子育てを変えずして、パワハラ・いじめはなくならない

前回の「世間体」とハラスメント蔓延社会 の続きのような記事になります。こちらの記事でご紹介した、『ハラスメントは連鎖する 「しつけ」「教育」という呪縛 (光文社新書) 』(安冨 歩、本條 晴一郎著)という本が私に与えた影響がとても大きく、世の中をハラスメント構造で見る癖がついてしまいました。昨今のコロナ騒動により、ドラッグストアの方々による「カスタマーハラスメント」の被害の声がネットで上がったりもしていましたが、まさに前回の記事で書いたような精神的に幼い人々が誠実で真っ当な人々の心を殺し、追い込んでいくさま、そのものだなと思ったりもしています。私自身も接客業に携わった経験が多く、「カスタマーハラスメント」には思うところが色々あるので、これはまた別途記事にまとめようと考えています。

私は役所を辞めてから非正規で様々な仕事を経験しているのですが、実は最近就いた職場が結構なパワハラ職場だったこともあり、ハラスメントに対して自分事のように考え、向き合っていた時期でもありました。私はただの非正規なのでそこまでの被害はなかったのですが、ある優しい方がハラスメントのターゲットになっていて、同じ場にいる共感体質の私も苦痛を感じることがかなりありました。また、世の中的にパワハラNGの風潮が強いのに、こんな職場がまだあることに驚きを隠せませんでした。結局、心優しく真面目に働いていた被害者の方は職場を離れることになり、「あんなのに耐えることない。辞めるのは当たり前だ」と思いつつ、学校のいじめでもなんでも、加害者は無罪放免で被害者の方がその場から離れなければならない理不尽へのやるせなさもこみあげてきました。

パワハラ、モラハラ、いじめ…、やってはいけないことだとみんながわかっているのに絶対になくなりません。もちろん世界レベル(植民地主義、グローバリズム)、国レベル(国家による国民いじめ)、組織レベル(ノルマ、労働者軽視etc)などあらゆるレベルでハラスメント構造が蔓延しているので、どこが根本原因と断言することは難しいですが、自分自身が最も密に加害者・被害者になるのはやはり親子関係においてだと感じています。上記の本で述べられている、親から子への「しつけ」「教育」と称したハラスメントが、各個人の人間形成における一番大きな影響を与えていることは間違いありません。世間一般に言われている子育ての思想、やり方が間違っているからこそ、世の中からハラスメントがなくならないわけですね。

上記の本によれば、ハラスメントというのは「その人自身の感覚を否定する」「これをすると(しないと)罰する」(否定と強制)ような行為なのだそうで、これは子育てにおいてかなり頻繁に行われていることでもあります。「泣いちゃダメ」「何でも食べなさい」「そんなことで○○するのはおかしい」といったメッセージや、甘える子どもを突っぱねる、子どもが嫌がるのに保育園に連れていく、習い事をさせる、勉強させるなどといった行為もハラスメントに当たると思います。相手が嫌がっているのに無理に○○させるという行為はしてはいけないと誰もがわかっているはずなのに、子育てにおいてはそれが「教育」「しつけ」だと言われて至極当たり前に行われている現状です。子どもは親に愛されなければ生きていけないと思い込むため、理不尽さを感じつつも親のメッセージを受け入れざるを得なくなり、自分の感覚を信じられずに他人や世間を優先する生き方になってしまいます。

こういった子どもへの接し方をしてしまう根底にあるのは、「子どもを下に見る」意識だと思います。パワハラ、いじめを経験したことがある人はよくわかると思いますが、ハラスメントをされると自分が尊重されていない、大切に扱われていない気持ちになりますよね。私もパワハラ的行為を(人生で初めて)受けて「私にも誇りや尊厳ってものがあるんだけど(怒)」と感じました。子どもを一人の尊厳を持った人間として大切に扱わず、「教育すべき、しつけるべき対象」として見ているからこそ、平気でハラスメント行為を行ってしまうのだと思います。

職場のハラスメント加害者の方もおそらく親に愛されずにハラスメントを受けて育ったのだと思います。否定と強制を受けて育ったので自己肯定感が低く、劣等感の塊だからこそ自分より立場の弱い者を下げて、自分の優位性を保とうとするわけですからね。自分が上だ、下だという優越感、劣等感というのは私が最も問題視している優生思想そのものであって、すべての人間が取り組むべき課題なのかなと感じています。いくらパワハラ、いじめはダメ、なくそうと言ったって、根本的な子育てへの考え方、子どもへの接し方を変えない限り、そう簡単になくなるものではないでしょう。子どもがいてもいなくても、自分を見つめて優越感・劣等感の囚われから心を解放し、ありのままの自分の感覚を信じられるように自己肯定感を回復していくことは、自分自身の人生を生きるためにも重要なことだと思います。「ハラスメントは連鎖する」、気づいた人から連鎖を止めて、すべての人が心豊かに生きられる世の中になることを切に願っています。

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