妬みを、うらやましいに変換したら『いがいが』は溶けた
『あ、この人嫌い』
心がザワザワっとした。
たった今出会ったばかり、直接会話も交わしたことない人なのに、どうしようもなくやだなぁって思ってしまった。
心の中では違和感センサーがカーンカーンと鳴り響いている。それは彼が口を開く度に大きくなっていった。
それは滅多に感じないけど、確かに感じたことのある気持ちだった。
オノマノペで例えると『いがいが』だろうか。
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私を『いがいが』させたのは昨日の言語交換イベントで出会った、日本人の男の子だった。
週に1度、6人で円を描くように座って英語でディスカッションをする。
そんなイベントに参加して皆の考え方を聞いて新しい価値観をインストールしたり、勇気を振り絞って自分の意見を口にできたときに感じられる達成感が大好きだった。でも今日は”そいつ“のせいで楽しくなかった。
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少年は、完全に私の苦手なタイプだった。
堂々と、言葉を選ばずにくだらないことを発言する。
常識や空気にとらわれずに自分の思うままに振る舞う。言うならば、奔放。
自信満々。
調子乗り。
わざとらしいくらいウケを狙ったり、注目を惹こうとする。
例えるならば、高校とかに絶対いるお調子者で人気者のヒエラルキー高めのやんちゃ男子みたいな。。。そんな感じだった。
周りを見渡せば皆彼の発言に笑っている。どうやらこの中で違和感センサーが反応しているのは私だけだった。
彼が口を開いて、誰かが楽しそうに笑えば笑うほど私は茹でられる前の貝みたいに、頑なに口を閉じてやさぐれていくのを感じた。
今日は、ちっとも楽しくなかった。
そして空虚な気分になった。
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『今日のイベント、全然楽しくなかった。』
遠距離恋愛の彼とは、1日の終わりに今日どうだったかの報告会をする。
LINEを送信した後に『なんで楽しくなかったの?』って聞かれたくないなって思った。
だから『そっちの1日はどうだった?』って続けて送る。結局彼から理由を尋ねられることはなかった。
本当は、何で彼のことが嫌いって思ったのか分かっている。
自分が欲しいけど持ってないものを彼は持っている。それをいとも簡単に披露しているから妬んでいたのだ。
私と彼は、まるで正反対だった。
言葉が喉を通り越して外に出される前にこれは面白いのかな、いいなって思ってもらえるのかなっていちいち審査をしてしまう私。
そんなことお構いなしに、心で感じたことをすっと言葉にして相手に伝えてしまう身も蓋もない彼。ウケようが、ウケまいが動じることなく言いたいことを言う。
タイミングを気にして発言の機会を逃す私。
全く気にせず、話したいときに話す彼。
私が簡単にできないことを、簡単にできてしまうような人だった。
そしてそんな彼を妬んだときに生じたものがきっと『いがいが』だった。
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あくる日、仕事がなかったから大好きなカフェにスタンプカードを持って足を運んだ。
前回貰ったポイントカードの星は晴れて2つになった。なんだか嬉しかった。今日はエスプレッソの効いた濃い目の珈琲よりも、ホットチョコレートが飲みたい気分だった。
甘くて温かいホットチョコレートを口に含む度に、すーっと気分が落ち着いていった。
そしてふと、昨日の彼のことを思い出す。
きっと私はうらやましかったんだよなって、思った。
そんな風に考えてみると
『いがいが』の塊は湯船に放り込まれたバブみたいにすーっと溶けて心が軽くなっていった。
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自分にないものを持っている人に出会ったとき
正反対すぎて戸惑ってしまったとき
妬むんじゃなくて
あ、嫌いって思うんじゃなくて
今度からうらやましいなって思うことにしようかな
そっちのが絶対ハッピーだよね。
そんなことを静かに決意したらなんだか心が楽になった。
今度また彼と同じグループになったら
本当は面白かったのに笑えなかった彼のくだらないジョークに笑ってみようかなぁなんて思った、昼下がりである。
今年こそ英語話せるようになりたい人がワンコインで人生をじわじわ変えるnote
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