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「騏驎も老いぬれば駑馬に劣る、、、、か??」画家と年齢 

 「絵の横道」22回目

久しぶりの絵の横道です(笑)
今日は画家と年齢について。

<ピカソ81歳の写真>


<ピカソ「画家とモデル」>

上はピカソ81歳頃の作品。可愛い絵ですね。

騏驎も老いぬれば駑馬に劣るか

「騏驎も老いぬれば駑馬に劣る」と言います。
一日に千里を走ると言われた麒麟であっても、歳をとると平凡な鈍馬にさえ負けてしまう、、、
かつて優れた能力を誇った人であっても、歳をとってしまうと、凡人にも敵わなくなってしまう、そんな例えですね。

これは、スポーツなどでは顕著に現れます。
けれど、幸いなことに絵においては当てはまりません。

絵は年齢を重ねても情熱さえあれば、若い時代とはまた一味違う味わいが生まれて来るからです。そして、それはよく言われるような「枯れた味わい」という訳では必ずしもありません。それは、絶えまない努力を重ねた者にだけ訪れる芳醇な香りです。

<モネ>
モネは晩年リュウマチに罹り日常生活にも支障をきたすようになります。
けれど、彼はそれでも絵筆を手に布で巻き付けて画布に向かったと言います。下の「睡蓮」も晩年の傑作です。
何と美しいブルーでしょう。

<モネ 「睡蓮」1906年 シカゴ美術館>


<セザンヌ>
セザンヌの最高傑作の一つと言われる「りんごとオレンジ」は60歳。
「サント=ヴィクトワール山」の連作を描いたのも60歳を過ぎてからでした。ご覧ください、下の絵の何と素晴らしいこと!
セザンヌは古い時代の絵画から新しい時代の絵画に向けて大きな橋をかけた巨星でした。この絵において、すでに山は山ではなく、家々の屋並はまるで色面のモザイクのようです。この絵を見ていると、まるで具象から抽象が生まれる瞬間に立ち会っているような喜びも感じます。
ピカソがセザンヌを敬愛した事が、大変分かりやすい一枚の絵です。

<セザンヌ 「サント・ヴィクトワール山」1904.フィラデルフィア美術館蔵>


<葛飾北斎>
葛飾北斎が、「富嶽三十六景」を発表したのは、なんと70歳を過ぎてからです。彼は、最期まで現状に満足せず「あと5年、いや、あと10年生き長らえることができれば、真の絵描きになれたのに……」と残しています。

<葛飾北斎 「富嶽三十六景」1843頃. >


さて、如何ですか?
皆、生気に溢れた瑞々しい絵ですよね。

今日は、久々に絵の横道の記事を書いてみました。
あまり難しくならないように心掛けたつもりですが、如何でしたか?

😀皆さんの絵画インテリジェンスの一助になれば幸いです。

ちなみに皆さんは上の4点の内でしたらどの絵がお好きですか?

*記事中の画像は全てWikipediaからの転載.
*騏驎も老いぬれば駑馬に劣る 明治の思想家「幸徳秋水」の言葉.
<もりおゆう© この美術エッセイは著作権によって守られています.>
(Yu Morio© This art essay is protected by copyright.)

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