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ポルトガル リスボン2日目~女子ひとり旅日記~

まゆちゃんはポルトガル好きだと思う。気になっていた国をそんな風にすすめられて、ついに来てしまったのがリスボン。そして友人たちの見立てどおり、たった1日でリスボンは私の中で愛すべき街になっていた。

1日目は中心地を歩いてめぐったので、2日目は少しだけ足を伸ばして有名なベルンの塔へ。そのために時差ボケを引きずりながらも朝9時にはバス停に向かう。なにしろ、日曜日で混むと思うので、なるべくオープンと同時に入りたい。

そんなふうに意気込んで満員のバスに揺られ、順調に向かっているはずだった。雲行きが怪しくなったのは30分後。急にバスが止まり、あれ、と思っていたらみんな降ろされてしまった。何やら交通規制がかかっていると言うことで、訳もわからないままみんながぞろぞろと歩き出した方向へ進んでみる。乗っている人たちも9割はベルンの塔へ向かっている観光客なのだ。ついていくしかない。

結局そこから、50分ほど歩いてやっとついた。どうやら、マラソン大会をやっていて、至る所が通行止めになっていたのだ。ベルンの塔に行くには大通りを横切らなくてはいけず、でもその通りがまさにマラソンのコースで通れないというトラブルもあり、まずはジェロニモス修道院 Jerónimos Monasteryに行くことに。

マラソン大会のために集まっている珍しい光景も見た。これはなんて表現するのが正しいんだろう。とにかく大きなイベントだった。

ちなみに、この日のポルトガルは春だけどほとんど日差しは夏のものだった。サングラスは必須。走っている人も大変だったと思う。教会の横に修道院があって、事前にネットでチケットを買っていたのでほとんど並ばずに入れた。タイミングが良かったのかもしれない。

足を一歩踏み入れると、ひんやりと石の冷たさが伝わってくる、荘厳な作りだった。思わずカメラを構えて見上げる。

そして、芝生と建築がとても美しい。一部工事中だったが、それでもいつまでも見ていられる建物だった。写真を撮っている人たちもたくさんいたけれど、それでも観光地としては空いていると感じる。歩くことになったときには戸惑ったしどっと疲れたけど、それでも来てみて良かった。

タイルと絵画が美しい。この空間にいると、自分まで澄んでいく気がするから、不思議だ。

修道院の階段から見える空。昔は蝋燭の灯りで階段を照らしていたんだろうか。晴れた日に差し込む光は嬉しかっただろうなと、思わず写真に収めた。

修道院をでて、最初の目的地のベルンの塔に向かうことにする。ここではストリートミュージシャンが懐かしい洋楽を歌っていて、5年くらい時間が巻き戻ってしまうところだった。危ない危ない。

さて、これがベルンの塔。先ほどの修道院と一緒に、世界文化遺産に登録されているのだとか。16世紀の要塞として使われていたんだとか。入場規制がかかっていて、長蛇の列ができている。

朝からろくなご飯も食べないまま、たくさん歩いて何気なく列に並んでしまった。暑い日差しの中で1時間待つのは私でも結構大変で、並んでいるおじいちゃんおばあちゃんたちは大丈夫だろうかと無駄に心配してしまうほどだった。夏場に行かれる方は本当に気をつけてほしい。

こちらもチケットを買ってあったので、それを見せて中へ。細い階段で上がっていって、手すりもないので、足腰に自信がないとちょっと怖いかもしれない。でも、要塞というだけあって、ものすごく見晴らしがいい。

中はがらんとしているが、大砲だけは昔の姿を彷彿とさせる。ずらりと円状に並んでいて、小窓から銃口を向けていた。

並んでいる間、後ろの若いカップルのやり取りが微笑ましく、海外に来たんだなあと感じた。あと、ものすごくお腹が空いたので、一刻も早く食べ物にありつきたい。エミレーツでもらったチョコ1個が命綱になっていた。

