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「画像張りつけ」著作権お悩み相談室

 新シリーズ「著作権のいろは」その7

1635982141284_07著作権自分で撮影ハガキ
<マンガ「これって大丈夫?」 © 2021 もりおゆう>

noteでの画像の張りつけについて、noterの方から日頃のお悩みをコメント頂きましたので今回は具体的に幾つかご案内しますね。

Q1
ネットにある本の表紙などは、自分で加工したりせず出典を明記したら自分の記事に貼るのは法的にはOKなのでしょうか。
或は、本の表紙などを自分で撮った写真は?

Answer
転載可となっているサイトから写真をコピーして張り付けるのは転載元を明記すれば問題ありません。ただし、厳密には転載の場合は大元からという大原則がありますから注意が必要です。例えば、大元の出版社のHpからならokなのですが、転載の又転載は法的にはNGなのです。又、大元で転載不可となっている場合はそもそもNGとなります。

「では、自分で本の表紙を撮影した写真を張るのはどうなのでしょう?」
すごくいい質問ですね。
その本の表紙が単純な文字フォントだけで構成されている場合はOKとされます。しかし、絵や写真が入っていたりする場合はNGとされます。デザインされた著作物の写真を撮ってネットに載せる訳ですから、複製の流布となり著作権法違反になります。


Q2
小説や映画の中の決め台詞(ゼリフ)や名場面の一文を記事中で紹介するのは、それとわかるようになってれば、大丈夫なんでしょうか??

Answer
残念ながら一概には言えません。
そのセリフが日常的に使われるものであれば、問題ないとされます。
例えば
「峠は雪の中に霞んで見えた、、、」なら可とされると思います。
しかし、「君の瞳に乾杯」(*)はどうでしょう?
君の瞳に乾杯は、完全に創作的であり日常的とは言えず、不可とされます。この違いは、お判り頂けると思います。(こう言う事を、「面白いな」と思って読んで頂けると僕としては嬉しいのですが、、、😊)

普通の日常会話と受け取れるものはOKだが、セリフとして特徴のあるものはNGということです。

しかし、大抵はnote等で映画の感想文を記事にする際に「あの映画のいいセルフを引用しながら記事にしたい」ということでしょうから、これでは実際のところ殆どが著作権に触れてしまいNGになってしまいます。
ですが、これを不可とするなら職業作家によるエッセイや書籍評論も不可となってしまい、疑問が残ります。

これは私見ですが、、、
こう言う所が現状の著作権法は、個人のネット配信の現実と齟齬が起きてしまっていると思います。複製によって違法な営利を求めるものや、著作者に損害を与えるものは厳格に処断すべきですが、完全な非営利で、かつ著作者を誹謗中傷したりするものでなければ一定の範囲で複製配信を認めないと、逆に表現の自由の侵害になってしまうように私は思うからです。ネットに存在してしている本の写真の転載や映画のセリフの引用が、著作者の権利の何に「具体的な損害」を与えるのか私には理解できません。(もちろん転載元や元著作者等の明記の上で、ですが)。
例えば、僕が表紙や本文中の絵を描いている本の感想や評論を誰かがブログに書いたとして、そこに僕の描いた表紙の画像が入っていても僕は何の不都合も感じません。(できれば褒めて頂きたい所ですが✨😊)

07著作権ジェンダーフリー
<「ジェンダーフリーの絵本3」2001©もりおゆう/大月書店刊 >


Q3

ニュースの画像を記事に張るのはどうなのでしょう??

Answer
ニュース画像を記事に張る場合は配信元の許可が必要です。
しかし、大抵の場合は転載を禁じているのが現状です。 
下記をご確認下さい。
毎日新聞
https://www.mainichi.co.jp/database/usage_guide.html
ヤフー
https://support.yahoo-net.jp/SccNews/s/article/H000009756


以上、予想外に厳しい現実に驚かれたかもしれませんが、あくまで現状の著作権法に照らして率直にお答えしました。
残念ながら、現状では大抵の場合は法的にはNGになってしまうのです。

けれど、こういった知識を持っている事はネット時代を生きる私達にとって大切な事だ、と僕は思っています。この知識は、著作者のみならずあなた自身を守ってくれるものになるからです。


あなたのネットインテリジェンスに一役買えればこんなに嬉しい事ありません。

(*)君の瞳に乾杯は、映画「カサブランカ」(1942年)中のハンフリー・ボガートの名台詞. ここでは著作権の説明のため使用した.
(*)この記事は著作権法を判りやすくご案内するため、あくまで一般的な類例として記しています。現実の著作権問題には様々な要素が入り組んでおり、個々の事例に関する判断を断定/推奨するものではありません.

<© 2021 もりおゆう この絵と文は著作権によって守られています>
(This picture and text are protected by copyright. 2021.Yu Morio)


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