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75歳の日本国憲法

はじめに


今日で日本国憲法が施行されて75年が経ちました。11/3に憲法が公布されて、ちょうど半年後に施行されたことになります。ちなみにですが、11/3は明治天皇の誕生日でもあり、新憲法の公布は明治天皇の誕生日に合わせることで、旧憲法の時代が終わったことを告げるという意図でGHQが行ったともいわれています。そして、憲法が施行されるちょうど1年前に東京裁判が開廷されました。何かと占領下に行われた日付を紐解いていくと様々な出来事が見えてきます。今回は施行から75年が経った日本国憲法について考えていきたいと思います。

憲法って、何?

憲法は国家を統治するための法で最高法規として扱われています。近代国家では憲法を制定して国家運営がなされています。日本国憲法でも第98条に日本国憲法が日本国の最高法規であり、他の法律や命令、国際法(条約)についても憲法に抵触しないことが求められています。権利が保障されているのは憲法の規定があり、その規定に従い、法律で具体的な権利として定められ、運用されているのです。憲法は法のトップに位置するもので、法治国家では憲法より上に存在する法規はありません。逆に独裁国家では建前上、憲法が最高法規としていても、独裁者の意思で自由に変えることができ、人治国家でもあります。

法の序列

憲法は国が国民を規律しているように思われますが、国民が国を規律する法です。なので、憲法の遵守義務があるのは国と地方自治体で、国民ではありません。もっと細かいことを言うと、公務員には憲法の遵守義務がありますが、一般市民にはその義務がなく、公務員も公務と関係のないこと(プライベート)については憲法の遵守義務はありません。警察官が逮捕令状や捜索令状を見せて、逮捕したり家宅捜索したりするのは憲法上で決められているからです。それに違反をすれば、憲法違反で国家賠償の対象となり、最悪の場合、懲戒免職になる危険すらあります。憲法を遵守しなければならないのは国や地方自治体であり、国民でありません。
憲法は何のために存在するのかと言われると、学校では権力者の暴走を抑えるためと言われますが、それだけでなく、その国を守るためになり、その恩恵を権力者が独り占めすることなく、国民も享受するために制定されています。憲法は最高法規である前にその国の国家観を表すものになっています。なので、統治機構や人権だけでなく、安全保障についても規定されているのです。

法は生き物


日本国憲法は非常に稀有な憲法で制定から一度も改正がされていません。これは他の憲法と比較してもあり得ないことで、旧憲法下でも改正は行われていました。日本人が変化を好まないのであれば、旧憲法下でも改正は行われてはいませんが、日本国憲法については施行から75年経った今日でも改正が行われていません。
法律も時代に合わせて改正がされます。例えば、民法は明治時代に制定され、平成の時代に入り、さすがに明治時代に制定された法律と同じ運用をするのは限界があるとして、約120年ぶりに大改正がなされました。それまでも改正はおこなわれていましたが、それまでに大きな改正はなく、2017年にやっと改正され、2020年4月1日から施行されました。このように法律も時代に合わせて改正しています。憲法も同様のことが言えます。制定された当時には考えられなかったような権利もあり、第13条の幸福追求権の拡大解釈だけは限界があると思います。時代に合わせた改正は必要で、いつまでも同じものであり続けることには無理があります。
憲法解釈を変えることで乗り切ればいいと考える人もいますが、解釈は政府が決めることなので、権力者が自由に解釈を変える余地を与えることを意味します。実運用で必要な範囲の解釈の変更であればいいのですが、憲法の趣旨に反しているとも取れるようなグレーな解釈変更をするのであれば、憲法を改正して憲法の規定に従った解釈をすべきだと思います。それが本来の統治国家の姿だと考えます。

日本国憲法に欠けている点

日本国憲法に欠けているのは時代に合っていない憲法であるだけでなく、安全保障を骨抜きにしているところです。憲法は国家統治の基本方針で、国家を構成するものは主権、国民、領土です。つまり、憲法はこれらを守るために存在します。この3要素を守るために一番必要なことが安全保障です。これを抜きにして、国家の安全を守ることはできません。憲法第9条第2項の戦力不保持の規定は日本という国を守ることができないと言っているに等しいのです。

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
第二項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

この文言を普通に読めば、自衛隊は違憲になると考えられます。政府の見解では自衛隊は軍隊ではなく、自衛をする部隊であるため自衛力は戦力に該当しないとしていますが、国を守る部隊を戦力としないのはおかしな話です。自衛隊は日本国内では軍隊ではありませんが、外国では軍隊として扱われています。日本国内だけで変な議論をしているだけで、自衛隊の実態を見れば、誰がどう見ても軍隊なのです。憲法で自衛隊を軍隊として認めるべきです。自衛隊を軍隊と認めない限り、日本に本当の意味での平和も安全も訪れません。
第9条第1項は第一次世界大戦後に締結された不戦条約の一文を引用しているだけで、日本特有の条文ではありません。憲法9条のおかげで日本が守られているというのは幻想で、不戦条約を締結している国(日本を含む列強諸国)が第二次世界大戦を引き起こし、現在、ウクライナに一方的に侵攻しているロシアもソ連時代に締結をしています。つまり、理念だけでは戦争を止めることはできないのです。9条信者は単なる信者であり、政治家ではありません。政治家は現実を直視しなければなりません。
ロシアのウクライナ侵攻でロシアの脅威がさらに大きくなり、中国が尖閣諸島周辺で領海や領空侵犯を長きにわたってし続け、日本の近辺でも緊張が高まっています。NATO諸国がウクライナを守ると言っていたのに、いざ、ロシアが侵略すると我関せずとウクライナは見捨てました。日本も同様で他国が攻めてきたときに、アメリカが助けてくれるか怪しくなりました。これみよがしにロシアや中国が侵略を始めるかもしれません。そんなことは考えたくもないですが。ウクライナへの侵攻は明日の日本で今こそ日本の安全と平和について考えなければなりません。
憲法第9条第1項の理念を捨てる必要はありませんが、その理念を達成するために自衛隊を軍隊として認めて、日本の平和と安全を守らなければなりません。今の国際社会において軍備を強化することが一番の平和につながります。真の平和主義を標榜するのであれば、しっかりと日本の安全を守ることのできる憲法にすべきだと思います。一国を守れない憲法が世界の平和を守ることなんてできません。


最後に

日本国憲法は改正すべきです。それは9条だけでなく、人権や統治機構についても同様です。安全保障関連でいえば、緊急事態条項を設けて、特別裁判所設置禁止を撤廃し軍法裁判所の設置も必須ですし、人権についても、幸福追求権でひとまとめにするのではなく、プライバシーの権利といった新しい権利についても明記する必要があると思います。制定から80年近く経ち一度も改正されていないと現在の価値観とそぐわないことが多いです。憲法を改正して現在の価値観に合うものにしなければならないと思います。憲法を改正することに抵抗があるかもしれませんが、憲法も生き物ですので、脱皮をして成長させる必要があります。現在の環境に合わせて生き物も成長します。これは憲法も法律も同様です。時代に取り残されないようにするためにも憲法改正は必要だと思います。



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