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すべてが「シンプル」じゃなくて良いと思う
"Simple is the best."という言葉が世の中に出回って久しくなる。
仕事をしていても、「端的に言うと?」「シンプルに3つに要点を絞って」と言われ、シンプルにまとめることを求められる。もちろん、短時間で要点をまとめて伝えることは、社会人には欠かせないスキルだと思う。
でも、全部シンプルにしちゃって良いんだろうか。この世の中は、そんなにシンプルにまとめられるものなんだろうか。
そんなモヤモヤが私にはつきまとう。
私は高校に入って以降、シンプルとは無縁なところに所属してきた。高校は総合科学科、大学は国際文化学部、そして社会人になってからはCX室。それらは全て一言で中身を語るのが難しく、「そこで何してるの?」と聞かれては答えに困る。
そんなシンプルとは逆を行く世界に身を置いて約10年、最近になってやっとその原因は
「一言では語れない得体の知れないもの」を扱っているから
なんじゃないか、と思い始めた。
大学では、アメリカにいるメキシコ系移民が、食を通していかに自分たちのアイデンティティを保とうとしているかを研究した。仕事では、どうすればもっと自社サービスに愛着を持って使ってもらえるかを考えている。
共にひとりずつ異なる価値観と密接に結びついたものであり、主流派にだけ目を向けてシンプルに捉えようとすると、少数だが大事な側面を見落とす危険さえある。だからこそ、
「ありのまま、複雑なままの状態でものごとを捉えること」の方が安全策なことだってあるんだよ!
と声を大にして言いたい。
私たちが生活している世界は、すべてがAかBかの二項対立で捉えられたり、3つのポイントで表たりするほど単純なものでは無い。好きな人を好きになった理由だって、その前後にいろんな文脈があり一言では言い表せない。
だから、何でもかんでも「シンプルにしなきゃ」と思うのではなく、"複雑なものを複雑なままに捉える"というスキルも養うべきだし、そのスタンスを大切にしていきたい。
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