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心理職地方公務員のススメ 第1章3節~院進か就職か~

割引あり

 こんにちは、むーとです。
 日が過ぎるのは早いもので、2023年もあと十数時間となりました。
 将来心理カウンセラーになりたい人、心理学部の人、またはそうしたお子様を持つ保護者の方にお伝えしたい内容を書いていきます。
 浅学な上長いため、読んでいただき心理職に興味を持っていただけると幸いです。


はじめに~前々々回記事紹介~

 当記事は前々々回投稿した、「心理職地方公務員のススメ」記事の続きのような記事になります。よろしければそちらの記事をお読みになってから当記事を読んでいただけるとより内容を理解しやすいかと思います。
 ↓記事はこちら↓

心理系大学院に入ることの難しさ

前々々回に、①待遇が良いから②試験を公認心理師や臨床心理士なしでも受けられるから(自治体による)③大学院試験が難しいから(大学による)の3つの理由から心理系大学院を受ける際にサブプランとして心理職地方公務員試験を受けることをお勧めする記事を投稿しました。
 前々回では①待遇がいいからについてお話しし、前回は②試験を公認心理師や臨床心理士なしでも受けられるから(自治体による)という理由について少し深堀しつつ話していきました。
 よって今回は、最後の③大学院試験が難しいから(大学による)について、心理職公務員に心理学部大学生がチャレンジするべき理由を説明していきたいと思います。
 この投稿を読んでくださっている方の中には「大学院とは何か?」という方もいるかもしれないので、①大学院について、②心理系大学院の種類、②大学院と公務員試験の比較の2パートで、心理職公務員に心理学部大学生がチャレンジするべき理由を説明していきたいと思います。

①大学院について

 そもそも大学院とは何か。ものすごくざっくりとした説明をすると、大学で学んだ学問のより専門的な研究をするための教育機関です。大学の進化系のようなものだと考えていただければいいと思います。
 一般的に、大学に4年通った後、大学院に進学する場合は「博士前期課程」または「修士課程」と呼ばれる課程の入学試験を大学4年生または卒業後に受験し、合格すれば2年間大学に通って授業や研究指導を受け、「修士論文」の執筆と所定単位の履修で「修士号(Master)」を取得することができます。取得後は、就職か、もう一つ上の「博士後期課程」への進学を選択することになりますが、今回博士後期課程についての解説は省略します。
 正直な話、学部卒で研究職や専門職に就くことは非常に難しく、大体の学問において、研究職や専門職として働くためにはこの「修士号」の取得が求められます。理系の大学生で大学院に進学する人が多いのは、このためです。
 この話が心理職と何の関係があるかというと、心理職も例にもれず働くために修士号の取得が前提条件となっているためです。
 前回の投稿でもお話ししましたが、心理職として働くためには「公認心裡師」または「臨床心理士」の資格の取得がほぼほぼ必須です。そして、両資格とも大学院の修了なしに取得することは非常に困難です。
 要約すると、「大学院」は、大学の卒業後に入る研究機関であり、心理職になるための重要な資格の取得のために2年間は通う必要のあるものです。
 ですが、大学院は数多く存在し、どの大学院でもよいというわけではありません。従って、次の章で「心理系大学院」の種類について、解説していきます。

②心理系大学院の種類

 心理系大学院を選ぶうえで重要なポイントは、2つあります。①臨床心理士が取れるか、②公認心理師のカリキュラムがあるか、です。
 ①臨床心理士が取れるかについてですが、臨床心理士の資格を認定する協会が認める大学院の指定の研究科、コースでなければ、例え大学院を修了していたとしても資格を取得することはできません。
 2023年現在(今後変動する可能性あり)、認可を受けている大学院は、第1種が148校、第2種が8校、専門職大学院が5校の計161校あります。この161校の中にない研究科、コースの大学院を修了しても、臨床心理士の取得はできません。
 例えば、有名大学の早稲田大学大学院 文学研究科人文科学専攻 心理学コースは、この161校の中に指定がないため、修士号を修了しても臨床心理士の資格は取得できません。心理学と名前があればどこでもよいわけではないのです。
 この第1種、2種、専門職大学院の違いは、修了後の臨床心理士試験の受けやすさに違いがあります。第1種指定大学院は、修了後すぐに試験を受けることができます。しかし一方で、第2種指定大学院は試験の受験に修了後に1年以上の心理臨床経験が必要になります。また、専門職大学院は、おおむね第1種と同じですが、取得する学位が「修士号」ではなく「専門職学位」であるため(資格取得に支障はない)、修士論文の執筆が必須ではないこと(大学による)、修了後に臨床心理士資格試験の筆記試験が一部免除されるなどの優遇がされています。
 そして②公認心理師のカリキュラムがあるかについてですが、公認心理師のカリキュラムに対応した大学院は2023年現在、186校あります。こちらは臨床心理士とは異なり、大学院の種類の差はなく、一律で指定されたカリキュラムを履修して修了すれば同じ条件の試験を受けて資格を取得することになります。
 以上から、心理系大学院は以下のパターンに分けることができます。それぞれのメリットと、デメリットを並べていきます。

