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へやのなか

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わたしが書いたものです
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#現代自由詩

グッナイ

グッナイ

カーテンを閉めて
鍵をかけて
布団に潜ろう
取り憑かれてしまう前に

ココアを飲んで
目を閉じて
万華鏡に溺れよう
取り込まれてしまう前に

今日を閉店にして
明日のロックを流して
暮らしを忘れよう
わたしを忘れよう

目を瞑ったら今日が終わり
目を瞑ったら明日を忘れる
ひとときの安息を手に入れよう
さよならを思おう

グウタラ

グウタラ

何もしなくていい

それは難題だな
どうすればいいんだい?

何にもしなくていいんだ

それは困ったな
バクバク煩いものが主張してくるよ

気にしなくていい

なるほど、むつかしいことを言う
頭から指先、お尻までこんなに揺れているのに?

とりあえず寝よう

おや最初と違うことを言う
何もしないというのは何もしないということで
寝てもいいのかい

グウタラすればいいんだ

グウタラとはなんだろう

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ストーブ

ストーブ

いつも通りの夕食と
いつもとすこしちがう笑顔を

いつも通りの喧騒に
いつもよりすこし多い会話を

風が吹いて
しっとりと冷えた夜の町に
あたたかなストーブの灯火を

今年もありがとう
お疲れさま

…………………………

2022年も今日でおしまいですね。
今年もありがとうございました。
いいねや、コメントにたくさん励まされ今年も歩むことができました。
文字書きらしく?、詩をここに置いて締めくく

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白い息

白い息

ハッと吐いた吐息が
白くなってまあるく空気に溶けた

きみはこれからどこへまでも旅をする
川を渡り山を越えどこへまでも行っておくれ

自由にほしを渡る空気よ
この原子たちよ
願わくばわたしの想いを連れてって

貴方のもとへ連れてって

パレード

人混みや車の音に紛れて 孤独と孤独が笑い合う
私たちだけ ここには

できるだけ触れていたい 二人は一人でいたい
私たちだけ ここには

喧騒をBGMにして
スーパーのレッドカーペットを歩いて
エスカレーターを降りて夢の中へ

いいえ 夢ではないわ
夢なんかではないわ
私たちだけ ここには

空気に浮気をしないで
ずっと背中に触れていて
私たち 私とあなただけのまち

鼓動の在処

鼓動の在処

ここに、
私の声を録音したものがある

その声は、
中学卒業の日に 思いを馳せて
大地震の記憶を辿っている

私はこれに時折、
自分自身で聴き入ってみる

目を閉じて、
シラと受け流す日もあれば
瞼をそっと持ち上げて受け止める日もある

ここに、
過去の私のかなしみがある

その声は、
間をおいてゆっくりと喋っている
震えていたりなどもする

私はこれに時折、
相槌を打って聴いてみる

両の眼(ま

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「自分は大丈夫」

「自分は大丈夫」

「まさか」
そのまさかだよ
ここで起きているよ

「嘘みたい」
そうだよね
まさか、こんなこと考えていなかったものね

「でも自分は大丈夫だから」
あれ、どうして
どうしてそう思うの
わたしはもうそのまやかしを信じられないよ

大丈夫、は大丈夫なときに使うのよ
大丈夫じゃなくても笑いたいときに使うのよ

大丈夫だろう、はどこにもいてくれないのよ
貴方を支えないのよ

いつ どこで 何が どのくらい

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つめあと

あなたの知らぬところで

わたしは枕を濡らす

あなたの知らぬ間(あいだ)に

わたしの唇が弧を描く

あなたのいない土の上で

わたしは首をもたげる

あなたの残したつめあとが

わたしの喉をぎゅうっと絞る

あなたの残したつめあとを

わたしの指がそうっと辿る

あなたの残したつめあとは

ひどく冷たい ひどく優しい

SELF LOVE

SELF LOVE

勉学に励み 埃と誇りを高く積む

草花を摘み 嗅いで見つめて彩って

体を彩り 顎を上げてコツコツ鳴らす

音を生(な)らし 反吐も慈愛も空気に揺らす

己(おの)が両手で彼奴を… 憤り沸き立つ

大の字に身を投げ出して地に返り 無に帰す

家の扉をくぐり 家族の笑顔と飯の匂いで腹を満たす

肉を削ぎ筋を充し 線を描く

只管な手と筆は繊維をすべり 残したいものがある

誰も皆 ニンゲン
誰も皆 

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