自己認識の手法② 「森岡流"自分の特徴”を知る方法」

ワシじゃよ。
前回は「原体験ジャーニー」という方法で
自己認識をしていくことを書きました。

今回は、
ワシが尊敬してやまない森岡 毅さんの
「"自分の特徴”を知る方法」を書いていきます。

苦しかったときのはなしをしようか

森岡毅さんはUSJの経営をV字回復させた立役者で、
そこからマーケティングに関する本だけでなく、
組織改革やキャリアなどについても出版されていて、
どれも考え方がステキなんです。

根性論とか口当たりのいいことなんて書かずに、
本質的で戦略的、それでいて愛がある。

そして今回はその森岡毅さんが、
大学を卒業しようとしている長女に向けて、
どうやって就活し、キャリアを築き、
そのためにどうやって自分を知るかを伝えようとしている。

自分の愛娘に向けて書き始めたものだったが、
誰にでも使える”虎の巻”に仕上がったのが、
『苦しかったときのはなしをしようか』という本です。

全ての”音楽家”にも役立つ

この本のメインターゲットは、
やりたいことが分からないまま、急に社会に放り出される準備に相当する
『「就職活動」に直面しなければならない大学生』になっています。

ですが、自分をもっと知ってキャリアを考えていくことは、
就活生だけでなく、どの年齢になっても非常に役に立つことです。

60歳で定年を迎えた後、年金がもらえるのは65歳になってから。
そんな世の中です。
今後もっと年金受給年齢が引き上げられて、
年金受給額も減ってくると言われています。

つまり、30歳・40歳・50歳でも遅いことはない。
働くということの本質に迫っている一冊です。

ワシは音大を出て音楽家としてのキャリアを築いているわけですが、
音楽家としてこの本や考え方をどうやって活用していったらいいのか、
持論を書いていきたいと思います。

なぜ自己分析が必要なのか

音楽家を目指す人は、
全員ではないですが音楽大学に通うことになることが多いです。
そういう意味では一般の大学に行く人よりも、
キャリアの方向性を早めに決めているということになるでしょう。

だからこそ難しい面があります。
色んな分野の勉強をする一般大学よりも、
どうしても音楽に偏りがちです。

しかし、演奏のみでプロになれる人は、
ほんとうに一握りしかいません。

レッスンや教室などと掛け持ちなどしても、
音楽だけで食べていける人は少なく、
それすらも上記のプロとシェアの奪い合いになるので、
新米として参入していくのがとても厳しい業界構造になっています。

なので今後、音楽家業界全体として必要になってくる人材は、
少数の演奏が上手い人ではなく、
音楽と何かを掛け合わせて業界や社会や世界を豊かにできる人材です。

そしてその「何か」というのが、
あなたの強みの部分なのです。

人はあなたの強みにお金を払う

日本の義務教育はジェネラリストといいましょうか、
すべての教科で平均的に良い点数を取るよう叩き込まれ、
あれもこれもできる、平均化した人材を育てるシステムになっています。

ですが、会社があなたにお金を払うのは
あなたの強みに対して払うのであって、
決して弱みをなくそうと平均化した部分に払うわけではありません。


同じように、
人々や世間はあなたの突出した強みに対してお金を払うとも考えられます。

なので、自身の強みになりえる特徴を自覚することで、
あなた自身がどうやって勝負していくかの戦略を立てられるようになるのです。

また、弱みの部分を知ることで、
それが得意な人に協力してもらう方が最終的なアウトプットが大きくなりますね。

森岡毅さんが弱みについてお話されている動画を貼っておきます。
(21:00くらいから)

強みと音楽を掛け合わせた世界

たとえば、人それぞれの特徴を数値化して、

演奏スキル:7
企画力:9
発信力:9
コミュニケーション能力:3

みたいなバランスの人がいたとしたら、
企画や発信という武器を使うことで、
他の人にはない面白いコンテンツを作ることができます。

苦手なコミュニケーション能力は、
それが得意な人に任せた方が、
自分が苦労して頑張るより、
大きな結果をだせる可能性が高いです。

こうやって、特徴を強みとして活かしながら、
本人が得意なので楽しみながらいいものを作れると思います。


これからのご時世、
とても演奏が上手でプロオケに所属している人より、
演奏能力では劣るが他の強みと掛け合わせて、
世間が喜ぶコンテンツを提供できる人の方が、
報酬を多く受け取れる社会になっていきます。

一つの秀でた武器でも強いですが、強みと掛け算の武器があれば、
個人でも大きな数字を出せるようなインフラが整ってきています。
「音楽家」という広いくくりで、今後とても大事な考え方だと思います。


では、この特徴をどうやって見つけるのか!?
というのが「森岡流"自分の特徴”を知る方法」です。
(パッケージングされていなので名称が…)

森岡流"自分の特徴”を知る方法

文字を読むのが面倒になってきた人は、
もうこの動画を見ちゃってください(笑)

・強みの見つけ方
・やりたいことの見つけ方
・キャリアの選択のしかた
こういったことが非常にわかりやすく語られています。

(26:00~28:00くらいまで)

(14:00~24:30くらいまで)

