「顧客起点マーケティング」に当てはめて考える①
一年前ぐらいに流行った「顧客起点マーケティング」の本が眠っていたので、引っ張り出した。
今回は良書と言われるこの本で書かれてある通り、自分の関わるサービスを当てはめてみた。
一つの記事にまとめようと思ったのですが、サービス例も入れようと思うと、もりもりになってしまったので、2−3つに分ける。
この本の考え方としては、B to Cメーカー→C顧客の獲得で売り上げが立つサービス例(P&G、スマートニュース)が出ているが、私が普段マーケティングしているサービスは、B to B toCのサービスで、Cを取り込めたからと言って、それに応じて売り上げが上がるわけではない(取り込む人によっては、売り上げを生む転換率が下がる)よサービスなので、そっくりそのまま当てはめるのは難しそう。
なので本の最初の方である、このマーケティングをすることで、どの層にどれぐらい投資すれば、どれぐらいの効果が帰ってくるというROAS観点についてはスキップした。
単純に、サービスへ登録してもらうためには?とのころの認知、登録、その後のアクティブ化のところまでで考えてみることにする。
顧客起点マーケティングとは
1人の顧客を起点に、商品やサービスの新たな可能性を見つける概念のこと。1人の顧客を徹底理解し有効的な打ち手を考えて全体へ拡大していく。また対象の人の全体に占める割合の動きを見ることで、マーケティング投資の効果検証まで進めることができる。
ではどのように、顧客起点マーケティングを進めていくのか。
顧客起点マーケティングのステップ
Step1:顧客ピラミッド作成
顧客を5つのセグメントに分解する
Step2:セグメント分析
行動データと心理データをもとに、各セグメントの基本的な顧客特性を分解
Step3:N1分析
セグメント毎のN1を分析しインタビューする。認知や購買行動のきっかけとなる深層心理を探る
Step4:アイデア創出
N1分析をもとに、その顧客の行動と、心理状態を変えるアイデアを考える
Step5:アイデア検証
アイデアをコンセプトに変換し、定量的調査でポテンシャルを評価し実践。顧客ピラミッドの動きを確認
マーケティングアイデアとは
「独自性」と「便益」を兼ね揃えているかどうか。独自性とは、他にはない特有の個性であり、唯一無二の既視感のない特徴のこと。
便益は、顧客によって都合が良く便利なこと。便利、有利、快、楽、特などで言い換えることができる。
そしてアイデアには、「①プロダクトアイデア」「②コミュニケーションアイデア」の2種類がある。
①プロダクトアイデアに独自性を持たせても、追随する競合サービスが登場するので、すぐにコモディティ化してしまう。
そこで重要になるのが、②のコミュニケーションアイデアだ。コミュニケーションアイデアの独自性とは、広告やリアルイベント、キャンペーンの仕組みなどにおける、クリエイティブの独自性を指す。
独自性とは、注目に値すること。
追加で大事なことは、「早期認知を獲得すること」。メルカリはフリマアプリとしては後発だが市場シェアを獲得しているし、肌ラボも後発だった。
Step1:顧客ピラミッドを作成(5セグマップ)
(顧客起点マーケティングから引用)
顧客ピラミッドを作成するためには、現在の顧客だけではなく、離反顧客や、認知はしているものの使ったことがない人、サービス未認知の人が、それぞれどれぐらいいるのか、全体の把握が必要。
調査には、下記の3つの質問だけで、それぞれの数がわかるようになっている。
〈質問内容〉
・そのブランドを知っているかどうか(認知)
・これまでに登録して使ったことがあるか(利用)
・そのサービスをどれぐらいの頻度で使っているか(利用頻度)
良く上位顧客20%が、全体の80%の利益を生み出していると言われるが、中長期で見ると、実際には、「20−80」「30−70」「10−90」などの上位集中になる。
ただ、上位10−30%の顧客が大半の売り上げを作っているが、残りの70−90%も無視はできない。中長期に見ると、それぞれの層を移動するだけではなく、競合サービスや、代替えサービスへの移動や、併用もしている。
RFM分析という、Recency(直近いつ購入したか)、Frequency(購買頻度)、Monetary(購買金額)で分析する方法もあるが、これだと上位20%の方の分析しかできないので、視点が欠けてしまっている。
