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スポーツイラストレーションを描くポイント

「あなたの7秒を頂けますか」 107枚目

<「テニスプレイヤー」 © 2005年頃?  もりおゆう 月刊テニスマガジン* 禁無断転載>


僕は、スポーツイラスト専門という訳ではありませんが、それでも長くスポーツイラストレーションに仕事に携わってきました。
全体の仕事量の20%くらいがスポーツイラストを占めていたのではと思います。上は、テニスマガジンからの依頼されたものです。

さて、今日はちょっと専門的なお話です。
スポーツイラストレーションを描くときには注意しなければいけないことがあります。
まず、もちろん動きを正確にかくことが第一に求められます。
しかし、それに加えてそのスポーツ独特の運動感というものも大切です。例えば、テニスでフォアハンドストロークを打っているところを描くとします。リアルに描く場合は、何しろ写真を見て正確に描けばそれで良い訳です。一定の技術と素描力があれば、実はそんなに難しくはありません。下のようなテクニカルイラストレーションの場合がそうです。

<「月刊スマッシュ付録/巻頭イラスト」 © 年度不明  もりおゆう 原画A4    禁無断転載>


しかし、一番上のイラストのように特にリアルに描くわけではない場合にはそういう訳にはいきません。もちろんフォームも大事な訳ですが、体の中で伝わっていくエネルギーのようなものが絵に出ているかどうかが非常に大切です。写真を見て、どんなにそれらしいフォームで「形」を描いてもその辺りの感覚がないとそのスポーツ独特の動感が本当には絵に出て来ないものです。

実は細かい部分にそのスポーツ独特の運動感は現れたりします。例えば、一番上のイラストの左側の人物の左手の小指の感じ、といったことです。
「ああ、これってテニスの動きだなぁ!」といった感覚です。

僕は、自分がテニスをある程度やっていたので、その辺りは幸いにも体にありましたからごく自然に描くことが出来ました。

しかし、いつもそういう訳にいくとは限りません。
ランニングのイラストレーションも長く続けましたが、僕は本格的にランニングを経験していないので、普通に走っている所を描いたつもりでも、これが中々難しいのです。
「腰が落ちてしまっています」と担当者から指摘されることもありました。
陸上経験のある方には容易に判ることなのですが、僕には当初その意味が分かりませんでした。ですので、その辺りは結構勉強した訳です(笑)
お付き合いくださったランニング雑誌クリールの編集の方々、有難うございました。

今日は、スポーツイラストレーションの世界ついてお話ししました。
イラストレーションの世界に幾ばくかのご興味を持って頂けましたら幸いです。


*「月刊テニスマガジン」ベースボールマガジン社 現在は季刊
*「月刊スマッシュ」日本スポーツ企画
<©2023もりおゆう この絵と文は著作権によって守られています>
(©2023 Yu Morio This picture and text are protected by copyright.)


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