パターン1)第1種or専門職で公認心理師もとれる
メ:卒業後すぐに両方の資格を取れる。
デ:在学中は2つの試験対策、公認心理師の大量の実習と授業など、一番忙しい。入学試験が難しい。
例:東京大学大学院、帝京平成大学大学院

パターン2)第2種で公認心理師もとれる
メ:最終的には両方の資格を取れる。試験対策を片方ずつに集中できる。
デ:働きながら臨床心理士の試験対策が必要。心理臨床経験が必要なのですぐに臨床心理士が取れない。
例:中央大学大学院、東京都立大学大学院

パターン3)臨床心理士はとれるが公認心理師はとれない
メ:臨床心理士に集中できる。公認心理師特有の膨大な実習や授業がなく(大学による)、研究や試験対策、就活に時間を割ける。
デ:公認心理師を取るためには他の大学院に入り直さないといけない。両方の資格を求められたときに不便。
例:放送大学大学院、北海道教育大学大学院

パターン4)公認心理師はとれるが臨床心理士はとれない
メ:公認心理師に集中できる。入学のためのハードルが比較的低いかも?
デ:臨床心理士を取るためには他の大学院に入り直さないといけない。両方の資格を求められたときに不便。比較的カリキュラムが忙しい。
例:横浜国立大学大学院、茨城大学大学院

パターン5)どちらもとれない
メ:時間に最も余裕があり、研究と就活に時間を割ける。
デ:(ほぼ)心理職になれない。
例:千葉大学大学院

 といったパターンになるでしょう。どの大学院に進むかは研究内容と、その研究内容を指導できる指導教員を探すのが最もよいですが、心理職になることを最優先とするのであれば、やはりパターン1の大学院に進学するべきでしょう。しかし、パターン1の大学院は非常に倍率や難易度が高い大学院です。人によっては、大学院に入れず浪人する、という人もいるかもしれません。そこで、次は大学院試験の詳細と大学院試験と公務員試験の比較について、話していきたいと思います。

③大学院と公務員試験の比較

 まずは、大学院と公務員試験の必要なことについて話していきたいと思います。以下が、大学院試験と公務員試験ですることのリストになります。

大学院試験ですること(大学ごとに差がある)
①心理学専門用語に関する試験
②心理学英語に関する試験(英語民間試験の点数の場合もある)
③臨床心理に関する論述試験
④大学院の志望動機、入学後の研究計画書
⑤④を基にした面接試験

公務員試験ですること(自治体によって差がある)
①心理学専門用語に関する試験
②一般教養に関する試験(国語や数学、英語、物理、歴史、化学etc…)
③自治体の志望動機書、面接カード
④③を基にした面接試験

 このような差があります。大学院試験と公務員試験の大きな違いは、大学院試験には入学後の研究計画書を記入する必要があるという点です。この研究計画書は非常にハイレベルな計画書が要求され、この計画書がそのまま入学後に修士論文の前身となることも多々あります。複数の大学院に別々の志望動機、研究計画書を書くとなると非常に体力と時間を要することになります(そのため大学院試験には研究計画書を使いまわす人も中にはいるそうです)。
 また、大学院試験を難しくしている要因は、その定員の少なさも要因があります。臨床心理学の実習は個人情報の秘密保持などが非常に重要であるため、限られた実習先で何十人もの学生に受けさせることはできず、おおよそパターン1の大学院であれば15人前後となるでしょう。大学院にもよりますがだいたいパターン1の大学院であれば3~6倍と、中には学部よりも倍率が高いことがあります。そのため、大学院は必ず3~4校は受けなさいとアドバイスする学部の指導教員もいらっしゃるそうです。
 反面、公務員試験は比較的一般教養科目や心理学専門用語に関する問題が多く、どれだけ知識を蓄え、面接でやる気を見せることができるかが重要な
鍵となってきます。個人のとらえ方の問題はあると思いますが、大学院試験よりも公務員試験の方が比較的容易なように、私自身は感じました。

終わりに

 以上のように、大学院試験はどのパターンであるかも非常に異なるうえ、難しい院では非常に高い難易度で、入学が困難であることがあります。
 したがって、大学院に合格できなかった時の保険として、比較的容易な公務員試験を受けることで心理職へのチャレンジの機会を増やすことは有意義であると考えます。
 また、仮に心理職公務員に就職したとして、3年間の自己啓発休業制度を利用して2年間大学院に通った際、大学院を修了し復職した公務員の仕事は、臨床心理士資格認定協会の定義する心理臨床経験に高確率でカウントされるため、学部卒で公務員になった後はパターン1の大学だけでなくパターン2の大学に通う選択肢も増えるため、今後の人生の自分のチャンスを増やすことができるかもしれません。
 ぜひ、この心理職公務員のススメを読んで、ご自身や、お子さんの就職活動に役立てていただければ本望です。

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