MEKAKUSHI

すべての事は目に見える。 だけどそこに隠れている見えない事の意味を理解する事が大切だと…

MEKAKUSHI

すべての事は目に見える。 だけどそこに隠れている見えない事の意味を理解する事が大切だと思っています。

最近の記事

帰り道

今日も仕事が終わった。さぁ、家に帰ろう。 日が落ちかけた夕暮れ時に私はいつもの橋を自転車で通りすぎる。夏から秋に変わる頃、辺りは黒が侵食に入り、真赤が小さくなっていく。僅かな時間、紫に染まる。その空間は時空が歪んでいるのではないかと思うくらいだ。私はどこかに飛ばされてしまうのではないか・・・・ なんて事をふと思ったりする。 今日も終わった。 何も変わりはしない。 ただただ同じ事を繰り返す。だが考える事は歳と共に増えていく毎日。毎日毎日。 10年、いや15年、いや20年こ

    • 僕は君を想う

      僕は振り返り歩き出した。 とまどいと少しのふてくされと喪失感と新しいこれからを思いながら・・・ 整理がつかない頭の中をこのいつもの騒がしい改札口がより感情を高ぶらせていた。 僕はこの場を早く離れたかった。足早に去ろうとした。だけどやっぱり彼女の声だけは聞こえてくるんだ。 後ろからさっきとは違うはっきりとした口調で聞こえた。 「しんじ、バイバイ。」 さっき言ったばっかりの2回目のバイバイ。 僕は振り返り、彼女を見た。 彼女は満面の笑みで手を振っていた。 それは少し

      • 夢と現実の狭間で

        大きく息を吸い込んで今日が終わる 全ての嫌な事から夢へと逃げ込んで 吐き出した物語に呑み込まれる 壊れたもの抱きかかえて何処へ行くの? 現実を否定する別世界 創造されたこの世界で何を手にする 掴んだはずの意味をまだ問う 底の其処でもがく心はいつまでも何故 気付かれないようにそっと静かに閉ざして 大きく息を吐き出して今日が始まる 分かりきったこの世界で向き合う意味なんて・・・ 合うことない現実を理解したい 出来ることならば貴方の側に寄り添って 笑えたらなんていつも想うよ

        • あめ

          僕にはあめが必要だ。 あめは好きではないが嫌いでもない。 こちら側から特別望む訳ではなかったけどふと思えば、いつだって何か思いが強い日にはあめが僕の側にあった。 今まで何となくしか思ってこなかった。ふとじっくりなんか見てこなかった。 何かとぼぉーっとしてしまう世界で、よくよくあめを見れば何故だか感情は収まり、また昂っていく事に気づいた。今まで僕はそこまで真剣には考えてこなかった。だが真剣に必要とする人も世界にはいるのも知っている。 ただそこにあるのはあめ。 あの水分

          僕のそばには

          「今回もお前の絵、入賞したじゃん!! やったね。お前はほんとにすごいよ。俺はお前の絵は最初から凄いと思ってたけどね。」 そう言ってくれるこいつはトピー。トピーとは高校入ってからの最初の友達。まぁ、それまで友達がいなかったから人生で最初の友達。今は少ないが友達はいる。 高校に入ってから学校内の絵のコンテストで僕の絵が入賞し、上位の賞は貰えなかったけど誰よりも一番良かったとズカズカと僕の懐に入り込んできて、そこから仲良くなった。 「ありがとう。でも、また入賞止まりだよ。」

          僕のそばには

          キミハドコニイク

          「ピピッピピッ、ピピッピピッ、ピピッピピッ、ピピッピピッ」 「バサッ」 ふぁーーあぁーあ (すぅーう) 「シャーー」 (きらっきらっ、きらっきらっ) 「ピッ」 「パッ」 「ボソボソ、ボソボソ」 「ギシギシ、ギシギシ、ギシギシ、ギシギシ、ギシギシ」 「ガチャ」 「スッ」 「ジョボボボボボー、ジョボジョボ」 「サッ」 「カチャ」 「ジャーーー」 「ガチャ」 「キー、バタン」 「ギシギシ、ギシギシ、ギシギシ」 「キュッ」 「ジャー」 「ポタ