そんなわけで、並んでいる間にも物色していたレストランへ。なにしろマラソン大会の後の日曜日。どこもものすごく忙しそうで、Googleの評価が良かったところにダメもとで向かってみた。テラス席までまんぱんだったが、1人と指で示したら中に通してくれた。良かった。やっと座れた。歓喜。

ここで気になっていたサングリアを。ポルトガルに来てから、サングリアは全部500ミリリットルからしかメニューになくて、仕方ないのでそれを頼んでみた。大学時代のスペイン語の朧げな記憶を頼りに注文したら、白ワインじゃなくて赤ワインだった。なんてこった。

ただ、このお店にはモバイルの日本語メニューもあるので安心してほしい(なんでそれをちゃんと見なかったんだろう)。パスタは本当に美味で、エビがぷりぷりだった。もう一皿食べたいくらい。

ほろ酔いよりももう少し酔っ払って外に出る。なんせまだ昼で、観光地で、ヨーロッパの他の場所、例えばパリやイタリアでは私はこんなに酔っ払えないなと思いながら、この時間の幸福を存分に堪能する。

帰りはバスが通っていると思ったが、バスを間違えてなかなか乗り継ぎができない羽目になった。また歩いて、なんとなく中心地までいきそうなトラムとバスを乗り継いでホテルに向かう。まだ日の明るいうちから、長い長い日だった。

どうせなら夕暮れの美しい景色も見てみたい。ホテルで少し仮眠をとって、夕方にまた街に出る。昨日も行った海沿いの広場で、今日はもう少し奥まで歩いてみることにした。

そうすると観光案内所があって、その雰囲気がまたなんともいい。こういう場所に迷い込むのが、散歩の醍醐味だと思っている。

陽が落ちてきた。日差しがなくなると急にひんやりする春の夜を感じながら、海を前に佇む人たちと一緒になんとなくぼうっとしてみた。

リスボンは、本当はリスボアというのだそうだ。思いがけずたどり着いた景色の美しさに、とても満たされている自分がいた。

向こうのほうはまだ明るいなあと、じんわり夜が近づくのを眺めている。夜の海を眺めることができる場所は、留学をしていたニュージーランドの他に知らなかった。

このまちに、恋をしているなあ。どの国も刺激をくれるけれど、好きだなあとここまで思えた場所も珍しい。

そして、夜。ああ、綺麗だなあ。そういうありふれた感想しか出てこないけれど、ひとりだから誰かに披露するわけでもないし、まあいいか。満足するまでその景色を楽しんで、また歩いて7分ほどのホテルに帰ることにする。

昨日と同じく、また変な時間にご飯を食べてしまった。どこかで名物のタルトと、それから軽食を買って帰りたいところ。賑わっているメイン通りを進んで、お目当てのタルト屋さんを探す。

ポルトガルはやはりお酒を楽しむ街らしく、道の真ん中のテーブル席は夜になって一層盛り上がっているようだった。流石に昼のサングリアが効いているので、私は今日は遠慮しておこう。まだ時差で眠いし。

見つけたここが、タルト屋さん。中に入って一つというと、すぐに出してもらえた。専門店なのかな。そういうこともよくわからないまま、ここに来ている。

実は、マレーシアでエッグタルトを食べたことがあって、その時はなんというか、あまり好きになれなかった。だから今回も名物だから1度は食べておこうかというノリだったのだ。でも、食べてみておいしくて驚いた。全然しつこくないけど、クセになる甘さだった。

そして夜ご飯がわりのパンを買う。スイーツとパンの店に入って、甘くないの何かある?と聞くのは失礼かなとも思ったけれど、怪訝そうな顔でハムチーズのパンを出してもらった。ありがとう。これが今日の夜ご飯だ。

リスボンの夜は、雨も降っていないのに石畳が濡れたように光っている。明日は早朝からポルトへ移動。おやすみなさい。


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