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発達性協調運動障害への課題指向型アプローチ


今回参考にした論文はこちら↓


雑誌名:Developmental Medicine and Child Neurology
Impact Factor: 4.864(2023-2024)

※内容には個人の見解も含まれます。ご理解の上、ご覧ください。





DCDに対するアプローチの概要


発達性協調運動障害(developmental coordination disorder:以下, DCD)は、運動の協調性のレベルが、その子の年齢と知能から予想されるレベルよりも下回っていて、日常生活動作や学業成績の問題に繋がる可能性がある。


就学前に、運動発達の遅れがあると診断された児童の約40%は、10年後もこの問題を抱え続けるとされている。


注意欠陥多動障害(ADHD)や失読症、自閉症など、DCDを持つ子供にはいくつかの問題が併発している場合が多い。


特に、DCDとADHDを併せ持つことどもは、学業成績や心理社会的な適応面で、成人期早期に評価した際に、より悪い結果になることが示されている。


よって、DCDの持続的な性質に対して、適切な介入の重要性が強調されている。

DCDに対する治療的なアプローチはいくつか提案されているが、その中でも

  1. プロセス指向型アプローチ

  2. 課題指向型アプローチ

上記、2つのアプローチが主に検討されている。


プロセス指向型アプローチ

活動を行うために必要な構成要素や身体機能を対象としたアプローチ。

感覚統合や、運動感覚トレーニング、知覚課題、またはその組み合わせなどは、これらのアプローチの一例とされている。

DCDの場合は、感覚統合や運動感覚、筋力、体幹の安定性、視覚運動知覚などの身体機能向上が、技能のパフォーマンス向上に繋がるという仮説検証がされている。


課題指向型アプローチ

運動パフォーマンスや特定の運動スキルに焦点を当てたアプローチ。

子供の困難の原因となっている課題の遂行において介入する内容である。

課題指向型アプローチは、すべての運動制御または運動学習と生態学的な原則の組み合わせに基づいた介入であり、それぞれがどの程度関与するかは、取り組む内容や方法によって異なる。


研究の結果と考察

本論文からのメタアナリシスの結果、DCD児に対しては、課題指向型における介入は強い効果があることを示し、

プロセス指向型アプローチは弱い効果であるという見解が支持された。


課題指向型アプローチについて

本研究においては、個別指導と集団指導の両方でDCDに対する運動技能指導に効果的であったとされた。

課題指向型アプローチは、日常生活に不可欠な動作の指導に取り組むことで、家庭、学校、プライベート、スポーツへの参加がしやすくなる。

DCDの子どもは、感覚統合や課題に直結しない一般的な微細運動や粗大運動からなる他のアプローチよりも効果的な戦略を生み出すことが示されている。


プロセス指向型アプローチについて

感覚統合療法は、最もよく研究されているアプローチであるが、そのエビデンスはまちまち。

先行研究の中で効果的と示す論文や方法もあるが、DCDに対する効果を証明できていない論文も観察される。

一定の効果を示す論文もあるようだが、課題指向型アプローチと比較すると、それが有効であったとは言えないようである。


まとめ


  1. DCDに対しては、課題指向型アプローチやプロセス指向型アプローチ等がメインになる介入であり、本論文では両者の比較を行った。

  2. メタアナリシスの結果により、課題指向型アプローチの方がより効果的な結果を示した

  3. プロセス指向型が有効ではないと言い切れないが、課題指向型アプローチを行った方がより有効性は高いかもしれない



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