面をいちいち止めて、スマホで撮っている。そして、私のLINEに、備忘録だと称して、写真をジャンジャン入れてきたのだ。
その中の、ひとつが、これだ。
心の中の、リトルkojuroが、呟いた。
なんか、いろいろとアレンジして作ろうとしているな。いい傾向だぞ。
ほどなく、御馳走が、出てきた。
私は、家内に言った。
いいね。テレビ番組が、役に立っているね。
いろいろ、アレンジして作ってあげようと思ってくれるところが、嬉しいね。
美味しいよ。
家内も、上機嫌だった。
翌日は、こういうものが出てきた。
心の中の、リトルkojuroが、呟いた。
ん。あれ。デジャビュ?
..................。
もう、全ての写真は、出すまい。
千切りのキャベツは、ことごとく、このレシピで、出てきた。
私は、ついに、ある日、見てはいけないものを、見てしまった。
この料理を出してくれた家内の、目を見てしまったのである。
すると、家内が、にっこり笑いながら、言った。
いちばん、簡単にできるレシピ。
それが、いちばん楽だって、コジくんならば、わかるよね〜。
心の中の、リトルkojuroが、小声で囁いた。
確か、ジャンジャン、レシピ、送ってきたよな。LINEに。
あれは、どこに消えたんだろうか。
2週間もすると、我が家の千切り祭りは、とうとう、終わりを告げた。
ことごとく、1つのレシピのみ、で。
我が家で1番偉いのは、料理を作ってくれる人である。
それは、家内だ。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
今日も、キッチンで、歌を歌いながら、料理を作ってくれている。
なぜか、キテレツ大百科の、お料理行進曲だった。
.......ゆ〜でたらコロッケだーよ〜.......キャーベツーは、どうした〜♪
すべて、
これで、いいのだ。
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