あなたの強みは「動詞」に隠れている

ここからは森岡さん流の「強みの見つけ方」を解説していきます。
手順は3ステップです。

  1. 自分の好きなことや、やってきて楽しめたことを動詞で50個・できれば100個、付箋に書く

  2. T,C,L,その他、の4つに分類する

  3. どの属性が多いかを知る

それぞれ簡単に解説していきます。

1.自分の好きなことや、やってきて楽しめたことを動詞で50個・できれば100個、付箋に書く

あなたが今までの人生で好きだったことや楽しめたこと、
ハマってしまうことなどを、とにかく列挙していきます。

大学生でも約20年は生きてきています、社会人ならそれ以上。
その長い年月で、好きだったことや楽しめることにこそ、
あなたの強みがあるといえます。

ここで大事なのは
”動詞で書く”
ということ。

例えば
「音楽が好き」では名詞が好きということなので、
「演奏するのが好き」「歌うのが好き」「聴くのが好き」
といった動詞に変えていきます。

単純にこういう動詞が好き・楽しいということをガンガン書いていきます。
100個も書いていくので、とりあえず動詞なら何でもOK!
煮詰まってきたら具体的にどうするのが好きなのかを書いていきます。

・自分なりに表情をつけるのが好き
・みんなで合奏、アンサンブルするのが楽しい
・エチュードを完遂するのにハマる
・オリジナルの自作曲を作るのが楽しい
・理想の演奏会を考えるのが楽しい


ゲームが好きなら、
ゲーム内のどんなことを楽しめるのかを書いていきます。

・新しい技を覚えていくのが楽しい
・コレクションをコンプリートするのにハマる
・育成を極めて、どんな相手にも対応できるようにするのが好き


なんでもかんでも、とにかく書いていきましょう!
被りOK!
とりとめのない動詞OK!
長くなっても全然OK!

好き、楽しい、ハマる、快感、
時間を忘れる、熱中する、ふとやりたくなるときがある、
眠れなくなる、他のことが手につかず既読スルーしてしまう、
こういう言葉をヒントに書きまくってください!

2.T,C,L,その他、の4つに分類する

50~100個の動詞を書いたら、
次は4つのどれかに分類していきます。

T:Thinking
Tは「考える」系の動詞です。
戦略を練る、企画を考える、
どうやったら上手く演奏できるかトライ&エラーを繰り返す

こういったものをこのグループに分類します。


C:Communication
Cは「コミュニケーション」系の動詞です。
人と話す、語り合う、一緒にアンサンブルする、
話を聞き出す、能力を引き出す、教え導く、
SNSで発信する、人と酒を飲みかわす

こういった伝えることや、人とつながることを分類します。


L:Leadership

Lは「リーダーシップ」系の動詞です。
何かを成し遂げる、達成する、挑戦する、
幹事をする、大きな役割を担う、
人に夢をや正義を語る

こういった変化を起こす力、人を動かす力を分類します。


その他:
上記の3つに当てはまらないものはこちらです。
他の属性の動詞を引き出すキッカケにできます。


3.どの属性が多いかを知る

4つに分類ができたら、どの属性が多いかを見ます。
その系統があなたの特徴を方向付ける強みになります。

極端に一つに偏るという人は稀で、
そういう方は強みがはっきりしているので、
それを武器にどんどん磨いていった方が良いということです。

大体の人は、一つだけちょっと多くて、
他2つが似たり寄ったりだったり、
2つが僅差で多かったりするそうです。


この方法で知ることができるのは、
あなたの強みになりやすい傾向の属性です。

どの属性をガソリンにすれば、あなた自身がより自分の強みを磨けるか。
そうやって基本戦略が立てやすくなってきます。

大事なのは自分の中での比較!!

でも考える力はあの人の方が上だし、
コミュニケーション能力はあの人の方が高い…

なんて考えるかもしれませんが、
ここで大事なのは、


あなたの中で相対的に強い特徴を武器にする


ということです。

他者の比較ではありません。
自分の武器をしっかり自覚して、
それを磨いていくために、
自分の特徴を知ることが大切です。

目的は、これからあなたの武器を最大限に磨いていくこと。
自分の特徴と方向性を自己認識するためにこのワークをしたのです。

リソースは限られている

時間や精神力や体力には必ず限界がある。
戦略なきキャリアは間違いなく、”負けのレシピ”となる。

森岡毅著:苦しかったときの話をしようか

自己認識がなければ、
有限であるあなたのリソースをどこに集中すればいいか、
戦略が立てられません。

何でもできる時代になったからこそ、
この”選択と集中”がより重要になってきています。

もし戦略が間違っていて結果が出なかったとしても、
その時に一心不乱に磨いたあなたの特徴は、
また次の戦略やこれからの人生で使える、
あなただけの武器であり宝物になります。

つまり、
早めに”選択と集中”で自分のリソースをガンガンつぎ込んだもの勝ち。
自分の特徴を知ることは、すぐにでも取り組んだ方が良いことです。

そういう社会の構造になってきているのです。

まとめ

自己認識や自己分析の方法は、
世の中に沢山あると思います。

忘れてはいけないのが、
良い特徴・悪い特徴というのはなく、
文脈によって特徴が強みになるか弱みになるかが決まる
ということ。

そういう視点をみんなが持てるようになったら、
それぞれのいい部分を引き出し合える社会になります。

まさにオーケストラや吹奏楽のように、
楽器によって特性が違うのを、
上手く活かしあって一つの曲を奏でるようなもの。

もっともっとたくさんの人に、
自己認識が広まったらいいなと思っています。

ほなの!

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