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映画感想

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印象に残った映画の感想を残しています。
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#個人的感覚

羅生門

羅生門

黒澤明監督作品の「羅生門」を見たのでその感想を残しておこうと思います。

映像体験

まず第一に、1つの映像体験として映画を考えると、2時間ほどの時間に無理矢理に内容を詰め込んだような物語よりも、ストーリーに余裕があり、まったりと美しく、物語を引き立てる映像が流れるこの映画は、惚れ惚れするほどの体験を見る人に与えてくれるものだと思いました。

たまに見かける、見るものに何かを考えさせるような、作り

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Awakenings

Awakenings

オリバー・サックスの著書を内容を再構成し、フィクションとしてペニー・マーシャル監督が作成した映画「レナードの朝」(原題:Awakenings)を見て感じたことを残しておきます。

まず最初に言いたいことは、レナード・ロウ役で出演していたロバート・デニーロ含め、出演した役者全員の演技が素晴らしかったと素人ながらに感激しました。

映画自体もすごく良いものですが、優秀な役者達の演技が観れるということだ

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新聞記者

新聞記者

望月衣塑子著、渡辺道人監督の「新聞記者」を見ていて思ったことを少し残しておこうと思う。

この映画の中で個人的に一番印象的だったのは、エリートとは全くかけ離れた場所にいる私が知る由もない、官僚の働きぶりというのか、実際に彼らがどのような仕事をしているのか、という点を垣間見ることができたことかもしれない。

官僚の知り合いなんて1人もいない私には、この映画で描かれていたように、情報を操作するためにマ

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The Social Dilemma

The Social Dilemma

ネットフリックスのドキュメンタリー映画「監視資本主義:デジタル社会がもたらす光と影」(原題:The Social Dilemma)を見たのでそれについて感じたことを残しておきます。

テクノロジーによる二極化

最近、多くの学者や、知識人たちがここぞとばかりに、分断という言葉を使うのを見て聞いて、どうしてかわからないけれど腑に落ちない自分がいたわけです。
本当になんとなくだけど、納得できないという

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A Single Man

A Single Man

世界的に有名なファッションデザイナーであるトム・フォード監督の初監督映画『A Single Man』(放題:シングルマン)を見て2つほど感じたことを残しておこうと思います。

マイノリティーとマジョリティー

マイノリティーとはマジョリティーがそこに脅威を感じるものだ。という趣旨の言葉がこの映画の中で出てくるのですが、要するにマイノリティーの本質は、数ではなく脅威であると。人々がある物事に対し脅威

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Fruitvale Station

Fruitvale Station

ライアン・クーグラー監督の「Fruitvale Station」(邦題:フルートベール駅で)を見ていて思ったことを少し。

この映画を見て思った差別に蓋をする行為と映画の役割の2つのことを簡単に残しておこうと思う。

差別に蓋をする

この映画を見て思ったことの1つは、差別とは「隠す」という行為によって引き起こされるのではないか。要するに「知っているにも関わらず知らないふりをする」という行為の結果

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Frances Ha

Frances Ha

ノア・バームバック監督の「FRANCES HA」を見たのでその感想を少し。

個人的にこの映画を見て、期待と希望を持つこと、好きなことの継続について思ったところがあったのでその2つについて残しておくことにします。

期待と希望を持つこと

期待や希望を持つことはそれが必ずしも現実として現れる訳ではなく、むしろそのようなものが現実としておきることは極めて少ない事例だということを理解する必要があるよう

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Invictus

Invictus

クリント・イーストウッド監督の「Invictus」邦題「インビスタス/負けざる者たち」を見たのでその感想を少し。

個人的にこの映画を見て、どのような影響を政治が人に与えるのかと、自分が将来したいと思っていたことの映像化がされているなと思ったので、それについて書いておきます。

影響

アパルトヘイトについて私は特別詳しくはありませんし、人種差別も生きてきて感じたことはありません。だからこそそれを

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Before Midnight

Before Midnight

昨日「Before Midnight」邦題「ビフォア・ミッドナイトを見たのでその感想を。

リチャード・リンクレイター監督の「Before」三部作を見たわけですが、彼が時間の経過とそれによって起こる自身と役者たちの変化を大切にしている監督なのかなということは彼の作品である「Booyhood」を見ても理解できるような気がします。
実際この作品は主演のイーサン・ホークとジュリー・デルピーも脚本作成に加

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I Killed My  Mother

I Killed My  Mother

昨夜、グザヴィエ・ドラン監督の「I Killed My Mother」邦題「マイ・マザー」を見たのでそれについて少し。

彼の作品を見るのはこの作品を含め2作品目なのですが、この作品もやはり焦点はマイノリティーと呼ばれる人たちに当てられていて、彼らが社会とどう折り合いをつけるのか、それに対し社会に適応しているマジョリティーはどのように接するのか、それらのことを見ている人間に問いかけるような作品だと

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Mommy

Mommy

少し前に「Mommy」というグザヴィエ・ドラン監督が28歳の時にとった作品を見たのでその感想を。

監督が有名な方で「たかが世界の終わり」など何作品か見たい見たいと思ってはいたのですが、結果的にこの「Mommy」が私が見た最初の彼の作品ということになりました。

全体を通し重たい内容なのですが、途中それを感じさせないほどの軽やかな空気感というか、主要登場人物三人いるのですが主人公がADHD、その母

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「Before Sunset」を観て

「Before Sunset」を観て

先週「Before Sunrise」を観て個人的にかなりの高評価で、今週はその続編を見ようと「Before Sunset」を観ましたのでその感想を温かいうちに。

基本的に話の進め方は前作と変わらず、主人公の男女の特別な数時間を切り取って二人の会話をひたすら撮り続け、その中でそれぞれの人間性と二人の関係性を描くというもので、続編だからといってそこが変わることはありません。

私がこのシリーズを週ま

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