顧客化、ロイヤル化になる理由を見つける
1)ロイヤル顧客のスーパーロイヤル化
スーパーロイヤルであっても、他のサービスと併用している可能性がある。その上で、ブランドの利用率の向上、一回たりのアクション数の向上促進が必要になる。
プロダクトアイデアを強化し、継続的に使おうと思ってもらえるかが重要になる。
〈私のサービスの場合〉
単純なサービスへのログイン頻度では、ロイヤルなのかは測ることができない。何を持って最終的な売り上げを産むロイヤル顧客とするのかの定義の部分から考える必要あり。
なぜこのサービスを選んで使っているのかの定性的な理由を深堀し、共通点を見つけて、サービスの独自性を見出すところから始めよう。
サービス側としての売りポイントと、顧客が本当に良い!と思っている部分に乖離があると思うので、まずはここの認識を合わせた方が良い。
2)一般顧客のロイヤル化
一般顧客はロイヤル顧客に比べて、サービスを併用していることが多い。ロイヤル顧客に比べて、「プロダクトアイデア」の独自性や、共感が薄い場合はそこを強化する。また独自性は理解されていても、便益の部分が伝わっていない場合はそこも意識して強化したい。
〈私のサービスの場合〉
サービスの特性上、併用して比較するケースが多い。最終的なマインドシェアを取れるかどうかは、「プロダクトアイデア」の独自性だと思うが、これ!という独自性が今見えていないのが課題。そこを見つけないと、ここへの打ち出しも決まらない。
3)離反顧客の復帰
「プロダクトアイデア」自体が評価されず、競合に移動していることが多い。コミュニケーションアイデアが不適切で、プロダクトアイデアが伝わっていないケースもある。
4)認知、未登録顧客の顧客化
まだ「プロダクトアイデア」の魅力を知っていないか、便益を感じていても独自性を感じていないかなどが考えられる。
最新情報にも保守的な傾向があり新しいものを受け入れにくい傾向がある。よって、実績などのコミュニケーションアイデアに入れていくのが良い。
5)未認知顧客の顧客化
多くの場合は、4か5の層が多い。短期的にみると、この層を捨てがちですが、中長期的には必要になってくる。既存登録者のロイヤリティを高めながらも、継続的に新規登録者も増やしていかないといけない。
情報に積極的に触れていないことが大きな要因なので、端的にプロダクトアイデアを伝えて、この層特有のチャンネルで発信していく方法が良い。
〈私のサービスの場合〉
新規顧客の獲得はうまく行っている。ただ新規顧客が入ってきても、現状だと離反顧客に流れることが多い。コミュニケーションアイデアと、プロダクトアイデアの乖離だと思う。
これという独自性のあるプロダクトアイデアを置いて、それを適切に伝えるコミュニケーションアイデアが必要。課題はまだまだ多い。
そして、それぞれのセグメント毎に、5W1Hを用いて適切な施策アイデアを出す。
Step2については、次回以降の記事のテーマにします。
所感
Step1について書いてみましたが、本を読んでいるだけでは浅い理解で終わっていて、実際に自分のサービスに当てはめようとすると、難しいなと思いました。普段本をどれだけ浅く読んできたのかわかりましたw
ずっと課題だと思っていた、ターゲットにしている人に選ばれる理由がない(=プロダクトアイデアの独自性がない)というところが、致命的だということに気づかされました。
ただプロダクトに独自性を持たせて、プロダクト変更、コミュニケーションアイデア変更をする(=リブランディング)ぐらいのインパクトが出るのか、売り上げが立つ見込みがあるのか、市場規模はどれぐらいかから試算しないといけないですね。小手先の問題ではなく、根本的に変えないと、負のスパイラルからは抜け出せないと思うものの、ここをガッツリ変えていく人はいない。
このままStep2ではなく、プロダクトの独自性を考える本に変えた方が良いかもですね。
前に読んだことがあるブルーオーシャンシフトとかは、このプロダクトの独自性に関する深堀ができそうなので、次に取り上げる本にします。
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