          キミハドコニイク

          仕事の帰り道。そこの路地を曲がれば家だ。今日は夕暮れ時に帰る事が出来てとても心は穏やかだ。風呂に入って飯を食ってビールを飲みながら映画でも見ようと少しの幸せを思い浮かべながら足は軽やかだった。 ついさっきまでは・・・ 今、僕の体は強張っている。そして人通りの少ない細い路地に漠然と立ち尽くしている。そこの10メートル先の角を曲がれば家なのだが。足は震えているし脳はフル回転しっぱなしだし心臓の中で何かが暴れているかのように鼓動が揺れっぱなしだ。 なぜかと言うとその手前にとても

          もしも僕が神様だったら

          もしも僕が神様だったら皆が絶対に幸せになるようにする。 争いや貧しさや寂しさから悲しい気持ちなんかにさせない。 皆が相手を思いやり助け合い、手と手を取り合い生きて行けるようにする。 苦しみの無い世界にする。 でもどうしたらそういう世界に出来るのだろう? 神様だったら魔法みたいなものでちょちょっとするのだろうか? 何をどうするのか? まぁ、皆良い人に変えてしまうのだろう。 僕だったらまずは皆を平等にするだろう。価値観を統一する。お金も財産も食べ物も住む所も全て一律にして持

          もしも僕が神様だったら

          曇天

          とある夏の午後。仕事中、僕は営業回りで街中を歩いていた。 ため息混じりに深呼吸を繰り返し、ここ最近の会社での成績のせいか重い身体が僕を前に進めなくしていた。 ふと、ビルとビルの間に広がる空が視界に入った。今日は曇天だ。それも物凄く雲が厚く地面まで来そうなくらいにどんよりしている。 今にも空が泣き出しそうだ。 僕の前を歩く人達の後ろ姿も何処となくどんよりしていて疲れきっている気がした。 世界はこんなにも息苦しい所なのか? そうだよ。皆、不安や不満を背負いながら生きてい

          「バクッ、ゴックン。」

          「すぅーー、ふぅーー。 やっと此処まで来た。長かった。俺は遂にトップまで上り詰めたんだ。」 社長室でふかふかのソファーに腰をかけ、疲れきった身体をいっぱいに伸ばした。そして空腹をパンととって置きのワインで満たしながら俺は外を見た。すべての建物が小さく見えた。 俺はとうとうやりとげた。夢を叶えた。 ここまで必死に頑張って来たんだ。これですべてが俺の手の中だ。頂点だ。この会社のビルからの眺めが最高だ。この日がほんとうに来た。 馬鹿にしてきた糞みたいな奴等を後悔させてやれる。

          「バクッ、ゴックン。」

          私の涙

          お父さんとお母さんが死にました。 私はひとりぼっちになりました。 今日はお通夜です。私は悲しみをじっと我慢しています。 「かわいそうね。あの子、まだ17歳でしょ。両親失くしてこれからどうするのかね。」 「いろいろ身内の人達もこれから大変だわ。」 「あの子、悲しい顔一つも見せないわね。」 「普段からあまり表情に出さない子らしいわ。」 「いつも愛想があまりないのよね。」 「両親死んじまってこんな言い方ないけど、うまい育て方できなかったんだろーな。」 「我慢してし

          5才の王さま

          ぼくはここの王さま。 小さなとこだけどぼくだけの国さ。 家来もいないし町のひともまだいない。国を造ってる最中なんだ。城を造るにも町を造るにも1人でやらなければならない。 5才のぼくにはけっこう大変なんだ。 他の国の人からは変な目でみられる。ぼくは忙しい。 ある時、けんかが強そうな兵士が2人やってきた。ぼくの領土をよこせって。もちろん、断った。そしたら町を破壊してきた。ぼくは必死に抵抗したんだけどすごく殴られた。ここはお前のものじゃないって僕は国を守るのも必死だ

          5才の王さま