感想 ぼくはなにいろ 黒田小暑 自分のことを化物と卑下する、この主人公がどうしても好きになれなかった。
文章の部分部分に光るものを感じたし
キャラ設定も個性的
感情表現も上手い
次も読みたい作家さんです。
でも、主人公の男性が嫌いです。
最後の最後まで共感できなかった。こんな男をほんとうに、あの女性は好きになるのかなと疑問を抱きました。
彼は事故で障碍者になった。
見た目はわかんないが走ると・・・変
動きもにぶい
だから、人と目を合わせられない
人目をさける
自分のことを怪物
壊れた器などと卑下し
清掃員の仕事をしている
その清掃の仕事に、学生時代の友達というのか、彼を守ってくれていた奴が入ってくる
そいつが酷い男で、さぼる キレル 殴る
彼のことをパシりみたいに思ってて
無理から走れと命令したりする
卑屈な彼は何も言い返さない
この情けなさが嫌いです。
彼に好意を寄せている千尋に対してもそうだ。
卑屈でネガティブで陰気で最悪です。
障碍者が化け物で生きている価値がないのだとしたら
人目を避けて生きなければならないのだとしたら
生まれつきの人はどうなるのだと思う
千尋のトラウマも、完全に被害妄想だし
このカップルの葛藤は心に響いてきません
そんな彼が最後の最後で名言を吐く
同僚の暴力男が犬を蹴り殺そうとしていた場面
彼はボクサーだったが、今は怪我して障碍者になっていたのだった
ここは墓場だ、俺の人生なんて終わっていると嘆く
そんな彼に・・・
この言葉は光ってた。
同時進行で妹の話しが動くのですが、こちらは文房具店の店員との交流と
不登校の彼女を気づかう言葉が話せない少年との交流がメインですが
緊急事態宣言下で、先行きが不安な時
少年に彼がアドバイスするのですが、この言葉がいい
どんな時だって、やるべきことはあるよなってことです。
最後に、主人公の男が最初のほうに吐くセリフを紹介したい
彼は自分を壊れた器、化け物だと思っている。障碍者であるということを過度にコンプレックスに思っていて、人目を避けて生きていた。一生、恋愛はできないと諦めていた。
そんな彼にとって、恋愛するのが当然という価値観はきつい。
これは別に恋愛に限ったことではなく。
なになにが普通だという常識。なになにしてて当たり前という社会において
それから逸脱したマイノリティは疎外感を感じるのだと思います。
例えば、子供ができない夫婦とか
自分だけ大学を落ちて進学できないとか
男なのに男が好きだとか
主人公は、障碍者であることで、普通に全力疾走できない。
変な走り方になる。
普通にできないから、幸せにはなれないというジレンマに陥ってしまうのです。
世間とか、普通なんて、本当はどうでも良いのです
どうして誰かに認めてもらわなくてはならないのか
そんなことを意識して生きるのはしんどいなと感じました。
もっと自由でよくないか?
2023 4 30
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?